写真展

PHOTO CULTURE WEEK 「CROSSING」企画展
椎名誠写真展「風の道 雲の旅」

(ニコンサロン)

「風の道 雲の旅 ぼくの見てきた空」

気がつくと、空を見ている。昼も夜もだ。それだけいつも空の広いところを旅していたのかもしれない。

よく考えると、ぼくが見ていたのは空だけではなく、雲だったのかもしれない。早朝も夕方も大きな空は雲が主役だ。

夜も雲は見える。一面の曇天では無理だけれど、いくつものカタマリ状になった雲が夜空を流れていくさまは何度も見ている。

夜の闇の中を音もなくでっかい雲が流れていくのを見ていると、体の寒さを忘れるくらい自分の気持が雲にとらわれていることをふいに気づくことがある。

夜空の雲は、雲の用事があって「そっち」の方へ進んでいるのだ。

雲もまた旅をし、地表を行く風は「風の道」を流れているのにちがいない――と、ぼくは自分の旅の途中でよく考える。(椎名 誠)

(写真展情報より)

会場・スケジュールなど

  • ・会場:新宿ニコンサロン
  • ・住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
  • ・会期:2015年4月7日火曜日~2015年4月20日月曜日
  • ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:無料

  • ・会場:大阪ニコンサロン
  • ・住所:大阪市北区梅田2-2-2ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13階
  • ・会期:2015年5月21日木曜日~2015年5月27日水曜日
  • ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:無料

作者プロフィール

1944年東京都生まれ。79年より、小説、エッセイ、ルポなどの作家活動に入る。

主な作品に、『犬の系譜』(講談社)、『岳物語』、『アド・バード』(以上集英社)、『中国の鳥人』(新潮社)、『黄金時代』(文藝春秋)などがあり、近著に『酔うために地球はぐるぐるまわっている』、『埠頭三角暗闇市場』(以上講談社)、『地球上の全人類と全アリンコの重さは同じらしい。』(早川書房)、最新刊は『ぼくは眠れない』(新潮新書)、『EVENA』(文藝春秋)、『アイスランド 絶景と幸福の国へ』(ナショナルジオグラフィック)がある。

また、写真をとりいれた作品に『風の道 雲の旅』『笑う風 ねむい雲』(以上晶文社)、『旅の紙芝居』『いいかげんな青い空』(以上朝日新聞出版)、『ONCE UPON A TIME』(本の雑誌社)、『五つの旅の物語』(講談社)などがある。

なお、89年より『アサヒカメラ』誌上にて、写真と文章による「旅の紙芝居」を連載を始め、現在も継続中である。

(本誌:河野知佳)