ニコンは15日、中級デジタル一眼レフカメラ「D7000」やコンパクトデジタルカメラのフラッグシップモデル「P7000」などの発表会を都内で開催した。
ここでは、発表会の模様をお伝えする。製品個別の詳細については記事末のリンクを参照されたい。
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D7000(右)とCOOLPIX S8100(左) | 発表会場の様子 |
■「D7000」はニコンとして新たなポジションニングのカメラ
ニコン執行役員で映像カンパニー副プレジデント兼開発本部長の風見一之氏が新製品の説明を行なった。
D7000については、「D90同等サイズのボディにD300sに匹敵する機能を凝縮したニコンDXフォーマットの中級モデル。市場からの『高性能を小型ボディに入れて欲しい』という要望に応えた」と説明。デザインも本物感と軽快さの両立を実現したという。
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ニコン執行役員で映像カンパニー副プレジデント兼開発本部長の風見一之氏 | D7000。10月29日発売で、ボディの店頭予想価格は14万円前後の見込み。装着レンズはAF-S DX NIKKOR 18-200mm F3.5-5.6 G ED VR II |
位置づけは「D90」と「D300S」の中間で、ニコンとしては新たなポジショニングの製品となる。「デジタル一眼レフカメラ市場は2009年までの急成長から安定成長に入り、ニーズも多様化してきた。直近のユーザーの声を反映してこのポジションへの投入を決めた」(ニコン映像カンパニー第一マーケティング部ゼネラルマネジャー笹垣信明氏)。
1,620万画素の撮像素子のみならず、測光センサーやAFシステムも一新した。視野率100%の光学ファインダーや3型VGAの液晶モニターなどニコンデジタル一眼レフカメラのフラッグシップモデル同様の装備も盛り込んだ。
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D7000のポジショニング | ターゲットユーザー |
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D7000(レンズはAF-S DX NIKKOR 18-200mm F3.5-5.6 G ED VR II) |
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上面 | モードダイヤルとドライブモードダイヤルを同軸に配置 |
ユーザーから要望が高かったというバッテリー寿命も改善し、D90から約100枚増えた約1,050枚(CIPA準拠)となった。静音撮影モードも新たに搭載。ミラーの動作速度を遅くすることで静かに撮影できるという。
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新開発の測光センサーにより、シーン認識システムの精度も高めた | 雰囲気のある色味で撮影できるオートホワイトバランスのモードを新設 |
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AFシステムも刷新した | 動画はフルHDに対応。編集もできる。またライブビューの起動はレバー式のスイッチになった |
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D300S相当の防塵防滴性能とする | 起動時間、レリーズタイムラグ、連写速度のすべてでD90を上回る |
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ライブビューにスルー表示できる電子水準器も搭載 |
また同日発表のレンズ2本も展示していた。ともに35mmフルサイズのFXフォーマットに対応する大口径単焦点レンズ。
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AF-S NIKKOR 35mm F1.4 G。11月19日発売で、価格は24万1,500円 | 装着カメラはD7000(以下同) |
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AF-S NIKKOR 200mm F2 ED VR II。10月1日発売で、価格は86万1,000円 |
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同時発表のクリップオンストロボ「SB-700」。11月下旬の発売で、価格は4万4,100円 |
一方、高級コンパクトデジタルカメラのCOLLPIX P7000は、「本格撮影指向のユーザーに向ける。存在感と洗練感を両立させ、一眼レフカメラのテイストも加えたデザイン。しかし見た目だけではなく、中身も一眼レフカメラ相当の機能を持たせた」とした。また、アナログ的な良さを活かした操作を取り入れた。
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COOLPIX P7000 |
画素数は1,010万画素。敢えて画素数を抑えた上で、コンパクトデジタルカメラでは比較的大きなセンサーサイズとなる1/1.7型を採用することで画質の向上を図ったとしている。風見氏は画素数について、「画質にはさまざまな要因があり一言では言えないが、COOLPIX P7000では高S/N(低ノイズ)による絵の質感を重視した。コンパクトデジタルカメラはもともとセンサーサイズが小さいので、画素が受け取れる光をいかに増やすかが重要になる。一方で、画素数を上げることで解像面で高画質化を目指す考え方もある。これらは各機種のキャラクターによって対応を分けている」と説明した。
