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【伊達淳一のレンズが欲しいッ!】超望遠レンズとしての“ボーグ”を「101EDII」にアップグレード

〜キレのある描写は魅力だが“資本”も必要
Reported by 伊達淳一

ボーグ101EDIIをペンタックスのK-xに装着したところ

 トミーテックの「ボーグ101EDII」を購入した。焦点距離640mm、F6.3の天体望遠鏡だ。1年半前にレポートした「ボーグ77EDII」と鏡筒を共用できるので、「101EDII対物レンズ」を買い足すだけで、1ランク上のシステムにアップグレードできる。

 ボーグは、対物レンズ、鏡筒、ヘリコイド、延長筒など、さまざまなパーツに分解でき、それらを自在に組み合わせ、自分だけのシステムを作り上げられる。いわば自作PCにも似た楽しさがあるのが魅力だ。また、対物レンズは2群2枚と非常にシンプルな構成なので、超望遠レンズとしては軽量なのも特徴。ただし、天体望遠鏡なので絞りはないし、ピント合わせもMFで、手ブレ補正なんて便利な機構もないし、(同クラスの一眼レフカメラ用交換レンズと比べて)レンズ全長も長いので、取り回しには少々苦労する。

 にもかかわらず、わざわざ不便なボーグを使って野鳥を撮影するのは、野鳥の羽根が驚くほどビシッと解像するからだ。天体望遠鏡は星がちゃんと点像として写ることが求められる。そのため、(画面中央部の)解像力が非常に高く、収差も少ないので、野鳥の羽根の細かな部分までよく解像するのだ。77EDIIでその写りの良さを知ってしまい、今回、さらなる描写性能に期待して、101EDIIを購入したというわけだ。

 77EDIIや101EDIIといった製品名の数字は、対物レンズの口径(直径)を表していて、77EDIIは510mm、F6.6。101EDIIは640mm、F6.3と、101EDIIのほうが約1.25倍望遠で、レンズもわずかに明るいのが特徴だ。その代わり、レンズの大きさ、重さ、価格は77EDIIの倍以上。77EDIIの対物レンズはわずか500gしかないのに対し、101EDIIはレンズセルだけでなく、金属製のフードや延長筒も大きくなっているので、それらを合わせた重量はなんと約1.5Kgにもなる。鏡筒や延長筒、ヘリコイドなど後方のパーツは77EDIIも101EDIIも共通だが、大きく重い対物レンズを支えられるよう、101EDIIは鏡筒バンドを使って三脚に据える必要があり、標準的な構成では、77EDIIよりも1.5Kg以上も重くなるし、レンズ全長も25cm以上長くなる。

 ちなみに、77EDII望遠レンズセットの価格は9万9,800円(実売8万4,800円)、101EDII望遠レンズセットの価格は22万2,000円(実売価格は18万8,000円)だが、ボクは1年半前に77EDII望遠レンズセットを購入済みなので、今回は101EDIIの対物レンズ(16万8,000円、実売価格は14万2,800円)のみを買い足した。


77EDIIよりも解像力は高いが、被写界深度が浅く、難易度は高し

 101EDII対物レンズが到着し、さっそく77EDII対物レンズと交換。覚悟はしていたものの、想像以上に対物レンズが大きく重く、レンズ全長も長い。77EDIIならなんとか手持ちで撮影できないこともないが、101EDIIになると重量バランスがフロントヘビーなこともあって、最低でも一脚や手すりなどのサポートがなければ、とても手持ちでは撮影できそうもない。それに、77EDIIよりも焦点距離が長く、F値も明るいので、手ブレやピンぼけのリスクはますます高くなる。

 というわけで、101EDIIは三脚撮影を前提に、鏡筒のたわみを低減すべく、2点で鏡筒を支持するようブラケット類で補強。鏡筒や延長筒、ヘリコイド等の内面反射対策もしっかり施した。こうした工夫や手間次第で、描写や使い勝手がグッと変わってくるのも、ボーグならではの楽しみのひとつ、といえるだろう。

