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カメラグランプリ2010授賞式が開催

〜受賞各社が開発秘話などを披露

 カメラ記者クラブ カメラグランプリ実行委員会は1日、カメラグランプリ2010の授賞式を都内で開催した。受賞各社の代表に盾を贈呈したほか、開発に携わったエンジニアが開発秘話などを話した。

カメラグランプリ2010の授賞製品 発表会は東京中央区の聖路加ガーデンの47階で開催した

 同賞の授賞式は、例年写真の日である6月1日に実施している。既報の通り、カメラグランプリ大賞とあなたが選ぶベストカメラ大賞をオリンパス「E-P1」がダブルで受賞した。またカメラ記者クラブ賞は、キヤノン「EF 100mm F2.8 L Macro IS USM」とソニー「Exmor R」(裏面照射型CMOSセンサー)が受賞した。

大賞の初受賞となったオリンパス

 カメラグランプ大賞を初めて受賞したオリンパスからは、オリンパスイメージング代表取締役社長の大久保雅治氏が出席した。

カメラグランプリ大賞とあなたが選ぶベストカメラ大賞に輝いたオリンパス「E-P1」 カメラグランプリ大賞の盾を受け取るオリンパスイメージング代表取締役社長の大久保雅治氏(右)

 「選考対象のカメラは199機種に及ぶと聞いている。エントリー機が多い中でE-P1を選んでいただけた。1984年(第1回)の「OM 4」とニコンの「FA」の決選投票ではニコンに敗れたが、今回はそれから27年ぶりの快挙で嬉しい」(大久保氏)と喜びを語った。

 「E-P1はカメラ愛好家だけではなく、一眼の魅力を広く伝えたいという思いで開発した。独自の機能を小型ボディに収めたことが評価された。E-P1の登場で、コンパクトデジタルカメラと一眼レフカメラの壁が取り払われたという手応えを実感している。今後も市場に新風を吹き込んでいきたい」(大久保氏)

 大久保氏は、銀塩のペンシリーズの設計を手がけ2009年7月に亡くなった米谷美久氏にも触れた。「大賞の受賞に米谷も喜ぶと思う。墓前に報告させていただいた。今回の受賞に恥じないようこれからも研鑽していく」と締めくくった。

あなたが選ぶベストカメラ大賞の盾を受け取るオリンパスイメージング取締役 国内営業本部長の五味俊明氏(右) 開発秘話を話したオリンパスイメージング開発本部商品開発部長の朝倉康夫氏(右)

 また、あなたが選ぶベストカメラ大賞の盾を受け取ったオリンパスイメージング取締役 国内営業本部長の五味俊明氏は、「悲願だった大賞を頂けた上に、今回はユーザーからも選ばれたので二重の喜び。ペンのコンセプトを多くの人に理解、賛同して貰え、思っていた以上に好調でありがたく思う。そうしたユーザーがペンの市場を牽引しているのではないか」と分析。

 五味氏によると、E-P1により中古レンズ市場の活性化にも繋がったという。また、カメラアクセサリーなどの関連用品ビジネスが思いの外拡大したとのこと。

 E-P1の開発秘話を披露したのは、オリンパスイメージング開発本部商品開発部長の朝倉康夫氏。「デジタル技術で芽を吹いたのがマイクロフォーサーズで、小型化やHD動画への対応などを実現した。ただマイクロフォーサーズというだけではだめで、あなたが選ぶベストカメラ大賞のコメントにもあるように“持っているだけでも楽しいカメラ”、“使っても楽しいカメラ”というのが次世代の求めていたカメラ。基本を抑えつつも、気軽に持ち運んで自分を表現できるカメラが必要だった」(朝倉氏)という。

オリンパスの出席者

 ストロボやEVFを省いたことについては、「敢えて削ったことで、ポケットに収まるようになった」と小型化を重視したためとした。一方でレンズを交換するときにセンサーがむき出しになることから、超音波によるダストリダクションシステムは削らずに盛り込んだ。またコンパクトデジタルカメラユーザーにも違和感がないように、ボディ内手ブレ補正技術も必須の機能として搭載したとする。

 E-P1のデザインは、いくつかのモックアップの中にあったオリジナルのペンのデザインが若手や女性の選考モニターから最も良い評価を得たために採用となった。「オリジナルのペンを再現したというわけではない」(朝倉氏)としている。「受賞を真摯に受け止め、心を新たにして今後も喜んでいただける製品を開発していく」(同氏)とまとめた。

カメラ記者クラブ賞

 マクロレンズで受賞したキヤノンは、キヤノン取締役イメージコミュニケーション事業本部 本部長の真栄田雅也氏が挨拶した。

カメラ記者クラブ賞に輝いた「EF 100mm F2.8 L Macro IS USM」 カメラ記者クラブ賞の盾を受け取るキヤノン取締役イメージコミュニケーション事業本部 本部長の真栄田雅也氏

