超高画素のお作法

より確実にピント合わせをするには

AF/MFの両方を使いこなす

撮影後にカメラの液晶モニターで見た時は気にならなかったのに、帰宅してパソコンのモニターで大きく拡大してみたらピントが緩く感じられた経験はないだろうか。これが超高画素機になると、わずかなピントの甘さがより描写に影響してくる。では、精度の高いピント合わせを行うにはどうすればよいか?というのが今回のテーマだ。

今回のポイント

  • AFセンサーの特徴を知って、測距点を積極的に選ぼう
  • 三脚撮影はライブビューMFでさらにピントを追い込もう
  • 液晶モニター用のルーペを使ってみよう

AFセンサーを知って使いこなす

まず、位相差検出方式を採用するデジタル一眼レフの場合では、カメラのAFセンサーの特徴を知って、測距精度の高いAFポイントを積極的に選択してみるとよい。

位相差AFセンサーには、まずライン測距とクロス測距がある。両者の違いは、ライン測距はピント位置を感知する向きが縦もしくは横方向のみ(縦線検出もしくは横線検出)であるのに対し、クロス測距は縦方向も横方向も感知する(縦横線同時検出)。なのでクロス測距のフォーカスフレームを選択すると、被写体を捕捉しやすい。

EOS 5DsのAFセンサー

測距精度は光束によって異なる。一般に“F5.6対応”などと表記されるもので、数字が小さいほど(F5.6よりF2.8のほうが小さい)精度は高くなる。EOS 5Ds/5Ds Rの場合では、F2.8対応/F4.0対応/F5.6対応を搭載しており、とくに画面中央縦に並ぶ5点は「F2.8斜めクロス+F5.6縦横クロス」のデュアルクロス測距が使える(レンズが対応している場合)。

他のデジタル一眼レフでも基本的には中央のフォーカスフレームはクロス測距+F2.8対応とするものが多いが、実際に使用するカメラのAFセンサーがどのような仕様になっているのか、カタログなどでチェックしておくとよいだろう。

AF撮影の実践的ヒント

常に中央のフォーカスフレームを使用する人も多いかと思う。しかしながら、人物撮影のときなど被写体(顔)でフォーカスロックした後に大きくカメラを振ってフレーミングを変えると、ピントが微妙に合わなくなる現象(いわゆるコサイン誤差)が発生することがあるので要注意。状況により、カメラアングルを決めた後、被写体にもっとも近いフォーカスフレームを選択してAFを行ったほうが確実といえるだろう。

なお、筆者の経験則だが、AFでピントを合わせる際には一旦デフォーカス(ピントを大きく外した状態)までマニュアル操作した後で改めてAF測距を行うと、より精度が増すように思う。特に同じ位置から断続的にシャッターを切るようなときなど、位相差AF、コントラストAFとも効果的に感じられるので、ぜひお試しを。

また、ミラーレスカメラはコントラスト検出方式のAFを用いる機種が多い(一部に像面位相差方式とのハイブリッドタイプもある)。被写体と重なるフォーカスフレームを選択するセオリーは同じだが、さらにカメラによってはフォーカスフレームのサイズを選択できるものもある。その場合は、小さいフレームのほうがより狙いやすいことも憶えておきたい。

三脚+ライブビューMFの場合

三脚使用時にもっとも精度の高いピント合わせを行う方法は、ライブビューの拡大機能を使ったMF(マニュアルフォーカス)撮影だろう。もちろんMFでのピント合わせは慣れを必要とすることもあるが、正確で確実な方法といってよい。筆者も三脚撮影ではこの方法を使い、結果に満足している。

液晶モニター用のルーペを使うと、拡大したライブビュー画像でピントを合わせる際に確実さが増す。ちなみにゴム製のルーペならカメラバッグに放り込んでも他の機材を傷つけず、扱いやすい(写真はユーエヌのモニタリングPRO)

決してAFを信用していないわけではないが、より確実なピント合わせとなるとこれ以上のものはないと思う。たとえば夜景撮影などAF精度が低下しがちな低輝度の状況では、MFのほうが確実なことが多い。なお、開放絞りでピントを合わせたあと、絞り込んだときのピント位置の変動が気になるときはプレビュー(絞り込み)ボタンで確認するとよい。

さらに、この方法でピントを合わせるときは、液晶モニター用のルーペはぜひ持っておきたいアイテムだ。被写体の状況がより把握しやすいうえに、明るい場所でも液晶モニターの画面を鮮明に見ることができる。なお、ミラーレスカメラでは液晶モニターより高解像度なEVFがあれば、それを覗くのがオススメだ。

ライブビュー+MFで追い込んだ撮影例をAFと見比べる

画面中央のフォーカスフレームを使用したAFと、ライブビューの拡大機能を使ったMFでの比較。どれもおおむね良好な結果だが、見比べるとAF撮影のカットがやや甘く感じられる場合もある。

撮影例1

以下のサムネイルは青枠部分の等倍切り出しです
AF撮影
ライブビュー+MF

撮影例2

以下のサムネイルは青枠部分の等倍切り出しです
AF撮影
ライブビュー+MF

撮影のひと手間に応える描写

今回は、超高画素機の特性をフルに活かすためのピント合わせについて、筆者の経験則より記してみた。MFとライブビューによるピント合わせは慣れないと面倒なこともあるが、EOS 5Ds/5Ds Rのような高画素一眼レフの場合、特に効果的。超高画素機の緻密で高精細な描写が存分に味わえる結果になるだろう。各フォーカスフレームの位置や精度を意識したAFでのピント合わせも含め、ぜひ積極的にトライしてもらえればと思う。

大浦タケシ

(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。