101EDIIが手元に届いて最初に試みた構成例(上)。まず最初に迷彩柄のテープで白鏡筒を目立たなくし、フェザータッチフォーカサーと鏡筒の中間部分の2点でレンズを保持するようブラケットで補強。一方、度重なるカスタマイズで鏡筒やドロチューブ、延長筒などのパーツが余ってしまったので、ドロチューブホルダのみを買い足せば、77EDII用の鏡筒システムもできてしまった(下)。まさに自作PCと同じで、余ったパーツでもう1台、というわけだ

 さて、ボーグは、カメラメーカーを問わず、さまざまな機種に取り付けることができるが、最初の試写に選んだのは、キヤノン「EOS 7D」。APS-Cサイズで1,800万画素と画素数が多く、画素ピッチも狭いので、1,800万画素本来の描写力を引き出すには、解像力や収差の少なさなどレンズ性能が重要となる。今回、101EDIIを買ったのも、77EDII+1.4倍テレコンバーターでは、EOS 7Dで納得できる描写をなかなか引き出せずにいたので、もしかしたら最新の101EDIIならなんとかなるのでは、と期待した部分もあったりする。

 止まりモノの撮影に限られるが、ピンぼけやブレをできるだけ抑えるには、ライブビュー撮影が適している。ライブビューを10倍まで拡大表示してピントを合わせれば、下手なAFよりもシビアなピント合わせが可能だし、ライブビュー状態でケーブルレリーズを使ってシャッターを切れば、1ショット目はシャッター全開状態から露光が開始されるので、振動が発生するのはシャッターが閉じるときだけ。つまり、風や地面の震動による揺れを抑えられれば、ほぼブレずに撮影できるのだ。

 こうした事前のテストを行なってみたところ、確かに77EDIIよりも解像力の高さが感じられ、より望遠になっていることもあって細かい部分まで解像することが確認できたが、77EDIIよりもわずかだけどもにじみが多く、切れ込むようなシャープさに欠ける感がある。101EDIIに対する期待が大きすぎる、という面もあるが、ライブビューでピント合わせをする際も、解像力のピークとコントラストのピークが微妙に違っていて、ピント合わせがむずかしい。おそらく球面収差の影響と思われる。

 もちろん、ちゃんと解像力のピークでピントを合わせ、ブレに気をつけて撮影すれば、77EDIIよりも解像力があり、倍率が高いこともあって被写体の細かい部分まで再現できる。ただ、「1.4XテレコンバーターGR[7215]」を装着するとにじみが強調され、被写体までの距離が遠くなるほど、満足できる鮮鋭度が得られなくなる。少なくともEOS 7DではテレコンバーターGRを装着するよりも、トリミングしたほうが鮮鋭度が高いくらいだ。念のため、光軸ズレなどがないかトミーテックに点検を依頼し、一応、調整してもらったのだが、軸上色収差が多少軽減したものの、球面収差と思われるにじみについてはさほど改善は見られなかった。残念!

 遠くの被写体をより高倍率で写すという目的を達成するためには、やはりテレコンバーターは不可欠だ。101EDIIでテレコンバーターが実用上使えないとなると、77EDIIに1.4倍テレコンバーターを装着したほうが、遠くの野鳥をより大きく写せることになる。もちろん、101EDIIを直焦点で撮影した場合には、640mmでF6.3という明るさが武器となるわけだが、当初の目論見が早くも崩れ始めてきたのだった。



【101EDIIと77EDIIの描写比較】

 超望遠撮影では、ブレやピンぼけに加え、大気の揺らぎの影響を強く受けるようになる。特に、夏場は気温が高く、地表近くではわずか5m程度の距離でもライブビューを拡大表示してみると、像がゆらゆらと揺れているのがわかるくらいだ。そのため、もっと絵になるシーンで比較撮影をしようと頑張ってみたものの、大気の揺らぎの影響を受けにくいシチュエーションは残念ながら見つけられず、最終的に、“電柱”というきわめて無粋な被写体に落ち着いた。

