インタビュー

メーカーインタビュー2013:富士フイルム編

ラインナップ拡充を果たした“Xシリーズ”、その目指す方向とは

 今年、富士フイルムはアグレッシブに新製品を投入してきた。3年前のフォトキナで開発発表されたFUJIFILM X100を皮切りに、ローパスフィルターレスのX-Trans CMOSを搭載するFUJIFILM X-Pro1でミラーレスカメラ市場に参入。「Xシリーズ」として、コンパクトデジタルカメラにも独自の高付加価値カメラを投入してきたが、今年は特に、位相差画素を搭載したX-Trans CMOS IIを一部製品に投入したことが話題になった。

 Xシリーズのクラシカルなルックスやダイヤル操作がフィーチャーされがちな富士フイルムだが、独自の技術やデバイスを使い、ユニークな世界観を描いている点で、フルラインナップを揃えるメーカーとは異質な存在と言えるだろう。

 そうしたこともあり、富士フイルム 光学電子映像事業部 営業部 マネージャーの岩田治人氏と上野隆氏から、まずは富士フイルムのデジタルカメラ製品に関する考え方を伺った。

富士フイルム 光学電子映像事業部 営業部 マネージャーの岩田治人氏と上野隆氏

ファームウェアによるアップデートも

−−今年1年を振り返って市場動向と、それに対比しての富士フイルム製デジタルカメラについてお話をいただけますか?

 まずは、我々がこの1年間どのようなことをXシリーズで行なってきたかをお話させてください。

 今年は、レンズ交換式が3機種(X-M1、X-A1、X-E2)、レンズ一体型が3機種(X100S、X20、XQ1)と合計6機種のXシリーズを投入致しました。昨年発売したX-EシリーズもX-Trans CMOS IIに進化させたFUJIFILM X-E2になりましたし、X-Pro1を除くレンズ交換式カメラは、今年すべてモデルチェンジあるいは新機種という形で投入しました。

FUJIFILM X100S。人気の高いX100を位相差AF対応にリファイン。その他細かな調整が行なわれている

 Xマウント交換レンズもトータル10本になりました。さらに来年3月までに、あと2本を追加する予定です。Xシリーズのレンズ交換式カメラで写真を愉しんでいただいているお客様に、豊富な交換レンズを愉しんでいただきたいと思いますので、ハイペースでレンズのラインナップを揃えています。

 そしてもうひとつ。あまり訴求点としてお伝えできない部分ですが、Xシリーズは新製品を出すだけではなく、ファームウェアのアップグレードで性能を磨き込むことを旧モデルに対しても行なっています。たとえばX100Sのアップグレードはもちろんですが、同時にX100向けのファームウェアもブラッシュアップし、AF性能などを向上させています。富士フイルムのXシリーズでは、過去の製品もしっかりとサポートし、大切にお客様に使って欲しいからです。

 また、一部のWebサイトで囁かれているX-Pro1後継機に関してですが、当面の間は新製品の予定はありません。やはりフラッグシップ機ですから、頻繁に新製品を投入するのではなく、最高級機として十分に納得戴けるものに仕上げてから投入したいと考えています。一方で、現行モデルについては、できる限りお客様の声を進歩させて改善を図っていきたいと思います。すでにX-Proでは“発売当初と比べると、AF速度がまるで別製品のようになった”との声もいただいていますが、

 この年末では、新機能や性能向上を果たした新ファームウェアをX-Pro1、X100s、X-E2、X-E1向けに提供させていただきます。X-Pro1に関しては予定よりも遅れましたが、12月19日に全機種向けのファームウェアを提供します。とりわけ、X-Pro1のファームウェア更新による機能向上は大きなものになるので、ご期待ください。

−− Xシリーズを始めた当初は、“X”という印がどんな意味を持つものなのか、要素技術に根差すものなのか、それともコンセプトなのか、見えにくい部分もあったように思います。しかしその後、ハイブリッドビューファインダーだけでなく、独自のCMOSセンサーやAF方式が加わり、技術的な裏付けが強化されてきた。それと同時に操作性やデザイン面も……とイメージが構築されて、ユーザーとメーカーが一緒に作るコミュニティのようになっていますね。“Xシリーズとは?”という問いに対する、もっとも的確な答えとはなんでしょう。