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ダイヤルによる操作を多数取り入れた |
COOLPIX P7000では、新機能として「トーンレベルインフォメーション」を搭載した。写真の露出をヒストグラムで視覚的に把握でき、撮影時の露出決定が容易になる機能。トーンの分布を9段階から選択すると、画像内でその明るさの部分がブリンクする。どの部分がどれくらいの輝度なのかがわかる仕組み。「ハイアマチュアの方には活用していただけるのではないか」(風見氏)。
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同時発表のコンパクトデジタルカメラ「COOLPIX S8100」。有効1,210万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載 | 10月7日の発売で、店頭予想価格は3万8,000円前後の見込み |
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背面 | ブラック、レッド、ゴールドを用意する |
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同じく同時発表の「COOLPIX S80」。10月7日の発売で、店頭予想価格は3万8,000円前後の見込み | スライド式のレンズバリアを搭載する |
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厚みを抑えた | 液晶モニターはタッチ式の有機EL |
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ブラックとレッドを用意する |
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コンパクトデジタルカメラのラインナップ |
なお、かねてから開発を明らかにしている“新世代デジタルカメラ”について質問したところ、「鋭意開発中」(風見氏)と答えるに留まった。ドイツで21日から開幕するフォトキナ2010が近いが? との問いには、「そのタイミングも含めて検討中だが、リリース時期などに関することはコメントできない」(風見氏)とした。ニコンの“新世代デジタルカメラ”は、デジタル一眼レフカメラとコンパクトデジタルカメラが融合した新機軸のデジタルカメラになるとして開発を表明している。ただし、レンズ交換の有無やミラーレスタイプになるのかは明らかにしていない。
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D7000などの新製品を体験できるイベント「Nikon Digital Live 2010」を開催する | バリアフリーになったニコンプラザ新宿のリニューアルも紹介 |
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NIKKORレンズの5,500万本達成も明らかにした | アフターサービスの満足度も1位を獲得。「顧客満足はニコンにとって重要なテーマ。さらに、安心、信頼してもらえるよう活動していく」(西岡氏) |
■コンパクトデジタルカメラもシェア拡大を狙う
国内のデジタル一眼レフカメラ市場は、消費低迷の影響で2009年は107万台(CIPA統計)となった。ニコンイメージングジャパン取締役社長の西岡隆男氏は、「今は商品の本当の力を発揮できる」とし、2010年の市場規模は140万台と大幅増を予想した。また2011年に関しても、「この勢いはしばらく続くと見ている。2011年にかけて10%以上の伸びは続いていくと考えている」(ニコンイメージングジャパン執行役員事業戦略本部 本部長の北端秀行氏)とした。
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ニコンイメージングジャパン取締役社長の西岡隆男氏 | 2010年上半期はレンズ交換式でトップシェアとなった |
2010年上半期は国内デジタル一眼レフカメラのシェアはトップシェアを獲得。一方のコンパクトデジタルカメラは、「シェアの面では(2010年)前半は苦労した」(西岡氏)とするが、今回の新製品投入で10%のシェアを目指す。
コンパクトデジタルカメラではCOOLPIX S8100とCOOLPIX S5100で、タレントの木村拓哉さんが出演するテレビCMを放送する。COOLPIX S8100は10月上旬から開始し、COOLPIX S5100はすでに放送中。コンパクトデジタルカメラのテレビCMを同時に2本放映するのはニコンでは初めてという。これにより、市場での垂直立ち上げを狙う。
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レンズ交換式デジタルカメラは今後も成長を続け、2010年は140万台に達すると予想 | コンパクトデジタルカメラも微増を見込む |
進行する円高については、「過度の円高は死活問題になる。円高に対する耐性を高める施策は続けているが、国内での売上比率を上げることが円高対策の1つになる」(ニコン広報・IR部ゼネラルマネジャー羽鳥正之氏)と述べた。ニコンの映像カンパニーは、2009年実績で約9割が輸出向けとなっている。