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ニコン、天体撮影専用のデジタル一眼レフ「D810A」

Hα線対応 長時間露光とブレ低減に配慮

ニコンは、天体撮影専用デジタル一眼レフカメラ「D810A」を5月下旬に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は税込42万円前後の見込み。

撮像素子前面の光学フィルター特性を変更し、天体撮影用とした特殊モデル。より赤外域に近いHα線(波長656.28nm)まで高い透過率を維持するように赤外カットフィルターの特性を変えることで、一般的なカメラでは淡くしか写せない星雲を鮮やかに写せる。

D810比で約4倍のHα線透過率を持つため、赤外域に近い波長の反射率が高い一般被写体を撮影した場合は、実際より赤みがかって適切な色再現にならない。そのため、一般被写体の撮影には推奨しないとしている。

光学フィルターを除く撮像素子スペックは、D810と同様。光学ローパスフィルターレス仕様の有効約3,635万画素の35mm判フルサイズ相当CMOSセンサーを採用する。画像処理エンジンはEXPEED 4。14ビットRAW記録に対応する。

D810Aの感度はISO200-12800(拡張でISO100〜51200相当まで設定可能)。ベースモデルのD810はISO64-12800(拡張でISO32〜ISO51200相当まで)の範囲で設定できる。

長時間露光マニュアルモード(後述)の有無と最低感度を除いた基本仕様は、D810を踏襲する。

「長時間露光マニュアルモード」を搭載

シャッタースピードを4秒、5秒、8秒、10秒、15秒、20秒、30秒、60秒、120秒、180秒、240秒、300秒、600秒、900秒、バルブ、タイムに設定できる「長時間露光マニュアルモード(M*)」を搭載。設定秒時が実制御秒時のため、特に比較明合成での総露出時間の算出が容易になるという。

また、レリーズモードを連写(CH、CL)に設定しているとき、シャッタースピードが4秒以上であれば記録メディアもしくはバッテリーの許す限り、すべての画質モードで連続撮影を継続できるという。比較明合成で光跡の繋ぎ目が目立たなくなる点がインターバルタイマー撮影と異なるとしている。

光学ファインダー、ライブビューのそれぞれにも天体向けの仕様

ライブビュー画面は、最大約23倍に拡大可能。露光時間を30秒より長く設定した場合は、ライブビューの明るさをシャッタースピード30秒相当にアップできる。

ファインダー内の水準器表示は、M*モード時には赤く点灯しつづける。星景撮影の水平出しに有効としている。

望遠撮影のブレにも配慮

レリーズモードをミラーアップ(MUP)に設定すると、電子先幕での撮影が可能になる(カスタムメニューで変更可)。先幕の走行やミラー動作による機構ブレがなく、特に月面撮影などに有効とする。

基本仕様はD810を継承

ファインダーは視野率100%、約0.7倍。液晶モニターは3.2型約122.9万ドット。

記録メディアはCF(UDMA対応)、SDXC/SDHC/SDカード(UHS-I対応)を利用できる。

対応バッテリーはEN-EL18a/EN-EL18。マルチパワーバッテリーパックMB-D12対応。

外形寸法は約146×123×81.5mm。重量は約980g(バッテリー、SDカード込み)。

作例(すべてニコン提供)

D810A
D810(比較用)
D810A
D810A(コンポジット処理をしています)

(本誌:鈴木誠)