 もちろん、よい写真を撮影するためのハードウェアも重要なのですが、Xシリーズの強みは何かと言えば、一番は写真メーカーならではの、色再現です。そのことを理解していただくために、最近は製品の良さを“写真そのもの”で説明できるよう、さまざまなフォトグラファーの写真を使っています。

 今、世界中でXシリーズの写真を提供していただいている「X-Photographer」が世界43カ国で約180人くらいいらっしゃいます。彼らの写真を通じて、“こうだから富士フイルムのカメラはいいんです”と数字では説明できない特長を紹介しています。

 たとえばX-Photographerの一人であるデビッド・ホビーは、Xシリーズの良さを端的に表す写真として、日没時にごく短時間ある“ブルーアワー”をイメージ通りに捉えられる点を挙げています。ブルーアワーとは、日没時に青紫に世界が染まったように見える時間帯ですが、これはフィルムの特性に依存していた部分のため、一般的なデジタルカメラでは撮影できません。撮影時に期待される色、従来からの写真の中にある色による表現。それらをコンパクトなカメラで捉えられる。

 また、一眼レフとの比較になりますが、こうした色再現に加え、ミラー動作音がなく、デザインの面でも被写体に意識をさせないボディサイズやデザインだからこそ、街中での撮影も自然な雰囲気を出せます。これが前記のような色再現と一緒になって“Xシリーズならでは”の作品性を引き出せます。Xらしさの1番は、まず色再現ですね。

−− かなり前のことなので、最新の製品では変化していると思いますが、カラーパッチを富士フイルムのカメラで撮影すると、明らかに違う色に写るパッチがある、ということがありました。肌色も写実的とは言えない。ところが撮影した写真を見ると、不自然に感じるところがない。不思議なものだと思いました。以前から色再現に関しては何度もお話をされていますが、具体的になぜ“富士フイルムならでは”の特徴になっているのでしょう?

 それは銀塩フィルム時代のノウハウを、デジタル時代に再構築しているからです。フィルム時代は一般的に、日光とタングステン光、ふたつのスペクトラムに対応したフィルムしかありませんでした。この二つからいずれかを撮影者が選ぶのですが、実際にはデーライトだけ、タングステンだけ、といったことはありません。

 実際の撮影シーンは大多数がミックス光で、さまざまな特性の光が混じり合っています。フィルムメーカーは、それぞれにミックス光対策でどのように色再現するのが人の眼に近い感じ方になるのかを工夫していました。たとえば代表的なポジフィルムのベルビアやプロビアは、発売初期の頃から改良を積み重ねてミックス光対策を行ない、補正フィルタの効きが今では当初の半分くらいで充分になっています。

 銀塩フィルム時代は、その対策を化学反応でコントロールしていましたが、今はデジタル処理で実現できます。ノウハウの蓄積があるため記憶色、期待色をデジタルの領域で出しています。

−− 富士フイルムのカメラにはフィルムシミュレーションモードが搭載されていますが、これはフィルムそのものの特性を真似たというよりは、それぞれのフィルムブランドが目指した色再現をデジタルで実装したものということですね。

 記憶色や期待色とはどういうものか? という部分は、同じ人間ですから昔から変わっていません。実際はそんなに鮮やかでもきれいでもない色が、頭の中で期待色に調整される。それを強烈に表現したものがベルビアモードであり、程よいものがプロビア、忠実度が高いアスティアといったように作られています。“現実的な範囲”をキープしながら期待色とする部分は、フィルムメーカーの核となる技術。そこを理解していただきたい。

 もちろん、カメラのハードウェアも良くなるように開発・改良を続けています。しかし、あっと驚くような大幅な小型化や、Wi-Fiなど無線技術を使った最新の機能、といった部分はニーズに対応できるよう開発は継続して行なっていますが、決して富士フイルムとして“強い”部分ではありません。我々としては、自分たちの強み、特徴をきちんと出す手段として、徹底的に色再現と画質に拘っています。

ミラーレス構造である意味とは

−− フィルムメーカーだからできる色再現と、一眼レフカメラにはない、いい意味で存在感を感じさせないデザインや動作音の静かさが、写真そのものを変えるということですね。富士フイルムはレンズ交換式カメラの事業を始めるにあたって、“一眼レフ”ではなく、いわゆるミラーレスカメラから始めました。この選択も、そうしたXシリーズのポリシーから来たものですか?

