フォトコンテスト
ソニーワールドフォトグラフィーアワード2016、日本部門賞贈呈式が開催
今年は一般最優秀賞も日本から選出 来年度の応募も受付中
2016年6月8日 07:00
ソニーは6月5日、「ソニーワールドフォトグラフィーアワード2016」の日本部門賞贈呈式を東京・銀座のソニーイメージングギャラリーで開催した。
ソニーワールドフォトグラフィーアワード(Sony World Photography Awards、以下「SWPA」)は、ソニーがスポンサーを務める世界最大規模の写真コンテスト。開催は今回で9回目。今年は世界186の国および地域から、約23万点の作品が集まった。これは過去最高を記録した前回の約17万3千点を大きく上回る応募点数となる。
SWPAでは応募対象者別にプロフェッショナル部門、一般公募部門、ユース部門に分けており、今回表彰が行なわれた「日本部門賞」は、一般公募部門に応募した日本人写真家に贈られる賞(National Awards)。審査員は写真家のハービー・山口さん。今回は4名が受賞し、このうち3名が出席した贈呈式では、受賞者にトロフィーが授与された。
日本部門賞の最優秀賞を受賞したのは、野見山桂さん。野見山さんはSWPA2016の一般公募部門の最優秀賞も受賞しており、SWPA本体とNational Awardsのダブル受賞となっている。
環境学の講師として大学で教鞭を執っている野見山さんは、学生に伝える「守るべき自然」の象徴として、森の中を飛ぶヒメボタルを撮影。「今回の受賞によって日本にこういう場所があることを世界中にお知らせすることができた」と喜びを表明した。
「近年、きわめて高感度かつ低ノイズで撮影できるカメラが登場したことによって、初めて撮影が可能になった作品です。非常に美しいヒメボタルの写真ですが、ヒメボタルは生息域が狭まってきているという側面もあり、自然に対する接し方を考えさせられるきっかけになりうる作品だと思います」(ハービー・山口さん)
2位を受賞した浦勇樹さんの作品は、浦さんが青年海外協力隊としてタンザニアの漁村に赴いた際に、水汲みをする女性を撮った一枚。インフラが整っていない地域であるがゆえに水を汲みに行く必要がある一方で、女性たちが一時のおしゃべりをするコミュニティとしても機能する水汲み場の様子をとらえている。
「セバスチャン・サルガドのフォトジャーナリズムを思わせる作品。単にインフラがないことによる不幸を撮ることもできるが、そうしたネガティブな物事をポジティブに変換して、こんな風に笑える器用さ、ひとつの希望を撮ることはとても素晴らしいと思います。逆境にも希望を持って生きる人間らしさが写っていますね」(ハービー・山口さん)
3位の坂上たかおさんは、「オレンジ」をテーマカラーに据えた作品を発表し始めて6年目。40歳を目前とした節目、一生続けられる何かを始めたいとの思いから、作品づくりに取り組み始めた。
応募作品は、ミニチュアをディスプレイしてオレンジ色に輝く砂漠を旅するようなイメージに仕上げている。坂上さんは「オレンジには人間が持っている懐かしさや切なさ、優しさや安心感がある」と話しており、また大好きなオレンジという色、自分の好きな世界を表現することで人生が楽しくなったとの実感も披露した。
「ミニチュアをディスプレイしたものであることは一見してわかるが、フレーミングをすることで一つの世界を切り取れるというのは作者のロマンでありクリエイティブな力であると思う。被写体は必ずしも本物である必要はなく、むしろミニチュアを本物らしく見せる作者の世界観や美意識、その視点に魅力を感じて、日本部門賞に選定しました」(ハービー・山口さん)
ハービー・山口さんは贈呈式の最後に、受賞者たちに向けて「見る人の心をポジティブに、幸せにすることが写真の究極の目標だと思う。受賞者の皆さんはこれに満足せず、ぜひ今回の受賞作品を超えた作品を撮ってほしい」と激励し、結びの言葉とした。
なお、次回で10周年を迎える「ソニーワールドフォトアワード2017」の作品募集が、6月1日より始まっている。応募には、World Photography Organisation(WPO)のサイトに会員登録し、ライブラリに作品をアップロードの上、SWPAへの応募手続きを行なう必要がある。詳細は公式サイト(英文)で確認してほしい。