 写真を見てわかるように、高い位置から電柱を撮影しており、しかも、天気はどん曇り。これは、前述したように大気の揺らぎの影響をできるだけ排除するためだ。また、電柱までの距離は約30mで、大気の揺らぎの影響を考慮するならもっと距離を縮めて撮影したほうがいいのは確かだが、ボクが撮影しにいく近所の川では、対岸の枝に止まったカワセミを撮ることがほとんどなので、これくらいの距離で十分な解像力が得られないとボーグを使う意味がない。5〜6mの距離まで近づいて撮影できるなら500mmをカバーする超望遠ズームでも十分だからだ。

 101EDIIと77EDIIの画角を比べてみると、焦点距離の差だけ101EDIIのほうが大きく写せるのがわかる。77EDIIに1.4倍テレコンバーターを装着すると、わずかに101EDIIの直焦点よりも倍率が高くなるが、101EDIIのほうが1絞り以上明るく、テレコンバーターを使わなくてもそれなりの倍率で写せるのが魅力だ。

 ただ、101EDIIにテレコンバーターを装着すると、金具に光が当たって反射している部分などハイライトのにじみがやや大きくなり、もっと晴れて輝度差が大きくなると、ますますその傾向が顕著になる。最初は鏡筒内の内面反射を疑って、内面反射が気になる部分に植毛紙を貼って徹底的に内面反射対策を施したものの、結果は大して変わらなかった。被写界深度もますます浅くなるので、わずかなピントのズレでも解像力に大きく影響するのも、大口径、長焦点ゆえのむずかしさだ。こうして比較テストをしてみると、同じ1.4倍テレコンバーターでも、「GR[7215]」よりも「DG[7124]」(GRよりもゴーストが出にくい高級タイプ)のほうが倍率はやや低いものの、にじみが少ない感じだ。

テレコンバーターの比較

※作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、別ウィンドウに800×600ピクセル前後で表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。(以下同)

極端な例だがこれが空気の揺らぎ。夏の航空ショーでも、離着陸シーンを撮ろうと最前列で頑張ってみても、200mm程度の焦点距離でアップで撮れるくらいの距離でなければ、陽炎が立ってまともな写りは期待できない。こればかりはボーグを使ってもどうにもならない自然現象だ
EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/1,600秒 / 0EV / ISO320 / マニュアル露出 / WB:5,000K
77EDII
EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/1,000秒 / -0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート
77EDII+1.4倍テレコンバーターGR
EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/400秒 / 0EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート
77EDII+1.4倍テレコンバーターDG
EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/640秒 / -0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート
101EDII
EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/1,000秒 / -0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート
101EDII+1.4倍テレコンバーターGR
EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/500秒 / -0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート
101EDII+1.4倍テレコンバーターDG
EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/400秒 / -0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート

101EDII直焦点+EOS 7Dの実写サンプル

EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/1,250秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:太陽光 EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/400秒 / 0EV / ISO640 / マニュアル露出 / WB:オート
EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/400秒 / 0EV / ISO500 / マニュアル露出 / WB:太陽光 EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/1,000秒 / 0EV / ISO500 / マニュアル露出 / WB:太陽光
EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/1,000秒 / 0EV / ISO500 / マニュアル露出 / WB:太陽光 EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/640秒 / 0EV / ISO800 / マニュアル露出 / WB:5,000K
EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/800秒 / 0EV / ISO500 / マニュアル露出 / WB:5,000K EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/640秒 / 0EV / ISO500 / マニュアル露出 / WB:5,000K
EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/1,000秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:5,000K EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/1,000秒 / 0EV / ISO500 / マニュアル露出 / WB:5,000K
EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/3,200秒 / 0EV / ISO200 / マニュアル露出 / WB:5,000K EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/500秒 / 0EV / ISO500 / マニュアル露出 / WB:太陽光

自作の対物絞りで鮮鋭度がアップ!