 X-Pro1を発表した当初、“ミラーレスカメラの割には大きいし重いし値段も高い”との声が一部にありました。しかし、我々は別の目的でこの構造を選びました。それは今後の技術進歩も考慮した場合、ミラーレス構造の方がよりよい写真を撮れると考えたからです。富士フイルムには35mmフィルムカメラ時代のレンズ資産はありませんから、自分たちらしいよい写真のためのカメラとは何かを考えて採用したんです。

 たとえば“機動性”。一眼レフほど威圧感を与えず、静かな動作音で撮影できます。一眼レフカメラは今、想定以上に市場が縮小していて、我々の持っているデータでは、台数ベースで15%程度落ちています。その理由として見ているのが機動性です。

 たとえば花嫁の着付けシーンなど、一眼レフほどの存在感を示さないため、X100SやX-Pro1などで撮影すると、小さな音で自然な表情を撮影できます。また光学ファインダーを搭載しないモデルも、X-E2になってX-Trans CMOS IIの像面位相差AFを利用できるようになり、AFスピードの欠点をカバーできるようになりました。これにより”速写性”という面でも大きく進むことができました。一眼レフとは異なる軽快さ、機動性がミラーレスカメラにはあります。

FUJIFILM X-E2。FUJIFILM X100Sに続き、像面位相差AFを利用できるX-Trans CMOS IIを搭載

 これに加えて最新の設計・生産技術で作られる高精細な交換レンズが10本以上揃ってきたこと。結像性能が良くなければ写真は良くなりませんから、XFレンズはもちろん、小型・軽量を意識したXCレンズも、ハイレベルの結像性能を実現しています。

 デジタルカメラ市場が成熟し、ユーザーも画質に対してこれまで以上に厳しく見るようになってきています。しかし、それ故に色再現、描写力といった“画にこだわる”富士フイルムの良さを認知してもらえるようになってきたと感じています。

−− やはり富士フイルムへのインタビューとなると、いくら年末インタビューとはいえ、業界トレンドよりも“製品へのこだわり”に向かいますよね。すでにXシリーズを手にしたユーザーは、そうした“X”という印に対する富士フイルムのコミットメントを充分に理解していると思いますが、Xシリーズの特徴の多くは“体験型”ですよね。写真をよく知っている人ならば想像もできますが、“本当のところどうなの?”というのは、色にしろ描写にしろ体感してもらうしかない。

 まさにその通りで、Xシリーズの画質、撮影体験をどのようにして広げていくのか、というところが重要だと考えています。現在はファームウェアのアップデートでかなり改善していますが、当初はかなり厳しい意見もいただいていました。ところが、厳しい意見はいただいても、そのまま使い続けてくれる方も多い。

 たとえば、Xシリーズファンの方々はもちろんなのですが、写真家の方々にもXシリーズに対する理解を深めていただいている方が増えています。X-Pro1、X-E1を発売したとき、多くの著名な写真家に評価していただいたのですが、“初めて使ったときは(AFが思い通りに行かず、操作性や機能もこなれていなかったので)投げつけてやろうとかと思った”と言う人もいました。しかし、一方で出てくる画の質は最高だ。そこだけは認めようと。

 そこをスタート地点に操作性やAF性能を磨いていきました。例えば、X100SはX100に対して70箇所以上、X-E2はX-E1に対して60箇所以上の改良をしました。さらにファームウェアでの改良も続けています。3年前は“X”は“エックス”ではなく“ペケ”だと呼ぶカメラマンもいらっしゃいましたが、今ではこのカメラマンは180度転換して”完全なX愛好家”になって戴いています。

 今秋、Xシリーズを愛用していただいている(海外の)著名写真家4人を招いて、開発の参考にするための座談会を行なったことがあります。その中には先ほどの苦言を戴いた方もいらっしゃったのですが、みなさんが“Xシリーズが愛おしくなっている”と本気で言ってくれるんです。この画質は他に換えられないと。今後もそこを極めていきますが、トップエンドのX-Pro1を頻繁にモデルチェンジはできないので、少しでも使いやすくなるよう今後もファームウェアによる改良を続けていきます。そうしたことのひとつひとつが、このシリーズの良さを伝えることになると思います。

“X-Pro2”は「大きなブレークスルー」待ち?

