ニコン、有効3,630万画素のフルサイズデジタル一眼レフ「D800」
ニコンは、35mm判サイズのCMOSセンサーを採用したデジタル一眼レフカメラ「D800」および「D800E」を発売する。価格はともにオープン。発売日および店頭予想価格は、D800が3月22日、30万円前後。D800Eが4月12日、35万円前後。
D800のみ、AF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6 G ED VRが付属するレンズキットも用意。価格はオープン。店頭予想価格は40万円前後の見込み。
D800。装着レンズはキットレンズのAF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6 G ED VR | D800E。レンズはAF-S NIKKOR 24-120mm F4 G ED VR(キットレンズの設定なし) |
■光学ローパスフィルターの違いで2機種を用意
同じく35mm判サイズの撮像素子を搭載した「D700」(2008年7月発売)の後継機種。新開発の有効3,630万画素CMOSセンサー、視野率100%のファインダー、フルHDムービーなど、前モデルを大幅にブラッシュアップした内容となっている。また、先行して発表されたD4と共通の機能も目立つ。
D800とD800Eの違いは光学ローパスフィルター。モアレ除去を考慮し、一般的な効力の光学ローパスフィルターを装備するD800に対し、D800Eは光学ローパスフィルターの効きをなくしている。それにより、解像感の向上を図っているという。ニコンではD800Eを「D800の超高解像仕様」と位置づけている。
ただし、光学ローパスフィルターの効力をなくしたため、D800EはD800よりモアレや偽色が目立つ可能性があり、使用にはそのあたりを考慮しなければならない。具体的には規則性の強いパターンを持つ被写体には不向きであり、ニコンでは「高い鮮鋭感が求められる風景や美術品の撮影に適した、極めて解像度が高く立体感のある画像を提供する」としている。
光学ローパスフィルターを除くと、D800とD800Eに機能や性能に違いはない。また、D800Eが搭載する光学ローパスフィルターのIRコーティングと反射防止コーティングはD800と同一。色再現も同等という。
D800 | |
D800E。外観上の違いは機種名ロゴのみ |
■世界最高の有効3,630万画素CMOSセンサーを搭載
撮像素子はニコンFXフォーマット対応の有効3,630万画素CMOSセンサー。2月7日現在、35mmフィルムサイズ準拠の撮像素子搭載のレンズ交換式デジタル一眼レフカメラにおいて、世界最高の画素数としている。大きさは35.9×24mm。
ニコンでは「中判デジタル一眼レフカメラや中判デジタルバックに匹敵するほどの解像感」と説明しており、200dpiでA1サイズまでの引き伸ばしが可能という。レンズの性能を引き出せるかという点については、検証を繰り返した結果、「多くのニッコールレンズで問題ないことを確認した」とのことだ。マイクロレンズやフォトダイオード読み出しについても改良を施したという。
D3シリーズ、D700、D4と同様、クロップ撮影も可能だ。「FX(36×24)」、「1.2×(30×20)」、「DX(24×16)」、「5:4(30×24)」から選択できる。最大記録画素数は、FXが7,360×4,912ピクセル、1.2×が6,144×4,080ピクセル、DXが4,800×3,200ピクセル、5:4が6,144×4,912ピクセル。DXクロップ時でも1,536万画素での記録が行なえる。
ダスト低減機能として、イメージセンサークリーニングとイメージダストオフデータ取得に対応している。
画像処理エンジンはEXPEED 3。EXPEEDより約22倍の処理能力を誇る。例えばD800では、アクティブD-ライティングやノイズリダクションの設定内容に関わらず、連写性能が変わらなくなった。
ノイズリダクションには新アルゴリズムを採用した。特に、高感度時の色まだらノイズを軽減したという。常用感度はISO100-6400。拡張感度は最低ISO50、最高ISO25600。ダイナミックレンジ拡大については、ハイライトでの色変わりを低減する技術を取り入れた。
D4同様の91,000ピクセルRGBセンサーや、アドバンストシーン認識システム、3D-RGBマルチパターン測光IIIを採用。光学ファインダー時の顔認識も作動する。
位相差AF時のフォーカスポイントは最大51点。うち15点がクロスタイプセンサー、11点はF8対応。D4と同じく、アドバンストマルチCAM 3500FXオートフォーカスセンサーモジュールを搭載する。
AFエリアモードは、シングルポイントAF、ダイナミックAF(9点、21点、51点)、3D-トラッキング、オートエリアAFのいずれかを利用できる。3D-トラッキングは追随性能が向上したという。
ファインダー内 | メニュー画面 |
■ファインダー視野率は約100%
前モデルD700と異なり、ファインダー視野率は約100%を実現した。倍率は約0.7倍(50mm F1.4レンズ使用時)。アイポイントは17mm。ファインダースクリーンの交換には対応していない。
カードスロットはCFとSDメモリーカードのダブルスロット。CFスロットはUDMA7に、SDメモリーカードスロットはUHS-Iにそれぞれ対応している。順次記録、バックアップ記録、RAW+JPEG分割記録、カード間などの記録方式を選択可能。
液晶モニターは、強化ガラス採用の3.2型約92万ドットになった。ガラスと液晶パネル間の空気層をなくした一体構造を採用することで、反射ロスを低減したという。
