ASUSTeK、アクティブシャッター式の3D対応ハイエンドノートPC


 ASUSTeK Computerは、3D映像技術「NVIDIA 3D Vision」に対応したノートPC「G51Jx 3D」を24日に発売する。価格は20万9,800円。発売にあたり、NVIDIAと共同で発表会を行なった。

G51Jx 3DG51Jx 3Dに付属する3D Visionのメガネとエミッター

 G51Jx 3Dは、日本初というアクティブシャッター式を採用する3D表示対応ノートパソコン。NVIDIA 3D Visionに対応する15.6型ワイド1,366×768ドット(LEDバックライト)の液晶ディスプレイを搭載し、NVIDIA 3D Visionのキット(3Dメガネ、エミッターなど)が鵜属する。

 NVIDIA 3D Visionを利用することで、3Dゲームや映画のほか、富士フイルムの3D対応デジタルカメラ「FinePix REAL 3D W1」で撮影した静止画・動画の立体視が可能になる。

 アクティブシャッター式は、左右の目に送る各60fps映像を120fpsで交互に表示し、3Dメガネの電子シャッターを同期させることで立体視が可能になる方式。高解像度・広視野角の3D体験が可能としている。

「NVIDIA 3D Vision Photo Viewer」で左右の画像を表示しているところ「NVIDIA 3D Vision Video Player」は左右の映像を別々に読み込んで3D再生することもできる

 G51Jx 3Dのそのほかのスペックは、CPUにインテルCore-i7-720QM、グラフィックスがNVIDIA GeFOrce GTS 360M、メモリーは4GB(2GB×2)、HDDは約500GB(7,200rpm)。OSはWindows 7 Home Premium 64bit正規版。

 本体サイズと重量は、375×265×34.3〜40.6mm(幅×奥行き×高さ)、約3.3kg。バッテリー駆動時間は約1.8時間。

「アバター」以前は高嶺の花だった3D

NVIDIA Japan日本代表兼米国本社ヴァイスプレジデントのSteve Furney-Howe氏

 NVIDIA Japan日本代表兼米国本社ヴァイスプレジデントのSteve Furney-Howe氏は、同社がミッションとして掲げる「ベストなビジュアルコンピューティングの能力と体験」について、「10〜15年前と“ベスト”の定義は大きく様変わりしている」と説明した。

 現在のベストなビジュアルコンピューティングの体験は、単に三角形を速く移動させるだけではなく、トータルな視覚体験を提供できるかであり、「現実をどう作り出すか」、「現実をどう再生するか」だと強調。

 また、映画「アバター」以来、3D体験が“高嶺の花”ではなくなってきたと語った。


「何を買えばいいのかわからない」ユーザーにも

NVIDIAマーケティング本部 広報/マーケティングコミュニケーションズ シニアマネージャの中村かおり氏

 NVIDIAマーケティング本部 広報/マーケティングコミュニケーションズ シニアマネージャの中村かおり氏は、3Dの普及と動向について、同社の調べによるデータを示した。

 調査結果によると、日本のおよそ6割の人が3Dメガネで映画や写真を立体視した経験があり、その半数近くは映画館で3D映像を見たという。「自宅で3Dコンテンツを楽しみたいか」という設問に対しては、映画やゲームを楽しみたいといった関心が窺える一方で、「何を買えばいいのかわからない」という回答が見られた。

 中村氏は、G51Jx 3Dには3Dコンテンツを立体視できる環境が一式揃っているため、同製品が市場に出ることで、一般にも3D立体視が普及するのでは、としていた。

 また、同社は3D立体視の普及のために、メーカー各社の協業関係「3D Vision Ecosystem」を掲げている。この広がりによって、一般の人もより3Dを楽しめるよう盛り上げていきたいと強調した。


3Dは「驚き」から「感動」へ

米国StereoD社 最高技術責任者/共同設立者、3Dコンソーシアム事務局長の泉邦昭氏

 発表会にはスペシャルゲストとして、米国StereoD社の最高技術責任者/共同設立者、3Dコンソーシアム事務局長の泉邦昭氏が登壇。3Dがコンシューマビジネスに変わりつつある事例として、「ハリウッド3D映画」と「3D家電」の2つを挙げた。

 ハリウッド3D映画については、映画「アバター」のヒットが「3Dの未来が明るいことを示してくれた」と語った。以後の作品も興行記録を更新。現在では収益の半分以上が3D映画となり、「3D映画は儲かる」と活気づいているという。

 映画の複製対策の観点からも3Dに対する注目は高く、「もう3Dしかやらない」と話す映画監督もいるという。今後、2012年までに50本以上の3D映画が上映される予定と説明した。

 3D家電では、大手パネルメーカーの3D液晶パネルが安く入手できるようになり、富士フイルムのFinePix REAL 3D W1では、3Dの静止画、動画を自分で撮って楽しめるといった事例を紹介。2009年のNVIDIA 3D Visionで期待が広がったという。また、3Dパネルの製造は日本と韓国で行なっており、台湾や中国に対する付加価値としていきたいとしていた。

 現在の3Dは、ブームで終わった過去の3Dと異なり、満足できる画質に加え、ハリウッド映画などのコンテンツが充実している。近年では画面から飛び出してくるような「視覚的驚き」を与える3D効果から、表現力そのもので感動を与える方向にシフトしているという。ハリウッド映画において視差が少なくても十分な3D効果が得られることも実証されたため、近年では見やすさも意識し、視差を少なくする傾向にあるという。


孫のムービーを撮るのが楽しい

モンキー・パンチ氏

 続いて、漫画「ルパン三世」の原作者である漫画家・デジタルクリエーターのモンキー・パンチ氏が登壇した。自身を「専門家ではなく、3Dが好きな素人」という。

 氏は50年以上前、高校生の頃に見た3D映画が鮮明で忘れられず、以来3Dに注目。ペンで描いた絵をどうやったら立体にできるのか、試行錯誤しているという。「漫画家には3Dに凝っている人が結構いる」とも語った。10年前はPhotoshopなどを利用して力技でイラストの3D化を試みたが、制作には1枚につき1カ月を要したという。

 ステレオ用カメラをオークションで競り合うこともあるといい、現在はFinePix REAL 3D W1で孫のムービー撮影することが楽しいとのこと。「コンテンツを自分で作れないと3Dは普及しないのではないか」と語った。

 「最終的には、描いた漫画を立体でお見せしたい」と語るモンキー・パンチ氏。3D対応のPCをきっかけに3Dが普及するのではないか、と締めくくった。



(本誌:鈴木誠)

2010/4/14 18:55