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「第19回世界の中古カメラフェア」レポート

ズノーやアンジェニューなど珍品レンズも

「第19回世界の中古カメラフェア」は5月31日(火)まで東急百貨店東横店西館8階催物場(東京・渋谷)で開催される。入場は無料。営業時間は10時~21時。最終日は18時閉場

東急百貨店東横店西館8階催物場(東京・渋谷)において、5月26日(木)から31日(火)まで6日間「第19回 世界の中古カメラフェア」が開催されている。ここでは初日の様子と、筆者が会場で出会った魅力あるカメラ、交換レンズなどを紹介する。

この中古カメラフェアは、I.C.S.(Imported Camera Society=輸入カメラ協会)が主催する中古のカメラや交換レンズ、アクセサリーなどの即売会。加盟する17のカメラショップのうち14のショップが出店している。I.C.S.では、年3回中古カメラフェアを開催するが、今回は2月の銀座松屋に続く2回目となるもの。イベントタイトルにもあるように東急百貨店東横店で開催するようになって19回(年)を数え長く写真愛好家に親しまれているフェアだ。

渋谷駅と直結する東急百貨店東横店。フェア会場では場所柄若い写真愛好家の姿も数多く見受けられた

I.C.S.代表で株式会社秀光の高井氏にフェア初日の様子を伺ってみた。

「昨年のこのカメラフェアはびっくりするくらいの来場者数を初日の午前に記録しましたが、今回もそれに迫る来場者数となっております。消費者のサイフの紐が固いと昨今言われておりますが、好きなものに対してはそうでもないようで、たいへん動きがいいようです」と語る。

このところ交換レンズの比率が圧倒的に増したといわれる中古の売れ筋であるが、そのことについては「全体が底上げした分フィルムカメラの売り上げは減ってはおりません。むしろ根強い人気に支えられておりますし、近年フィルムのよさが見直されていることなどから、若い人を中心に買って行かれる方が多い」とのことである。

【注意】掲載した商品は、取材時のものです。すでに完売や予約済みになっている場合があることをご承知置きください。

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ムターの付属するローライフレックス3.5F。このムターは焦点距離を0.7倍とするもので、焦点距離75mmのプラナーを搭載するこのカメラの場合では、52.5mm相当となり、焦点距離55mmのディスタゴンを搭載するワイドアングルローライフレックスよりも広い画角が得られることになる。(千曲商会)

ノクティルックス-M 50mm F1.0とクロームのライカM5のセット。大柄なボディのM5は発売開始当初それまでのライカユーザーの受けは今イチだったと聞くが、ノクティルックスとの組み合わせならバランスもよく好感の持てる組み合わせだ。(千曲商会)

キヨハラのソフトフォーカスレンズというと35mm一眼レフ用を思い起こすが、これは珍しいペンタックス67用。焦点距離は105mm。大柄な鏡筒だが、ローレットなど精密に仕上げられている。描写が気になる一品である。(カメラのアルプス堂)

ズノー50mm F1.1の最後期型。昭和30年代前半につくられたものであるが、当時ズノーは一眼レフのズノーカメラを開発中で、本レンズのデザインはその一眼レフ用レンズの影響を大きく受けている。レンズ番号も驚き。(カメラのアルプス堂)

カラーバランスを統一し、ニュートラルなカラー再現性を目指したS.S.C.(スーパースペクトラコーティング)の施された初期の頃のフィッシュアイFDレンズ。最新のミラーレスで使用した場合の描写が気になる1本だ。(新橋イチカメラ)

プレミアムフィルムコンパクトカメラの走りとなったコンタックスT。発売開始は1984年。高性能なレンズにクォーツ制御のシャッター、人工多結晶サファイアを用いたシャッターボタンなどが当時話題であった。(新橋イチカメラ)

ライカRマウントを採用するズーマーのマクロズーム。ズーマーはキルフィットの最終社名で、1970年頃に交換レンズの生産から撤退している。本レンズの素性は不明だが、Rマウントであることから60年代後半に発売されたものと思われる。(富士越写真機店)