バッテリーはEN-EL15。マルチパワーバッテリーパックMB-D12も発売になる。EN-EL15、またはEN-EL18をどちらか1個使用。あるいは単3電池8本でも使用できる。
連写性能は、MB-D12なしでFX時4コマ/秒、DX時5コマ/秒。MB-D12装着時はFX時4コマ/秒、DX時6コマ/秒。
マルチパワーバッテリーパックMB-D12 |
マルチパワーバッテリーパックMB-D12装着例 |
■FX/DX切替など動画機能も充実
動画記録機能「Dムービー」はフルHDに対応。1,920×1,080/30p、1,280×720/60pなどに対応。圧縮方式はH.264/MPEG-4 AVCで、画質面では3,630万画素を活かした解像感・鮮鋭感や、EXPEED 3による低ブロックノイズを特徴としている。
さらに撮像範囲を2つの大きさから選択可能。FXとDXを切り替えることが可能で、FXはボケ重視、DXは映画用35mmフィルムに近い画角とするなど、使い分けが可能になった。
動画記録時の音声はリニアPCM。内蔵モノラルマイクの他、外部マイク端子も搭載。別売のステレオマイクロフォンME-1が使用できる。さらにヘッドフォン端子も装備。音声確認に利用できる。音声レベルインジケーターや、マイク感度設定(20段階)も備えており、音声周りの機能は他にないレベルで充実している。
また、動画記録時の絞り制御を滑らかにするパワー絞りも設定可能。撮影中のインデックスマーキングも可能で、再生時に目的の場所を見つけ出すのに役立つ。微速度撮影も行なえるようになった。
HDMI出力を装備し、背面液晶モニターと外部モニターの同時表示が可能。また、ライブビューを外部レコーダー機器に非圧縮で直接記録できる。
ちなみに前モデルのD700は動画機能を非搭載。発売時はライブビューの採用が始まった頃だった。
マイク端子、HDMI端子、USB 3.0端子、ヘッドフォン端子を搭載 |
■D700より10%軽量化。USB 3.0に対応
外観はD4と同様、ペンタ部を低く抑え、さらにグリップ上部をスラントさせたスタイルを採用。シャッターボタンも傾斜させ、押しやすさに配慮したという。シャッターボタン周囲の電源スイッチもフラット化した。また、グリップのくぼみを深くして前後の厚みを抑えることで、握りやすさを追求。シャッターボタン手前には動画ボタンも設けられている。
両肩が下がっているため、写真ではD700より小さな印象を受ける。ただし、幅および高さはD700とほぼ同じで、奥行きはD800の方が4.5mm短い。
外装はマグネシウム製。防塵防滴仕様となっている。D700と同等の堅牢製を保ちながら、約10%の軽量化を果たしたという。
防塵防滴構造を採用。上図はシーリングの透視図 |
D700に続き、ペンタ部には内蔵ストロボを備えている。ガイドナンバーは約12(ISO100・m)。ニコンクリエイティブライティングシステムのコマンダーとしても使用できる。シンクロターミナルも装備。
D4と同じく、USB 3.0端子を装備。また、D700から引き続き10ピンターミナルを搭載しており、GPSユニットGP-1などの接続に対応している。
製品名 | D800 | D700 |
有効画素数 | 約3,630万 | 1,210万 |
常用感度 | ISO100-6400 | ISO200-6400 |
拡張感度 | ISO50 ISO12800-25600 | ISO100 ISO25600 |
ファインダー | 視野率約100% 0.7倍 | 視野率約95% 約0.72倍 |
連写性能 (FX・本体のみ) | 約4コマ/秒 | 約5コマ/秒 |
最高シャッター速度 | 1/8,000秒 | |
液晶モニター | 3.2型約92万ドット | 3型92万ドット |
記録メディア | CF・SDXCなど | CF |
動画記録 | フルHD | 非搭載 |
バッテリー | EN-EL15 | EN-EL3e |
外形寸法 | 約146×123×81.5mm | 約147×123×77mm |
質量(本体のみ) | 約900g | 約995g |
AF-S NIKKOR 16-35mm F4 G ED VR装着例 | PC-E NIKKOR 24mm F3.5 D ED装着例 |
AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G ED装着例 | AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G ED装着例 |
AF-S NIKKOR 24-120mm F4 G ED VR装着例 | AF-S NIKKOR 24-120mm F4 G ED VR装着例 |
AF-S NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6 G ED VR装着例 | AF-S NIKKOR 35mm F1.4 G装着例 |
AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8 G ED VR II装着例 |
AF-S NIKKOR 85mm F1.4 G装着例 | AF-S NIKKOR 85mm F1.8 G装着例 |
AF-S VR Nikkor ED 200mm F2 G(IF)装着例 |
AF-S NIKKOR 300mm F2.8 G ED VR II装着例 |
AF-S NIKKOR 400mm F2.8 G ED VR装着例 |
AF-S NIKKOR 500mm F4 G ED VR装着例 |
AF-S NIKKOR 600mm F4 G ED VR装着例 |
2012/2/7 13:04