写真展
田沼武能写真展「むさしの日記」
(オリンパスギャラリー)
Reported by(2014/5/1 08:20)
私は武蔵野の自然と人びとの暮らしに魅せられ、通い始めて半世紀になる。そんなに武蔵野に通ってよく飽きないね、と人に言われる。武蔵野は私にその都度違った顔を見せてくれるので飽きることはない。勿論、自分自身のその時どきの心境にも左右されるのだが通い続けている。撮影に出かける日は、「今日はどんな出会いがあるか…」少年時代の時のように晴れやかになる。ある農学博士は、「里山や農村、日本人は農耕民族なので、稲作文化は心のふるさとなのだ」と言っていた。私の武蔵野通いは、心のふるさとへの憧憬なのかも知れない。
明治の小説家 国木田 独歩は、著作「武蔵野」に見られるように林をこよなく愛したことで知られる。
私がよく訪れるところに三富新田がある。埼玉県の南西部にあり、江戸時代に川越藩主柳沢吉保が開拓した。この地域の特色は短冊状に区割りしてあり、平地林(雑木林)と農地、屋敷地がセットでできている。雑木林は燃料となり、落葉は堆肥として農作に使う、極めて合理的にできていた。いまは、燃料は灯油に、堆肥は化学肥料にかわり雑木林は利用の場を失ってしまい、荒れ果てるばかりであった。それが近年になり、手入れをするボランティアが現われ、昔の姿を取り戻しているのも嬉しい。そこでは落葉掃きの会や森の即興オーケストラを聴く会などが開かれるなど、訪れる人びとは緑や自然を満喫している。
いま、国木田独歩の時代のような広大な林は望むべきもないが、「小さな武蔵野」は、そこかしこに散在している。そんな武蔵野を追い求め、撮影を続けている。武蔵野は私にやすらぎを与えてくれる場なのである。その時どきの感動を皆様にお伝えしたく近作から約40点を選び「むさしの日記」として展示することになった。ご高覧いただければ幸甚と存じます。
(写真展情報より)
- オリンパスギャラリー東京
- ・住所:東京都千代田区神田小川町1-3-1 NBF小川町ビル1F
- ・会期:2014年5月15日木曜日~2014年5月21日水曜日
- ・時間:10時~18時(最終日15時まで)
- ・休館:日曜日・祝日
- ・入場:無料
- オリンパスギャラリー大阪
- ・住所:大阪府大阪市西区阿波座1-6-1 MID西本町ビル1階
- ・会期:2014年7月4日金曜日~2014年7月10日木曜日
- ・時間:10時~18時(最終日15時まで)
- ・休館:日曜日・祝日
- ・入場:無料