 これが一眼レフカメラ用の交換レンズなら、絞り開放は光量が足りないシーンなど緊急用と割り切って、通常は1/2段ほど絞って撮影すれば球面収差も収まって、キレの良い描写が引き出せるところだが、なにしろ天体望遠鏡なので、絞りはない。別売パーツのなかに、「絞りM57[7057]」という20枚羽根の絞りユニットがあることはあるのだが、これは60φ鏡筒を使用するミニボーグ用のパーツで、101EDIIや77EDIIの80φ鏡筒に流用するのはちょっとむずかしい。

 そこで、対物レンズの前に自作の絞りを被せ、テレコンバーター装着時の画質が改善するか試してみることにした。絞りといっても、ホームセンターで買ってきた黒い発泡板をサークルカッターで鏡筒の内径に合わせて切り抜き、さらに、その中をサークルカッターでくりぬき、ドーナッツ状にする。この穴が絞りだ。とりあえず、90mm径と80mm径の対物絞りを作成して実写テストを行なってみた。

サークルカッターで自作した90mm径と80mm径の対物絞り フード内に自作の対物絞りをセット。着脱も簡単だ。厚紙だと紙が鏡筒内ですれてレンズにゴミが付着する原因となるので、プラスチック系の発泡板を使用している

 結果は効果てきめん。ライブビュー表示を見ただけでも明るい部分のにじみが消え、ピントの山も掴みやすい。写りも非常にシャープになり、被写界深度も少しだけ深くなったこともあり、野鳥の羽根がビシッと解像するようになった。これならテレコンバーターを使用してもなんとか満足できる画質だ。

 なお、ボーグのテレコンバーターには、望遠レンズセットに付属する「1.4XテレコンバーターDG[7214]」と、耐ゴースト性能を向上させた「1.4倍テレコンバーターGR[7215]」の2種類があるが、同じ1.4倍でもGRのほうが少しだけ高倍率。また、DGのほうがアウトフォーカス部分のハイライトの青にじみが気になるが、合焦部分のにじみ感はGRのほうが顕著だ。

 ちなみに、対物絞りでどれくらい明るさが落ちるかというと、本来は101mm口径なので640mm÷101mm≒F6.3なのに対し、90mm径の絞りを入れると640mm÷90mm≒F7.1、80mm径の絞りを入れると640mm÷80mm=F8.0となる。つまり、1/3段ずつ絞られていく計算だ。せっかく明るいレンズをわざわざ暗くして使うなんて……とは思うものの、わずか1/3〜2/3段だけシャッタースピードを落とすか、感度を上げるだけで、グッと画質も歩留まりも良くなるので、背に腹は替えられない。

 というわけで、テレコンバーター装着時はもちろん、直焦点撮影時にもできるだけ80mmもしくは90mmの対物絞りを入れて撮影するのを基本とし、光量が絶対的に不足し、わずかでもシャッタースピードを稼ぎたいときだけ対物絞りを外して撮影する、というのがボク流の101EDIIの使い方だ。

対物絞りの効果

 対物絞りを自作し、1.4倍テレコンバーターGR[7215]を装着した101EDIIで、その効果を確かめてみた。80mmの対物絞りを対物レンズの直前に置くと、シャッタースピードは2/3段ほど遅くなるが、にじみが消え、被写界深度も深くなることもあって、鮮鋭度とコントラストがグッと向上する。

80mmの対物絞りを入れ、テレコンバーターDGで撮影した半月。風が強く、大気の揺らぎがかなり大きく、シーイングはあまり良くなかったが、小さいクレーターまでクッキリと写っている。後処理で適切にアンシャープマスクをかければ、より解像感の高い仕上がりが得られるはずだ
EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/320秒 / 0EV / ISO320 / マニュアル露出 / WB:4,100K
対物絞り無し
EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/800秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:太陽光
対物絞り有り
EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/500秒 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / WB:太陽光
対物絞り無し
EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/500秒 / 0EV / ISO800 / マニュアル露出 / WB:オート
対物絞り有り
EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/320秒 / 0EV / ISO800 / マニュアル露出 / WB:オート

AFボーグ用にペンタックスK-xを購入!