−− 操作性や機能に関しては、Wi-Fiなどハードウェア追加が必要な部分を除けばかなり進歩していますし、コントラスト検出式のAFもX-M1の世代からは大きな不満がないところまで来ていますよね。X-Trans CMOS IIをX-E2に搭載しましたが、これを一気にフルラインに広げる予定はありませんか?

 今年度唯一モデルチェンジしなかったのはX-Pro1だけですが、X-Pro1は(最上位モデルとして)大きなブレークスルーが得られるタイミングで、適切なモデルチェンジを行ないたいと考えていますが、既にX-Pro1のコントラストAFもレンズによっては2倍くらいの速度になっており、いまでは殆どユーザーからの不満の声は少ないんです。

−− 今年は小型化を果たしたファインダーレスのX-M1、そのベイヤー配列センサー版であるX-A1といった製品も加えて、ボディバリエーションは一気にフルラインナップになりました。来年はどんな年になるでしょう?

X-M1。レンズ交換式のXシリーズにおいて、初の小型軽量路線ボディとなった

 “Xらしさ”を表現するためには、よいレンズが不可欠です。発売後にさまざまな経験を積んできたことで、レンズ描写で“富士フイルムらしさ”を出せるようになってきていますし、それに対する高い評価も得られるようになってきました。数字としての明るさや解像力だけでなく、“画に対する印象”での自分らしさの表現です。

 そうした部分をもっと押し進めるためにも、一刻も早くレンズラインナップを強化することが必要です。少なくともできる限り早く、トータル20本くらいは揃えなければダメだと考えています。そのために懸命に新しいレンズを揃えていきますが、ただ揃えるだけでなく、結像性能は1本たりとて落とさないように作ります。もちろん、小型・軽量のニーズもありますし挑戦もしますが、光学機器は正直なので小さくしすぎると確実に描写力は落ちます。

 確かに今はデジタルの画像処理技術が進み、歪曲、シャープネス、カラーバランス、色収差。なんでもデジタルで補正できますし、安価なレンズは電子補正を前提に設計しているメーカーもあります。しかし、富士フイルムは電子補正に頼らず、光学系だけで補正する設計を今もやっています。歪曲収差に関して言えば、XFの単焦点レンズ3本は電子補正ゼロです。補正すれば必ず画質が低下します。また、結像性能を電子補正で補おうとすると、輪郭補正で立体感のない画になります。中には輪郭にシュートが付くほど補正しているものもありますが、Xではそれはやらない。

 確かにボディ価格にプラス1万円のキットレンズはコスト面で厳しい。しかし、そんな低価格のレンズでも、きちんと光学設計で妥協しないことで”フジノン”というブランドを作って行かねばなりません。20本を揃えるところまで全速力で走りますが、すべてのレンズについて高い光学性能を保証します。

−− 具体的にレンズ設計のどんな部分に“こだわり”を盛り込んでいますか?

 たとえばオートフォーカスへの対応。AFの速度を上げることを優先するならば、フォーカスレンズを少なく、軽く設計し、高トルクのモーターを組み込めば加減速を速くできます。しかし、移動させる玉(レンズ)の数を削減することで画質には悪い影響が出てしまいます。

 たとえばXF 35mm F1.4 Rは、100年前に設計されたレンズと同じ構成の8枚玉で、合計100gのレンズを同時に動かしながらAFを実現しています。社外の方に“富士フイルムさん、どこまで徹底してやるの?”と呆れられたこともあります。確かに光学設計を変えれば、0.4秒でAFが完了するところを0.2秒に詰めることができるでしょう。しかし、その0.2秒の差よりも画質の方が大事。それがXのポリシーなんです。

