写真展

杉田一哉写真展「THE TERRAIN」

(ニコンサロン)

国道沿いの平坦な道。田畑を抜けると、時折目に留まるものがある。高くそびえる支柱と風に煽られる無数の網だ。ショッピングモールなど無い閑散とした町の中では、文字通り浮いて見える。里帰りで通る道にも当然のようにあって、鳴り響く音につられ、作者は足を踏み入れた。

訪れる人の大方は明確な目的をもっている。ここは打つための場所だ。一面に散る白い球や数字は、打つ人にとって指標となっていく。場違いだと自覚しつつも、作者は広大な水面に目を向ける。目の前に広がる人為の軌跡。自然と人工。言葉にする前にやってくる、ただ眺める感覚と、立ち尽くす作者だけが残された。

タイトルで用いた“terrain”は「地形、地勢」といった意味をもっている。地形は土地の高さや起伏を、地勢は周辺を含む土地のありさまを示している。

都心から離れ、地方に赴くと、撮影地と周辺の土地の様子が一致することが多くなった。山間部では周囲の地表が地続きに現れ、ため池の多い地域では留まる水が利用される。特に変わったことのない当たり前のことだ。ただ、目的地までの過ぎゆく眺めが、一つの形となって現れた時、作者は土地に流れる脈が足元にあるのを感じた。カラー約15点。

(写真展情報より)

会場・スケジュールなど

  • ・会場:ニコンサロンbis大阪
  • ・住所:大阪市北区梅田2-2-2ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13階
  • ・会期:2015年7月30日木曜日~2015年8月5日水曜日
  • ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:無料

作者プロフィール

1988年埼玉県生まれ。2011年前橋工科大学工学部建築学科卒業。15年東京綜合写真専門学校写真芸術第二学科卒業。

(本誌:河野知佳)