生まれながらのビンテージ仕様

　PENTAX MX-1は、生まれながらにしてビンテージを運命づけられたようなカメラだ。高性能デジタルカメラのボディといえば、アルミ合金が昨今のトレンドである。そうしたなか、上下面のカバーに真鍮を用い、光沢のあるブラックペイントを施している。経年変化にともない、塗装が剥げて地金の真鍮が顔を出す。使い込んでいくと、クラカメのようなデジカメができあがるわけだ。今回はそんなMX-1のために、ビンテージ志向のスタイルを考えてみた。

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　MX-1のハンドメイドレザーケースは、リコイルから複数の種類が発売されている。ひとつめのドレスアップでは、バケッタレザーのエイジングタイプを選んでみた。ムラ染めはリコイルが得意とする仕上げだが、シボ付きのバケッタレザーとムラ染めの組み合わせが個性的だ。どことなくバーナーで表面を焦がしたような雰囲気さえ感じられる。地金の露出したMX-1とのセットアップが楽しみなケースだ。

　ストラップはグロックレザーのPIW2カメラストラップを選んでみた。六つ編みレザーとスリムなショルダーパッドを組み合わせたスタイルで、ハンドクラフトならではのテイストだ。六つ編み部分は直径1cmほどあり、実物を手にすると見た目以上に迫力がある。二重リングの取り付け部分は六つ編みを厚手の革ではさみ、無骨なスタイルが印象的だ。

　レンズキャップはオリエンタルホビーで取り扱いのあるJJC製オートレンズキャップを装着した。カメラをパワーオンすると、三分割されたキャップを押し分けてレンズがせり出してくる。ハイエンドコンパクトのアクセサリーとしてはいまや定番アイテムといえるだろう。

リコイルのMX-1用バケッタレザーケース/チョコ/エイジングは1万3,600円

JJC製オートレンズキャップは2,100円。オリエンタルホビーで購入できる

ケースの背面は大きく開き、チルト液晶の動きを妨げない設計になっている

付属の真鍮ネジを使い、三脚穴でケースを固定する。フラットなカメラなのでフィット感は上々だ

ショートタイプのPIW2カメラストラップは3万3,000円。Bench made GINZAで注文できる

ごろっと太い六つ編みレザーの迫力に加え、取り付け部分の無骨なスタイルが圧巻だ

ショルダーパッドには刻印が入る。本製品は受注生産品で、カラーオーダーが可能だ

　ふたつめのドレスアップは、リコイルのエイジングカラーでそろえてみた。キャメルのレザーにムラ染めし、その上からコーティングで光沢感を与えている。リコイルの十八番ともいえるアンティーク調のケース＆ストラップだ。ケースデザインは先に紹介したバケッタレザーケースと同様で、チルト液晶に対応しつつ、ボディにタイトフィットする。

　ストラップはMX-1専用となっており、いくぶん細身のショルダーストラップだ。取り付け金具もMX-1のストラップホールに合わせ、特殊加工で小型化している。カメラ装着時に金具がストラップホールに引っかかることなく、快適な撮影が可能だ。ストラップは大半が汎用品だが、このようにMX-1に的を絞った製品化は、ハンドメイドレザーブランドの強みといえるだろう。

リコイルのMX-1エイジングカラーケースは1万5,800円。グラデーション風のムラ染めが美しい

ビンテージ風のデザインだが、レザーの光沢が強く、高級感を感じさせるケースだ

本体背面にガイドが走らない設計なので、ボタン操作や液晶チルトを妨げない

真鍮製の大きなネジで三脚穴に固定する。底面もムラ染めする念の入れようだ

リコイルのMX-1専用ショルダーストラップは1万2,600円。ケースと同様の染めを施している

取り付け金具を加工して、MX-1にフィットさせている。写真の金具は試作品で、製品版はよりていねいな仕上げとなる

　今回はMX-1の経年変化を見越して、ビンテージテイストのレザーケースとストラップを組み合わせてみた。地金の露出を売りにしたカメラだけに、比較的短期間で塗装が剥げてくるのではないか。待ちきれないのであれば、自己責任で塗装を剥離するという手もあるだろう。

　MX-1はカメラ然としたデザインだけあって、レザーケースがよく似合う。オールドスクールなデザインは好みが分かれるかもしれないが、ケース映えするカメラであることはたしかだ。ハイエンドコンパクトというと、GRのように外付けファインダーを付けたくなる。ドレスアップという観点では、ホットシューの未搭載が惜しまれるところだ。

　なお、ストラップのアイレットは小さめで、テープ式のストラップは種類を選ぶ。二重リングは一応装着可能だが、動きがやや渋くなるので要注意だ。この点、リコイルが専用金具を用意したのは実に良心的である。