アイファイジャパン、RAW転送やジオタグに対応した「Eye-Fi X2」


 アイファイジャパンは、RAW転送やジオタグに対応した無線LAN内蔵SDHCメモリーカード「Eye-Fi X2」シリーズ3製品を20日に発売する。ヨドバシカメラ、ビックカメラ、ソフマップ全店などの量販店で販売。ECサイトAmazon.co.jpでは12日より予約販売を開始している。

Eye-Fi Pro X2Eye-Fi Explore X2Eye-Fi Connect X2

 米Eye-Fiが1月に発表した、IEEE 802.11b/g/n対応のワイヤレスチップ搭載モデル。日本では2010年春の発売をアナウンスしていた。発売するのは「Eye-Fi Pro X2」、「Eye-Fi Explore X2」、「Eye-Fi Connect X2」。価格はすべてオープンプライス。実売価格はEye-Fi Pro X2が1万5,800円前後、Eye-Fi Explore X2が9,980円前後、Eye-Fi Connectが6,980円前後の見込み。なお、米国のアップルストア限定で展開している「Eye-Fi Geo」の国内展開は行わない。

 デジタルカメラの撮影画像を、無線LAN経由でPCおよび各種オンラインサービスに送信できるSDHCメモリーカード。IEEE 802.11b/g/n対応のワイヤレスチップを搭載することで、従来より無線電波の到達距離および送信速度が向上し、記録容量も増加した。スピードクラスはClass6。容量は、Eye-Fi Pro X2とEye-Fi Exploreが8GB、Eye-Fi Connect X2が4GB。

 3製品共通の新機能として、カード内の転送済みファイルを削除することで、データを記録し続けることができる「エンドレスモード」を搭載。容量が指定したしきい値を超えるとファイルの削除を行なう。ファイルの削除はEye-Fiがネットワークに接続していない状態でも行なわれるが、転送済みでないファイルは残す。

 また、従来はブラウザベースだった管理ツール「Eye-Fi Manager」をアプリケーションツール「Eye-Fi Center」に変更。対応サービスへの転送やエンドレスモードのON/OFFなど各種設定を行なえる。使用にあたってはAdobe AIRの導入が必要。

ボックスイメージ(左からEye-Fi Pro X2、Eye-Fi Explore X2、Eye-Fi Connect X2)

 Eye-Fi Pro X2は、RAW画像転送、アドホック接続、公衆無線LAN接続、ジオタグ記録機能に対応する最上位モデル。ジオタグ記録機能を有するモデルとしては、Eye-Fi Explore X2と並んで国内で初めて発売するモデルとなる。

 RAW転送はPCへの転送のみ対応。富士フイルムの3Dデジタルカメラ「FinePix Real 3D W1」などで採用しているファイルフォーマットであるMPO(Multi Picture Object)にも対応した。RAWの判別は拡張子によって行なう。対応形式はCRW、CR2、NEF、NRW、DNG、PTX、PEF、RAW、RW2、MPO。転送先PCのフォルダをJPEG・動画・RAWのカテゴリー別に分けることができる。

 アドホック接続は、付近に無線LANネットワークがない場合でも、対応するPCに直接接続して転送できるモード。無線LAN環境のないロケ先などでエンドレスモードを使用するケースで威力を発揮するという。

 公衆無線LAN接続機能は、公衆無線LANのアカウントをあらかじめ登録しておくことで、公衆無線LAN経由でのファイル転送が可能になる機能。

 ジオタグ機能は、撮影位置の情報を画像データに付与する機能。撮影位置の周囲に存在する無線LANのアクセスポイント情報をもとに測位を行なうため、衛星測位システムであるGPSとは異なる。

 Eye-Fi Explore X2は、RAW画像転送とアドホック接続を省略したモデル。Eye-Fi Connect X2は、さらにジオタグ記録機能と公衆無線LAN接続を非搭載とした製品。

 

目標は「写真・ビデオをユーザーの共有したい場所に届けるお手伝いをすること」

 アイファイジャパンが12日に行なった発表会では、Eye-Fiプレジデント兼CEOのJef Holove氏が日本での販売戦略ならびに商品説明を行なった。

 同氏は日本での販売戦略を語るにあたり、改めてEye-Fiを「デジタルメモリーを管理するためのシステム」と説明。究極的な目標として「写真・ビデオをユーザーの共有したい場所に届けるお手伝いをすること」とした。

Eye-Fiプレジデント兼CEOのJef Holove氏(左)とアイファイジャパン株式会社代表取締役の田中大祐氏(右)「写真・動画をユーザーの望むところへ届けること」を目標とした

 そのための手段のひとつに、「新しいパートナーシップを増やすこと」を挙げ、Eye-Fi連動機能を搭載している機種を発売しているカメラメーカーとして、カシオ、三洋電機、ニコン、ペンタックス(HOYA)を挙げた。ここでは、新たなパートナーとしてキヤノンが加わったことも発表。Eye-Fiのアップロード先にキヤノンのオンラインアルバム「CANON iMAGE GATEWAY」を追加した。

 さらに、イーモバイルのモバイルルーター「Pocket WiFi」ならびにバッファローのNAS「LinkStation」シリーズがEye-Fiへ対応することを明らかにした。

 また、クラウドベースのテクノロジーを活用して製品の改善を行なっていることもアピール。一例として、無線LANを基礎とした測位システムなどを提供するスカイフック・ワイヤレス社との協力による、ジオタグ記録機能の搭載を挙げた。

新たなアップロード先に「CANON iMAGE GATEWAY」を追加イーモバイルの「Pocket WiFi」とも連動
NASとの連動では、PCを介することなく、直接バックアップできる利点を挙げているスカイフック・ワイヤレス社との協力によりジオタグ記録機能を実現する

 

RAW転送機能は日本で受け入れられるのでは

 商品説明でHolove氏は、Eye-Fi X2を「Eye-Fi 2.0」と位置付け、ハードウェア設計について言及。従来のEye-FiはIEEE 802.11gのワイヤレス通信とプロセッサーを兼任する特殊なシステムを搭載していたが、Eye-Fi X2ではEye-Fiが独自開発したチップを搭載。プロセッサーとワイヤレス通信を行なうチップを独立して搭載し、またIEEE 802.11n対応のワイヤレスチップを採用したことで、パフォーマンスと転送速度が改善し、従来と比べて約2倍程度に高速化したという。

従来モデルでは通信チップとプロセッサーを兼任するシステムを搭載していたEye-Fi X2では独立したチップを搭載することで、パフォーマンスを向上した
転送速度の計測デモも実施した

 写真にジオタグが付与される仕組みについても説明した。Eye-Fiでは、周囲に存在するネットワークに関する情報を写真データとともに送信。データは米スカイフック・ワイヤレス社のサーバーによりネットワークのデータベースと照合され、それをもとに測位した情報をイメージに付与するという流れ。無線LANのネットワークを利用するため、GPSとは異なる。

 また、RAW転送については「デジタル一眼レフカメラのユーザーから非常に高い要望があった」と説明。日本のフォトグラファーは、他国と比べてより多くのRAW画像を撮ることで知られているとし、「日本においてはかなり幅広く受け入れられる機能なのではないか」と期待感を表明した。

エンドレスモード概要容量がしきい値を超えた時点で、転送済みイメージの削除を開始する
アドホックモードの紹介では「旅行先のプロカメラマンなどには使い勝手のいいものではないか」と提案していたEye-Fi Center

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2010/5/13 14:38