写真展
古見きゅう写真展「海の旅人 ワオの物語」
(コニカミノルタプラザ)
Reported by 本誌:河野知佳(2015/3/18 09:00)
地球上の8割を占める海の中は、魚やエビやカニやイルカにクジラなど、無数の生き物たちで溢れています。そのなかでも異彩を放つ存在なのがウミガメの仲間たち。とは言えギラギラと自分の存在を誇示するような激しいアクションや振る舞いはなく、どちらかと言えば、気ままにのんびりと日々過ごしているようにしか見えない、穏やかで優しい海洋生物の代表格。それ故に各地では幸福の象徴として愛されている生き物でもあります。
当初はそこまで特別に深い関心があった訳ではないのですが、表紙にウミガメが登場する写真集「WA!」を作成しているあたりから、何とも言えぬ、味わい深いウミガメの魅力が僕の中にじんわりと広がってきました。
「遊んで遊んで!」とすり寄ってくるわけでもないが、壁のように警戒心を張り巡らせているという訳でもない。野生動物として脇が甘いようにも感じられるが、ちょっと隙のあるその自由な雰囲気がなんとも心地よくなってきたという訳です。それ以来、海の中でウミガメとじっくりと向き合う日々が始まりました。
彼らがジッとしている間は僕も動かない。泳ぎだしたらテンポを合わせ、肩を並べて泳ぐ。ガリガリと岩をかじりながら藻などを食べている時は、逆立ちをするように一緒に顔を並べてみたりもしました。ウミガメに受け入れられるように、そして彼らが行動や表情から発するものを受け止めるように撮る。のんびりと彼らの目線で海の世界を見つめてみると、これまで気付かなかった他の生き物たちとの関わりが、また見えてくるようになりました。
この物語はワオと名付けた一匹の海の旅人が絵本のような海中世界を巡り、たくさんの仲間に出会い、学び、恐れ、喜び、別れを経験し成長していきます。
ワオの旅に思いを重ねるように、一緒に旅に出てみませんか?
(写真展情報より)
会場・スケジュールなど
- ・会場:コニカミノルタプラザ(ギャラリーC)
- ・住所:東京都新宿区新宿3-26-11新宿高野ビル4階(フルーツの高野4階)
- ・会期:2015年4月1日水曜日~2015年4月10日金曜日
- ・時間:10時30分~19時(最終日15時まで)
- ・休館:会期中無休
- ・入場:無料
作者プロフィール
- 東京都出身。本州最南端の町、和歌山県串本にて、ダイビングガイドとして活動したのち写真家として独立。
- 現在は東京を拠点に国内外の海を飛び回り、独特な視点から海の美しさやユニークな生き物などを切り撮り、新聞、週刊誌、科学誌など様々な媒体で作品や連載記事などを発表している。著書に海の生き物たちのコミュニケーションをテーマとした写真集「WA!」(小学館)などがある。