デジカメドレスアップ主義

ティルト・シフトのお役立ちアイテム

α7 + Elmarit-R 24mm F2.8

  • ボディ:ソニーα7
  • レンズ:ライカ エルマリート-R 24mm F2.8
  • マウントアダプター:KIPON T&S LR-NEX
  • Lプレート:RJ Camera mukアルカスタイル・汎用Lプレート
  • 雲台:フォトクラム プロフェッショナル ボールヘッド Pro-34NS(ブラック)

 キポンから新型ティルトシフトアダプターが登場した。今回はこのマウントアダプターを軸に、ティルトシフト操作に役立つアイテムを集めてみた。α7をベースに、ティルトシフトの実用的スタイルを紹介しよう。

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 キポンはかねてから、ティルト・シフト機能付きのマウントアダプターをリリースしている。ミラーレス機用に関しては、ティルトのみ、シフトのみというスタイルで、撮影内容に応じてマウントアダプターを使い分ける必要があった。今回登場した新型製品は、ひとつのマウントアダプターでティルトとシフト、双方の機能を備えている。一般的なティルトシフトレンズの操作を踏襲しており、手持ちのオールドレンズをティルトシフトレンズとして快適に使用できるのが強みだ。

キポンの新型ティルト・シフトマウントアダプターは焦点工房にて税込2万9,800円だ
金属のレバーを指で押しながらレンズをシフトする。シンプルで使いやすい操作体系だ

 シフトは左右に15mmずつだ。ティルトは一方向に12度で、アダプター自体が30度刻みで360度回転する。キヤノンやニコンのティルト・シフトレンズに比べ、可動範囲は広めにとってある。ただし、過度なセッティングではケラレが発生するので、ライブビューを見ながら無理のない範囲で調節しよう。なお、同社のティルト・シフトアダプターは、Eマウント以外に富士フイルムXマウント、キヤノンEF-Mマウント、マイクロフォーサーズマウントなどに対応する。レンズ側はニコンF/G、オリンパスOM、M42、ライカR、ハッセルブラッドをラインアップしており、随時対応マウントを増やしていくと言う。

側面のネジを緩めると、レンズをティルトできる。ギア式ではないので注意しよう
30度の刻みでレンズを360度回転できる。アダプターをつかんで左右にまわすだけで回転する

 ティルトおよびシフト撮影は、やはり三脚に設置した方が作業しやすい。そこで今回はRJ CameraのLプレートを合わせてみた。これはアルカスイス互換の汎用型Lプレートで、カメラの縦位置横位置をすばやく変更できる。たとえば水平垂直を厳密に出して撮影する場合、雲台で縦位置横位置を変更すると、その都度水平垂直を調整し直す必要がある。このLプレートを使えば、雲台からカメラを取り外し、縦横方向を変えて再装着するだけでよい。シフト撮影は水平垂直出しが必須なので、特に利便性を感じるだろう。ここではα7と組み合わせているが、汎用タイプなので本機以外のカメラにも装着可能だ。

RJ Cameraの汎用Lプレートは、muk selectにて税込2,400円。手頃な価格で人気の商品だと言う。
Lプレートで横位置に装着した状態。雲台上で左右にスライドして固定位置を決められる
雲台の位置を動かすことなく、カメラだけをすばやく縦位置に設置できる
底面のネジはノブが付いており、コインなどを使わずにネジ止めできる
muk selectでは同種のクランプアダプターやクイックリリースプレートをラインアップしている

 雲台はフォトクラムのプロフェッショナルボールヘッドPro-34NSを選んでみた。フォトクラムは元々ダンプやトラックの油圧ダンパーを製造している会社で、耐重性および耐久性を重視した物作りの姿勢を活かし、雲台、三脚、アルカスイス規格プレートなどの製造に乗り出した。

フォトクラムのPro-34NSはデジタルホビーにて税込2万909円。カラバリも用意している
アルカスイス互換のクイックシュープレートが装着できる。側面のダイヤルで固定する

 雲台を例に取ると、高度な素材加工と旋盤技術により、ロック時のボールヘッド全体にかかるテンションを均一に保ち、スムーズかつ的確なアングルを設定できるのが特徴だ。本製品はアルカスイス互換の自由雲台で、前述のLプレートがダイレクトに装着できる。クイックシュープレートは別売りとなるが、メインダイヤルの摩擦を調整するフリクション調整ダイヤル、流し撮りやパノラマ撮影に便利な流し撮り調整ダイヤルを備えた堅実な作りが印象的だ。ガタツキや弛みはなく、高精度な自由雲台である。マップカメラやデジタルホビーで取り扱いがあり、入手しやすい製品だ。

フリクション調整が可能。硬めに設定しておけば、カメラがいきなり倒れる心配が軽減する
底部のダイヤルでパンニングが可能。流し撮りやパノラマ撮影で便利な機能だ
フォトクラムの最上位機種マルチフレックスは、フルギアで精緻な操作が可能だ。価格は税込13万4,930円

 今回は広角のティルト・シフトレンズをイメージして、ライカRマウントのエルマリート-R 24mm F2.8を装着した。三脚と手持ちを織り交ぜながら撮影してみたところ、やはりシフト撮影は三脚使用が便利だった。カメラの電子水準器を使うにせよ、三脚に固定した方が作業がはかどる。一方、ティルト機能を使った逆アオリ(いわゆるジオラマ写真風の撮影)では、手持ちで自由に構図を練った方がスムーズな場面もあった。むろん、被写界深度をシビアのコントロールしたいのであれば、三脚に固定してティルトの角度やピント位置を調整した方が快適だろう。

α7 / Elmarit-R 24mm F2.8 / 1/500秒 / F8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / シフトなし
α7 / Elmarit-R 24mm F2.8 / 1/400秒 / F8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / シフトあり
α7 / Elmarit-R 24mm F2.8 / 1/640秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / ティルトあり
α7 / Elmarit-R 24mm F2.8 / 1/3,200秒 / F2.8 / +1.3EV / ISO100 / WB:オート / ティルトあり
α7 / Elmarit-R 24mm F2.8 / 1/1,250秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / ティルトあり

【8月6日22時20分】記事初出時、フォトクラムについて「油圧ダンパーを製造していた会社で」と記載していましたが、「油圧ダンパーを製造している会社で」に改めました。

【8月6日23時20分】記事初出時、「キポンの新型ティルト・シフトマウントアダプターは焦点工房にて税込3万4,800円」としていましたが、正しくは「キポンの新型ティルト・シフトマウントアダプターは焦点工房にて税込2万9,800円」でした。