−− Xシリーズのポリシー、スタイルを体験型と言いましたが、説明するのが大変でも、知ってもらうことが難しくとも、体感しないと分からない、他に換えがたいという価値観に今後も徹底的に拘るということですね。これは写真の世界に限ったものではありませんが、“質”と“品位”は違います。品位の高さも高性能を求める上で重要ですが、突き詰めていくと品位が高いだけではダメで“質”にこだわりたくなる。

 世の中には数字で表現できる性能がありますよね。解像力やS/N比、画素数などです。しかし“質”は違います。撮影した写真を数値評価するのではなく、実際に自分の眼で見たときに写真から受ける印象がどうなのか。それこそが画“質”だと思います。画素数にしても2,000万画素ではなく1,600万画素だから“質”の面で納得できるという部分もあるでしょう。

 昔、銀塩フィルムではコダックが世界のリファレンスで、コダックが実現している画質を富士フイルムは目標としていました。コダックのような空気感や立体感を実現したいと思う。でも、空気感には定量的に評価する単位なんてありません。しかし、写真家やフィルムを売り込む営業が欲しかったのは、そういう部分だったんです。たとえば黒背景に白い球体を置いた写真を撮影した時、コダックは白い“球体”に見えるのに、自分たちのフィルムでは白い“円”にしか見えない。ではそれを改善して球体に見せるにはどうすればいいのか。シャドウの付き方なのか、全体のトーンカーブやホワイトバランスなのか。

 我々はそうしたことをずっと突き詰めて研究開発してきました。それは質へのこだわりであって、画素数などの数値ではありません。色再現と階調再現。そこを極めていこうということですね。

CESで新しいレンズを発表

−− 富士フイルムはプレミアムクラスのミラーレスカメラに特化しているわけですが、日本・アジアはともかく、北米や欧州市場ではなかなか定着していません。このあたり、今後をどう見通していますか?

「地域別で見ると、北米市場はレンズ交換式カメラ全体に対して、まだ15%くらいのシェアです。北米市場はカメラの小ささに対するこだわりが少なく、実用性やAF速度が重視されてきたからでしょう。しかし、像面位相差によるAFやコントラスト検出でもソフトウェアの改良で大幅に進歩しています。ここまで大幅に進化してくると、そろそろミラーレスカメラへの注目も高まってくるのではないでしょうか。

 コンパクトデジタルカメラでも、かつては“小さいことに大きな意味は無い”とアメリカの評価者はよく言っていたのですが、小型・薄型カメラの性能が改良されると、一気に認識が変わってアメリカでもスタイリッシュコンパクトが売れ始めました。レンズ交換式も急激に市場環境が変わったりはしないでしょうが、いずれは認識も変化すると思います。

 欧州はカメラという商品に対する目が厳しのですが、“カメラの本質”がミラーレスでも高められることが認知されてくれば、機動性の良さを評価する動きになるだろうと考えています。

 そもそも、レフレックスミラーは必要悪です。一眼レフの構造で数千万画素のセンサーに見合うAF精度を出すのはかなり難しい。もともと、平面性が完璧にできないフィルムで必要な精度を前提に考えられた仕組みですから。しかし、ミラーレスならば完全な平面性を持つイメージセンサーの像面でAFし、撮影前にピンの合っているポイント確認できます。一眼レフカメラでもミラーアップしてライブビューにすれば同じことができますが、そうやって撮影するのであれば、ミラーボックスの空間は大きさの面でも画質の面でも邪魔な存在ですよね。それにホワイトバランスもアート系フィルターも、その結果を確認しながら撮影できます。

 そうしたミラーレスカメラの良さが理解されるようになれば、8:2で一眼レフが多いレンズ交換式カメラの出荷動向で、ミラーレスカメラが50%になる可能性もあると思います。

−− 最後にCES(PMA)、CP+とカメラ関連の展示会が続きますが、どのような展示でXシリーズの魅力を伝えようと考えていますか?

 まず1月、ラスベガスのInternational CESでは、新しいレンズを発表します。我々が伝えたいことは、Xシリーズで撮影された写真を見ていただくことで伝えられるようにしたい。ユーザーが増え、多くの評価をいただいて自信を持ってきている部分もあるので、あらためて“表現者のためのカメラ”であることを、CP+のブースに足を運んでいただくことで感じてもらえるものにします。楽しみにしていてください。

(本田雅一)