写真展告知
大竹省二写真展「PASSAGE―旅の行方―」
(JCIIフォトサロン)
2016年12月16日 15:00
中学生の頃からカメラ雑誌の月例コンテストで入賞を重ね、早くから写真の才能を認められた大竹省二は、戦後、GHQ(連合国軍総司令部)広報部、INP(米国通信社)などを経てフリーランスとなりました。戦前、戦後の時代を鋭く切り取ったドキュメンタリー写真や、1951年から「アサヒカメラ」で連載された世界の音楽家シリーズは高く評価され、その後も日本を代表する作家、俳優、芸術家などのポートレート、最先端のファッション写真やヌードなど女性をモチーフにした作品を発表し続け、2015年に亡くなるまで日本の写真界を牽引しました。
本展では、大竹が旅での出会いをテーマに、世界各地を撮影したポートレートとスナップ写真を、オリジナル・プリントで約50点(全作品モノクロ)展示いたします。
犬を抱きかかえながら柔らかな笑顔を見せる女性、ギターを弾きながら陽気に踊る人々、夜の街で寄り添いながら煙草に火をつけるカップルなど、旅先で出会った人々や日常のさりげない光景が、まるで映画のワンシーンのように写しとめられています。撮影された時期は1960年代から90年代と幅広く、アメリカ、フランス、イタリア、スペイン、オランダなど、ヨーロッパが中心です。どの写真からもそれぞれの土地が持つ文化や風俗、その時代の空気感がとらえられ、洗練された中にも被写体の人間らしさが感じられる彼ならではの作品です。
日本人離れしたモダンな感覚で常に個性的な作品を発表し、戦後の日本写真史に多大なる影響を与えた大竹は、「昔撮った写真を見ると、その時代が甦る。人生を止めることはできないけれど、写真だけは人生を止めて眺めることができるのだ」と語っていました。彼がとらえた時代、切り取った瞬間を、貴重なオリジナル・プリントでご覧いただく作品展です。
会場・スケジュールなど
- ・会場:JCIIフォトサロン
- ・住所:東京都千代田区一番町25番地JCIIビル
- ・会期:2016年1月5日(火)〜1月29日(日)
- ・時間:10時〜17時
- ・休館:月曜日
- ・入場:無料
作者プロフィール
1920年、静岡県に生まれる。1940年、伯父を頼って中国に渡航。1942年、上海の東亜同文書院在学中に学徒応召。1944年、北京日本大使館報道部付となる。1946年からGHQ(連合国軍総司令部)広報部嘱託となり、来日する俳優らをアーニー・パイル劇場にて撮影。その後、INP(米国通信社)などを経てフリーランスとなる。1953年、二科会写真部の創立会員となる。報道写真やポートレート、ヌード写真など幅広い分野で作品を発表。1992年、日本写真協会功労賞受賞。2015年没、享年95歳。
【主な写真集・書籍】
『世界の音楽家』(1955・朝日新聞社)、『照る日曇る日』(1976・日本カメラ社)、『ファミリーヌード』(柴田宏二共著、1977・朝日ソノラマ)、『101人女の肖像』(1982・講談社)、『遥かなる詩』(1983・桐原書店)、『昭和群像』(1997・日本カメラ社)、『時代の顔』(2002・朝日新聞社)、『赤坂檜町テキサスハウス』(永六輔共著、2006・朝日新聞社)ほか多数。