デジカメドレスアップ主義
ディテールが技アリなドレスアップ
ライカM(Typ 240) + Elmar 3.5cm F3.5
Reported by澤村徹(2014/8/13 10:00)
- ボディ:ライカMタイプ240
- レンズ:ライツ エルマー 3.5cm F3.5
- マウントアダプター:近代インターナショナル LMリング
- カメラケース:ユリシーズ ライカM TYPE 240ボディスーツ(チョコレート)
- ストラップ:ザ・ビーグル タワーブリッジ(カプチーノ)
ユリシーズからライカMタイプ240用のレザーケースが発売になった。ライカMの登場は2013年3月だから、一年以上たってのリリースとなる。デジタルM型ライカは息の長い製品とは言え、ずいぶんとマイペースなタイミングである点は否めないだろう。
むろん、設計開発が後回しになっていたのではなく、完成度を高めるために時間を要したことは想像は難くない。事実、ディテールに様々なこだわりを持ったライカMケースだ。今回はユリシーズのライカMボディスーツを軸に、技アリなディテールに満ちたドレスアップを紹介しよう。
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ユリシーズのカメラケースはすべてボディスーツの名を冠している。これは装飾品としてのケースではなく、カメラをケースで守るという明確なコンセプトのあらわれだ。この点はライカMケースでも貫かれている。
その象徴とも言えるのが背面のブリッジだ。オープンタイプにすると製造は楽なのだが、ケースのフィット感、そしてカメラの保護という面で不利になる。ユリシーズのライカMボディスーツは液晶上部にブリッジを渡し、なおかつそのブリッジが軍艦部スレスレという背の高い仕様を実現した。ボディスーツという名称の通り、カメラがレザーをその身にまとった姿が圧巻だ。同社は純正シューカバーとの併用を推奨しており、純正シューカバーを装着するとブリッジ部分がボディにジャストフィットする。このこだわりも脱帽である。
次に注目したいのがグリップだ。型絞りで成形している点もさることながら、握りやすさを徹底的に研究している。右手をボディに添えると、自然と指がグリップを握っていることに気づくだろう。
ユリシーズによると、グリップの握りやすさは指の長さによって異なると言う。指の短い人は斜めから握り、指の長い人は横からグリップを握る。ライカMボディスーツのグリップは、どちらの場合でも心地良く握れる最適解を目指した。グリップの高さ、斜めにカットされたライン、計算尽くの形状により、グリップを握ろうと意識しなくても、自然と指がグリップに添えられていることに気づくだろう。
ケース底面には三脚穴がある。この三脚穴の金属パーツは、ライカMボディスーツのために新規製作したものだと言う。ケース固定を兼ねた三脚穴パーツではなく、ケースを貫通していないのが特徴で、純粋に三脚穴としてのみ機能する。なぜこのようなパーツを新規製作したのかというと、デジタルM型ライカはボトムプレートを外してメモリカードやバッテリーを交換する必要があるため、三脚穴に固定すると交換作業がひどく面倒になるからだ。こうした小さなパーツに至るまで、実用性を考慮した発想に基づいている。
ストラップはザ・ビーグルのタワーブリッジを選んでみた。一眼レフにも使えるワイドスタイルが特徴だ。しかし、無骨な見た目に反し、繊細な気遣いに満ちたストラップである。ベジタブルタンニンなめしのイタリアンレザーは購入時からしなやかで、体の線によくなじむ。裏面はヌメ革を貼り合わせ、夏場でも色移りの心配が少ない。
トップラダーシステムと名付けられた長さ調節機構を備え、ショルダーパッド上のふたつの金具で長さ調節が可能だ。カメラ取り付け部も合わせ、最大50cmの長さ調節に対応する。首掛け、斜め掛け、どちらでも最適なバランスで携行できるはずだ。また、ショルダーパッド上の金具はレザーカバーで覆われており、カメラと干渉して傷つける心配が少ない。レザーカバーは着脱できるので、取り外してあえて無骨なスタイルを楽しむのも一興だろう。
レンズはライカスクリューマウントのエルマー3.5cm F3.5を合わせた。特にめずらしいレンズではないが、ポイントは半周型のLMリングを用いている点だ。従来ライカMタイプ240は、半周型LMリングだとライブビュー機能が使えなかった。半周型LMリングは6ビットコードセンサーが露出し、ボディ側がレンズ未装着と判断してしまうためだと思われる。
ファームウェアバージョン2.0.1.5にアップデートすると、「レンズ検出」を「OFF」および「マニュアル」に設定することで、半周型LMリングでもライブビュー動作が可能だ。最近は全周型LMリングが主流だが、フィルム時代からライカを使っている人なら半周型LMリングをいくつか所有しているはず。それらをライカMタイプ240で活用できるのは朗報である。