 やはり、MFオンリーというのが、ボーグ導入の最大の壁だろう。特に101EDIIともなると、レンズ全長はかなり長くなるし、長時間、安定して手持ち撮影するにはそれなりの腕力が必要なので、一般的には三脚撮影が無難だ。しかし、レンズが重くなったうえに、それをしっかり支えられるだけの三脚も持ち歩くとなると、機動力が大幅に低下してしまう。

 いったん場所を決めたらそこから動かない撮影、例えば、ブラインドに入って静かに野鳥を待ち伏せするような撮影ならそれでもいいが、ボクのように、住宅地の間を流れる小川を散歩しながら野鳥を撮影する場合には、できるだけ三脚は持ちたくないのが本音。最初は、101EDIIとジッツオ「GT2540LVL」+「G2380ビデオ雲台」、それにレンズ鏡筒のたわみを抑えるレンズサポートを頑張って持ち歩いていたものの、やはり暑さと重さで体力を消耗する。だんだん101EDIIを持ち出すのが苦痛になってきてしまった。

 そこで、考えたのがシステムの軽量化だ。そもそも101EDIIとEOS 7Dを組み合わせたのは、EOS 7Dが非常に高いレンズ性能を要求するカメラだからで、101EDIIなら1,800万画素の高精細描写を余さず引き出してくれるものと期待したからだ。ただ、実際にはなかなか満足できる描写を引き出せず、可能な限り、ブレとピンぼけを抑えるべく、どんどん足回りを固めていった結果、ますます体力に負担のかかる構成に陥ってしまったのだ。

 この負のスパイラルを断ち切るべく、思い切って導入したのが、ペンタックス「K-x」だ。EOS 7Dよりもボディが軽量で、装着レンズの焦点距離を手動で設定すれば、ボーグでもボディ内手ブレ補正が効く。そして、2009年2月のレビューで紹介したように、ペンタックスのAFアダプター1.7Xと組み合わせれば、ボーグを半AF化できる。

これがペンタックスK-xによる101EDII AFボーグの構成例だ

 ボーグを半AF化できれば、基本的なピント合わせはドローチューブの出し入れだけでまかなえるので、なめらかなMF操作のために導入したフェザータッチフォーカサー(FTF)やレンズ鏡筒を支えるサポートが不要となり、代わりに、77EDIIのフロントヘリコイド化で使用したM68.8→M57AD[7507]と、軽量な割に可動範囲の広いM57ヘリコイドLII[7860]を装着することで、全体で約1Kg以上軽量化が可能。

 半AF化する際に、ACクローズアップレンズNo.3をレデューサー(焦点距離を短くし、F値を明るくする補正光学系。テレコンバーターの逆の役割を果たす)代わりに入れることでレンズ全長が短くなり、レンズの重量バランスが改善されるので、短時間なら手持ちでもなんとかレンズを支えられるようになる。こうした軽量化を行うことで、K-xボディも含めたトータルの重量は約3.2Kg。これで、焦点距離800mm、35mmカメラ換算1,200mm相当の超望遠撮影が可能なことを考えると、かなり軽量なシステムだ。

 また、三脚の代わりに、Y字ホルダーHT-2を装着した自立式一脚を導入し、半手持ち撮影を基本とすることで、持ち歩く荷物の重量を大幅に軽くできる。レンズの前方部分をY字ホルダーに乗せると、撮影者と一脚の2点でレンズを支えるので、貧弱な三脚や雲台よりも安定度はグッと増す。AFアダプターとドローチューブ伸縮による半AF撮影ができるからこそ、実践可能なスタイルだ。

ボーグから発売されているY字型サポート「HT-2」。底部にカメラネジ穴があるので、一脚や三脚に取り付けると、101EDIIのような大きなレンズでも半手持ちで楽に撮影できる レンズ先端の重量をこのY字サポートに預けるようにすると、カメラとレンズ先端の2点でレンズを保持する形となり、レンズの中央付近1点で支えるよりも安定したホールディングが期待できる。また、ドロチューブの伸縮やヘリコイドの回転も非常にスムーズになる