フルサイズのミラーレス、ライカSLの登場でやや影の薄くなったライカT(Typ 701)だが、その大きさからMマウントレンズとのバランスは上々。特に掲載した写真のようにズミクロン-M35mm F2とならば画角も含め使い勝手は頗る良好だ。(富士越写真機店)

M42マウントの交換レンズがPENTAX K-1の発売で注目されているが、本レンズもそのような1本。積極的に絞りを開いてポートレートを楽しんでみたくなる。写真のアイテムは、貴重な専用フード(ゴム製)が付属する。(ペンギンカメラ)

ベッサRをニコンSマウント化したモデル。距離計連動用ニッコールは、Lマウントやコンタックスマウントもあるが、数や種類が圧倒的なのはやはりSマウント。そんなSマウントレンズで純粋に撮影を楽しみたい写真愛好家向けのカメラだ。(ペンギンカメラ)

輸出専用モデルとして1963年に発売の開始されたミノルタのレンズシャッター一眼レフカメラ。セレン式の露出計ながらシャッター速度優先AEを可能としている。レンズは後にSRマウントの交換レンズとして日本国内でも発売された。(早田カメラ店)

製造初年は1962年。この当時のヤシカは独創的なモデルを幾つかリリースしており、本モデルもそのような1台。スーパー8カメラのような筐体だが、ハーフサイズ機でモーターによる連続撮影を可能としている。(早田カメラ店)

M42マウントに改造されたP.アンジェニュー28mmF2.5 R11。Rの名称がつくようにレトロフォーカスタイプの光学系としている。写真のアイテムには、通常のネジピッチの光学フィルターが装着できるアダプターが付属。(アカサカカメラ)

M42マウントの中望遠レンズ。ハネウェル銘のレンズキャップであることから、日本に里帰りした個体である可能性が高い。専用フードのシェイプが美しいのも特筆すべきところ。PENTAX K-1に装着したときの描写が気なるレンズだ。(アカサカカメラ)

大口径のSMCペンタックスFA★85mm F1.4[IF] 。ペンタックスというと小型軽量のカメラや交換レンズが多くを占めるが、これは別格。フードを装着すると大迫力のレンズである。これもK-1で撮影を楽しんでみたい1本である。(フォトベルゼ)

比較的製造数が少ないA★(エースター)の85mm F1.4。マニュアルフォーカスレンズの魅力はというと、やはりじわじわとファインダースクリーンにピントの合った部分が鮮明に浮かび上がることだろう。そんな楽しみを描写とともに味わいたい。(フォトベルゼ)

白鏡筒のアンジェニュー35mm F2.5 TYPE R1。マウントはエキザクタである。アンジェニューといえばレトロフォーカスの光学系を開発したことでよく知られているが、本レンズの鏡筒側面にもその名称が誇らしげに刻まれている。(秀光)

M2-Rは、M2にM4と同じクイックスピード・ローディング機構を取り入れたカメラ。トップカバーにM2-Rと刻印されているものは北米のみで発売された。フィルムカウンターも自動復元式にしたらよかったのに、と思うのは筆者だけか?(秀光)

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本稿出稿以降のイベントとしては、28日(土)は各カメラショップにて特別奉仕品や掘り出し物を多数用意するサタデーサービスを予定。30日(月)は18時から20時まで、31日(火)は15時から17時までのタイムサービスも開催される。

さらに最終日31日の12時まで買い取りコーナーを開設しており、不要な機材をその場で売却して、お目当てのアイテムを手に入れることも可能だ。

期間中ショッピングクレジットは金利・手数料を無料としているのもうれしいサービスである。

この中古カメラフェアの開場時間は10時から21時まで(最終日は18時閉場)。この週末渋谷界隈に出かけた折りにちょっと覗いてみるのもよさそうだ。

(大浦タケシ)