写真展
石井陽子写真展「境界線を越えて」
(ニコンサロン)
Reported by 本誌:河野知佳(2015/12/25 12:00)
鹿は、自然界のあらゆる動物と同じように、腹を満たし、糞をし、子供を産み育てる。しかし、多くの野生動物と異なるのは、奈良や宮島では鹿が人の街に棲んでいることだ。
奈良公園の鹿は春日大社の神の使いとみなされ、特別天然記念物として保護されている。宮島でも、鹿たちは観光客のアイドルだ。しかし、そのほかの場所では、鹿は農作物や木々を食べる害獣とみなされている。そのため、多くの地方自治体が鹿の頭数管理を実施しており、全国で年間約36万頭の鹿が「駆除」されている。
人の決めた境界線の中では、鹿をペットのように扱い、その外では害獣として駆除するのは人間たちの都合だ。だが、当の鹿たちは人間たちが引いた境界線を軽やかに越えて、街を闊歩している。そんな鹿たちの自由な姿を作者は撮りながら、人が消えた街を鹿たちが占拠する日を夢想する。
カラー50点(予定)。
会場・スケジュールなど
- ・会場:銀座ニコンサロン
- ・住所:東京都中央区銀座7-10-1STRATA GINZA(ストラータ ギンザ)1・2階
- ・会期:2016年1月5日火曜日~2016年1月19日火曜日
- ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
- ・休館:会期中無休
- ・入場:無料
- ・会場:大阪ニコンサロン
- ・住所:大阪市北区梅田2-2-2ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13階
- ・会期:2016年2月4日木曜日~2016年2月10日水曜日
- ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
- ・休館:会期中無休
- ・入場:無料
石井陽子×タカザワケンジ フォトセミナー開催
作者の石井陽子氏と写真評論家でライターのタカザワケンジ氏の対談。
銀座ニコンサロン:2016年1月14日木曜日18時30分~20時
作者プロフィール
1962年山口県生まれ。85年青山学院大学文学部フランス文学科卒業。神奈川県在住。2005年7月、マダガスカルへの初旅行の3日前に、キツネザルを撮りたくて一眼レフを衝動買いして以来、レンズ越しに見える世界に魅せられて、国内外を旅して動物を撮影している。11年から奈良や宮島などで、人の街に棲み、人間たちの決めた境界線を軽やかに越えて街を闊歩している鹿たちを捉えたシリーズの撮影を開始。15年12月にリトルモアより写真集「しかしか」を刊行。
主な写真展に、14年「mazell-Be!」(Place M)、同年「ONWARD Compe 2014」(Project Basho/フィラデルフィア)、同年「ポートフォリオ・エキシビジョン」(3331 Arts Chiyoda)、同年「OBSCURA 2014 Japanese Photography Showcase」(マレーシア・ペナン)、同年六甲山国際写真祭「RAIEC SHOW 2014」(Gallery TANTO TEMPO)、同年「Angkor Photo Festival」(スライドショー上映)(カンボジア・シェムリアップ)がある。
主な受賞歴に、12年「御苗場 vol.10 横浜 レビュワー賞」ノミネート(小松整司氏)、同年「御苗場 vol.14 横浜 レビュワー賞」ノミネート(テラウチマサト氏、寺内俊博氏)、同年「ONWARD Compe 2014」ファイナリストがある。
雑誌掲載に、13年「SHUTTER magazine」(Vol.10)がある。
web掲載に2014年「PHOTOGRAPHIC Museum OF HUMANITY」、同年「lensculture」、15年「feature shoot」、同年「WIRED.com Raw File」、同年「The Independent New Review&website,UK」がある。