アドビ、“レンズプロファイル”や“HDR Pro”を搭載した「Photoshop CS5」


 アドビは、フォトレタッチソフト「Photoshop CS5」日本語版を5月28日に発売する。価格はWindows用、Mac OS X用ともに9万9,750円。アップグレード版が2万6,250円、特別提供版が8万6,310円となっている。対応OSは、Windows XP/Vista/7。Mac OS X 10.5.7/10.6。

 Photoshop CS3、Photoshop CS4に続き、デザイナー、ビデオ制作者、科学技術など特定用途に向けた上位製品「Photoshop Extended CS5」も発売する。ともにアドビストアで予約を受付中。

Photoshop CS5Photoshop CS5 Extended

ラインナップと価格
製品名価格発売日
Photoshop CS5製品版99,750円5月28日
Photoshop CS5アップグレード版26,250円
Photoshop CS5特別提供版86,310円
Photoshop CS5 Extended製品版140,700円
Photoshop CS5 Extendedアップグレード版48,300円
Photoshop CS5 Extended特別提供版127,260円
Photoshop CS5 Extended学生・教職員個人版37,590円

 アップグレード版の対象ユーザーは、Photoshop CS2以降、またはPhotoshop CS3 Extended、Photoshop CS4 Extendedの正規登録ユーザー。

 特別提供版は、Photoshop Elements 6、7、8 Windows版、またはPhotoshop Elements 4.0、6、8 Macintosh版の正規登録ユーザーが対象。


様々な場面で使える「コンテンツに応じた修復」

 業務用を中心に古くから支持を集めるフォトレタッチソフトの定番。今年で20周年を迎える。製版やビデオ制作などでシェアの高いCreative Suiteに含まれる製品で、主に写真分野の処理を受け持つ。

 同社にはPhotoshop Lightroom 2というフォトグラファー向けのソフトが存在するが、写真の「閲覧・選択」、「管理」、「現像処理・色調補正」までのワークフローをカバーするのがPhotoshop Lightroom2。Photoshop CS5は「現像処理・色調補正」に加え、その後の詳細な補正と画像合成を行なうためのソフトになるという。

 ちなみに現像処理・色調補正については、PhotoshopプラグインのCamera RAW 6により、両ソフトともにカバー。またPhotoshop CS5に付属するBrdige CS5でも、閲覧・選択が行なえる。

 新バージョンの特徴のひとつは、Mac OS X用を含めて64bitにネイティブで対応したこと。64bit OSの大容量メモリを活かすことが可能になった。

 また、いくつかの機能で「コンテンツに応じた修復」オプションが可能になっている。Photoshop CS4における新機能「コンテンツに応じた拡大・縮小」を拡張したもので、拡大・縮小に限らず、様々な処理に関して自動で修復を行なう。

 例えば建物の前に写り込んだ電線を消す場合も、細かな範囲指定をすることなしに消せるという。また、左右にパノラマをつなぎ合わせる際には、上下を切り落とすのではなく、上下を活かした状態で再構成する。これらをすべて自動で処理する。


レンズに合わせた歪曲収差が可能に

 「HDR Pro」も新機能。露出ブラケット撮影した複数の写真を合成し、ダイナミックレンジの拡大を図るのがHDRだが、被写体が静止している必要があった。HDR Proを使うと、一部のカットで被写体が動いた場合でも、基準となるカットをもとに合成処理を進めてくれる。

 また、「HDRトーン」では、HDR処理にトーンカーブ処理などを施せる。ガンマ、露出、ディテールなどを個別に設定することも可能。HDRに対し、「彩度を上げる」、「フォトリアリスティック」といったプリセットを適用する機能もある。

 歪曲収差では、レンズプロファイルを読み込めるようになった。カメラメーカー、カメラモデル、レンズモデルといった検索内容からレンズプロファイルを割り出す。基本的にはアドビが解析したプロファイルを利用できるが、シグマについては公式にプロファイルの提供を受けたとしている。また、新レンズや非対応レンズのプロファイルは、オンラインからのアップデートを予定するという。

 なお、レンズプロファイルは一眼レフカメラ用だけでなく、iPhone 3GSやiPhone 3Gのプロファイルも内蔵している。

 そのほか、16bit画像のJPEG保存機能や、同社のIllustrator CS4などで利用できるエンベロープメッシュによる変形ツールを搭載。Bridge CS5には、画面に常駐するためのMini Bridgeモードが加わっている。




(本誌:折本幸治)

2010/4/12 14:38