 以上、101EDIIが手元に届いてから約1カ月半ほど試行錯誤してみたが、改めて感じるのは77EDIIのバランスの良さだ。描写性能といい、価格といい、77EDIIの満足度は実に高い。一方、101EDIIは、確かに77EDIIよりも解像力があり、腕と工夫次第でキレのある描写が得られるものの、77EDIIの2倍以上の投資と、3倍以上の手間と労力に見合う画質向上が期待できるかというと微妙なところ。

 それに101EDIIはレンズが大きく目立つので、レンズを向けるや否や、野鳥に逃げられてしまう率が高い。そういう意味では、小型の77EDIIのほうが野鳥に警戒されにくく、近づける率が101EDIIよりも高いし、軽量なのでフットワークを活かした撮影も可能だ。

 101EDIIでさらなる好結果を得るには、カモフラージュネット撮影ブラインドを使用して、被写体との距離をもっと縮める努力が必要なのかも知れないが、住宅地を流れる川でブラインドというのも怪しすぎるので、どうしたものかと思案中だったりする。

101EDIIの実写サンプル(カメラはすべてK-x)

K-x / 2,848×4,288 / 1/1,250秒 / 0EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:太陽光 K-x / 4,288×2,848 / 1/800秒 / F4.5 / 0EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:太陽光
K-x / 4,288×2,848 / 1/500秒 / F4.5 / 0EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:太陽光 K-x / 4,288×2,848 / 1/250秒 / 0EV / ISO1000 / マニュアル露出 / WB:太陽光
K-x / 4,288×2,848 / 1/1,600秒 / -0.7EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:太陽光 K-x / 4,288×2,848 / 1/800秒 / F8 / -0.3EV / ISO1000 / 絞り優先AE / WB:太陽光
K-x / 4,288×2,848 / 1/400秒 / F9.5 / -1.3EV / ISO640 / 絞り優先AE / WB:太陽光 K-x / 4,288×2,848 / 1/160秒 / F9.5 / -0.3EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:太陽光
K-x / 4,288×2,848 / 1/320秒 / F9.5 / +0.3EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:太陽光 K-x / 4,288×2,848 / 1/250秒 / 0EV / ISO640 / マニュアル露出 / WB:太陽光
K-x / 4,288×2,848 / 1/500秒 / F9.5 / +0.3EV / ISO1600 / シャッター速度優先AE / WB:オート K-x / 4,288×2,848 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO1250 / シャッター速度優先AE / WB:太陽光
K-x / 4,288×2,848 / 1/500秒 / F9.5 / -0.3EV / ISO320 / シャッター速度優先AE / WB:オート K-x / 4,288×2,848 / 1/640秒 / F9.5 / -1EV / ISO320 / シャッター速度優先AE / WB:オート
K-x / 4,288×2,848 / 1/400秒 / F9.5 / 0EV / ISO1250 / シャッター速度優先AE / WB:オート K-x / 4,288×2,848 / 1/640秒 / F8 / 0EV / ISO1600 / シャッター速度優先AE / WB:オート
K-x / 4,288×2,848 / 1/640秒 / F6.7 / 0EV / ISO1600 / シャッター速度優先AE / WB:オート K-x / 4,288×2,848 / 1/400秒 / F9.5 / 0EV / ISO640 / シャッター速度優先AE / WB:オート
K-x / 4,288×2,848 / 1/400秒 / F9.5 / -0.3EV / ISO250 / シャッター速度優先AE / WB:オート K-x / 4,288×2,848 / 1/320秒 / F9.5 / 0EV / ISO1250 / シャッター速度優先AE / WB:太陽光





伊達淳一
1962年生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業。写真、ビデオカメラ、パソコン誌でカメラマンとして活動する一方、その専門知識を活かし、ライターとしても活躍。黎明期からデジタルカメラを専門にし、カメラマンよりもライター業が多くなる。自らも身銭を切ってデジカメを数多く購入しているヒトバシラーだ。ただし、鳥撮りに関してはまだ半年。飛びモノが撮れるように日々精進中なり

2010/7/30 00:00