 「このレンズは、開発の現場が本当にがんばったレンズと理解している。最終的に形式知だけではなく暗黙知の領域まで開発が踏み込んでくれた。そして、手持ちでマクロ撮影ができるレンズを世に出してくれた。カメラの命はなんといってもレンズ。今後も、皆様に喜んでいただけるレンズを継続的に送り出していきたい」(真栄田氏)と話した。

 EF 100mm F2.8 L Macro IS USMの開発秘話を披露したのは、キヤノンイメージコミュニケーション事業本部レンズ開発センター所長の金田直也氏。同レンズは、従来の角度ブレに加えてシフトブレへの補正機能を搭載したことで、マクロ域での手ブレ補正を可能としている。

開発秘話を話したキヤノンイメージコミュニケーション事業本部レンズ開発センター所長の金田直也氏 キヤノンの出席者

 手ブレ補正機構の無いマクロレンズを新しくするに当たって、従来からある角度ブレのみの補正を採用することもできたというが、それでは近接撮影時に補正の効果が少ないのだという。シフトブレ補正は、以前からキヤノンの要素技術として意識はしていたそうだが、今回新たにEF 100mm F2.8L Macro IS USMに搭載することを決めたとのこと。「角度ブレ量とシフトブレ量にあわせてレンズを制御すれば簡単に補正できそうに思えるが、開発初期はほとんど効果がなかった」(金田氏)と振り返る。2つのセンサーの結果をどう処理するか、開発者は数十万枚の試写と検証を行なってアルゴリズムをブラッシュアップし完成させたのだという。

 裏面照射型CMOSセンサーで受賞したソニーは、ソニーコンスーマー・プロフェッショナル&デバイスグループ 半導体事業本部セミコンダクタテクノロジー開発部門 部門長の平山照峰氏が挨拶した。

カメラ記者クラブ賞を受賞した「Exmor R」中央手前。周りのカメラはExmor Rを搭載したサイバーショット カメラ記者クラブ賞の盾を受け取るソニーコンスーマー・プロフェッショナル&デバイスグループ 半導体事業本部セミコンダクタテクノロジー開発部門 部門長の平山照峰氏

 「イメージセンサーをカメラグランプリで採り上げていただいて驚いている。Exmor Rは多くの開発費と労力をかけた製品。初めていい絵が出たときには喜び、量産に力を入れた。多画素化の付加価値が相対的に下がっているなか、ほかの価値を提供できる可能性のあるセンサーを出せたのではないか。現状に満足せず、今後もイメージセンサーを進化させていきたい」(平山氏)とした。

 Exmor Rの開発秘話は、ソニーパーソナルイメージング&サウンド事業本部イメージング第2事業部商品設計部 部長の田中健二氏。

 田中氏によれば、デバイス開発をスタートする際の決断が大きなポイントだったという。「Exmor Rのベースになった当時のCMOSセンサーといえば、おもちゃのデジタルカメラに使われているといった、安かろう悪かろうの製品だった。サイバーショットに搭載するに当たっては、社内でも保守的だった」(田中氏)。ところが、1つのサンプルの画像を見たところ大変良かったため、それを持って経営のトップを説得し量産化に漕ぎ着けたとのこと。「Exmor Rがより多くの人に使ってもらえ、カメラ業界の発展に寄与できればこの上ない喜び」(同氏)と話した。

開発秘話を話したソニーパーソナルイメージング&サウンド事業本部イメージング第2事業部商品設計部 部長の田中健二氏 ソニーの出席者

選考対象機種は年々増加

 一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)事務局長の上村正弘氏は、「審査対象機種は年々増えている。毎年200近い機種が選考対象になるのは、カメラ映像機器産業の技術開発力の力強さを表している。デジタルカメラの出荷台数も7カ月連続でプラスの推移となっている。デジタル技術の可能性はまだまだ大きいと思っている。受賞した製品は、いずれもデジタル技術の新しい方向性を示すものと感じている。これらの力で、市場拡大に繋がることを期待している」と挨拶した。

乾杯のスピーチをした一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)事務局長の上村正弘氏

 またカメラグランプリ選考委員を代表してスピーチした写真家でテクニカルライターの那和秀峻氏は、「本賞はこれまでカメラの技術革新を追ってきた。今回素晴らしいのは、いずれの受賞製品も新しい発想、逆転の発想で世界を拓いた製品であること。その意味で、カメラグランプリの歴史の中でも記念すべきこと」と述べた。

写真家でテクニカルライターの那和秀峻氏

 カメラ記者クラブ代表幹事の柴田誠氏(フォトテクニックデジタル)は、「今回のカメラグランプリはtwitterなどを通して世界中で話題になった。これからも世界に広げて発展させるのが我々の使命だ」とまとめた。

カメラ記者クラブ代表幹事の柴田誠氏



(本誌:武石修)

2010/6/1 19:37