イベントレポート
【CP+】Synology、CP+に初出展 写真ファンにNASをアピール
日本は"市場開拓の余地あり" 新しい写真の保存方法を提案
2017年2月25日 08:00
NASメーカー、Synologyのブースでは、NAS「DiskStation」シリーズの展示を行なっている。ブースは、Synology国内代理店の株式会社フィールドレイクとの共同出展。
近年においてNASは「大容量のバックアップ用ストレージ」というだけでなく、さまざまな方向に多機能化を進めているが、CP+2017でのSynologyブースでは「写真をバックアップする」そして「保存した写真を探す」用途に関連する機能に絞って、来場者への説明を行なっていた。
ブースの説明員に聞いたところ、バックアップ機能としては「USB Copy 2.0」がおすすめだという。
USB Copy 2.0は、USBメモリに保存した写真をNAS内の指定したフォルダに自動バックアップする機能。個々のUSB機器固有のシリアル番号を利用して個体を認識し、個体ごとに異なるフォルダを指定できる。例えば「USBメモリA」を挿したときは「A」のフォルダに、「USBメモリB」を挿したときは「B」のフォルダに自動バックアップを行なうよう指定できる。
また保存した写真を探す機能としては、NAS内アプリ「Photo Station 6」の詳細検索が便利という。
詳細検索では個々の画像に付与されたタグやEXIF、IPTCなどのメタデータ情報をもとに、画像の絞り込みが行なえる。タグとしてつけたキーワードのほか、露出設定やISO感度、レンズ焦点距離、カメラメーカーなどの情報を複数指定して絞り込みが行なえる。検索で選べる候補は、実際に写真に付与されているデータがドロップダウンメニューに加えられる。
CP+会場内のプレゼンテーションステージでは、弊誌の連載でもNASに関する記事の執筆してもらったカメラマンの中原一雄さんが登壇し「カメラマン目線で見たNAS」について解説した。
中原さんはSynology製のNASの便利な機能として、「オンラインアルバム」と「詳細検索」を挙げており、職業柄、過去に撮影した膨大なデータの中から、必要なデータが探しやすい点を高く評価していた。その一例として、外出先で数年前のデータが急遽必要になった際に、ノートPCやスマートフォンなどからNASにアクセスして、該当のフォルダやファイルのURLを発行し、すぐにクライアントへ送れることを挙げている。
また応用編的な使い方として、Photoshop Lightroomのカタログ(読み込んだすべての写真のメタデータや現像設定を集約した管理用ファイル)とスマートプレビューをNASに保存して共有状態にしておき、出先などから別のPCで同じカタログを読み込み、前回中断した作業を再開するという使い方も挙げていた。
ところで、NASメーカーのSynologyが写真イベントであるCP+に出展するのは今回が初めて。CP+初出展の意図や、写真のバックアップ用ストレージとしての日本の市場性について、SynologyのプロダクトスペシャリストJenn Yehさんにいくつかお聞きした。
――今回、出展を決めたのにはどういった理由があるのでしょうか。
新たな市場性を感じたので、今回出展を決めました。秋葉原にはNASに詳しい人がたくさんいますが、CP+にはそういった方がほとんどいないからです。
2016年のCP+で、Synologyはウェスタンデジタルのブースの一角に製品の展示を行なっていました。興味を持って製品を見てくださる方の多くには、NASという製品カテゴリをご存知ない方はもちろん、写真を管理ソフトに読み込ませたらHDDに入れっぱなしであったり、中にはSDカードをアルバムに入れて保管しているという方もいらして、日本のフォトグラファーには、ストレージの運用方法が浸透していないという印象を受けました。逆に言えば、市場の開拓の余地がある、と考えたのです。
――出展してみて、来場者の反応はいかがでしたか。
今、私たちはいわば布教活動をしている状態です。ストレージの使い方は人により違いますが、写真のバックアップというベクトルでNASの活用方法をご説明すると「そういうストレージの使い方があるのか」という反応を多くいただいています。
――すでにクラウドストレージ(Googleドライブなど)を活用している方には、どういった説明をされているのですか。
データを自分でコントロールできる幅が広い、といったニュアンスでご説明しています。一部のクラウドストレージサービスはファイルを検閲しているので、プライバシーを守る観点から言えば、トラブルが少ないといえるでしょう。例えば一方的に規約違反のファイルをアップロードしたとみなされてアカウントが凍結されたり、後からサービス規約が変更されて、慣れた使い方の変更を強いられることもありません。
容量の融通がききやすいところも利点です。クラウドストレージでも、一定以上の容量を利用する場合は一定の費用がかかりますが、NASであれば初期投資さえ支払えば、あとは電気代や回線代といったランニングコストだけで運用できます。そこをどう見るかですね。
――Synologyは台湾のメーカーですが、台湾では写真をNASに保存するのは普通のことなのでしょうか。
プロフォトグラファーにはかなり浸透してきたと思います。でも、日本では特にコンシューマの間で「NASはPCユーザーのもの」という認識が強く、写真をバックアップするというイメージがあまりありません。日本でもNASを活用した写真のバックアップに関するフローを広めていきたいです。
――日本の写真ファンにメッセージはありますか。
まずはNASに触れていただきたいなと思います。SynologyのNASはUIのデザインにも力を入れていますし、機能としてはメタデータを用いた詳細検索機能もあります。もちろんセキュリティ機能も充実しているので、この機会にNASとはどういうものかを実感を伴う形で知り、理解を深めてほしいです。
最後に、今年、(国内代理店の)フィールドレイクと共同出展できて本当に良かったです。