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パナソニックLUMIX G9発表会レポート

新たな「絵作り思想」などを説明 静止画向けのフラッグシップモデル

パナソニックは11月16日、ミラーレスカメラの新製品「LUMIX G9」の発表会を都内で開催した。ここではその模様をお伝えする。

G9とGH5のツートップで展開

LUMIX G9は、同社ミラーレスカメラの静止画向けモデルにおけるフラッグシップモデル。2018年1月25日に発売する。店頭予想価格はボディのみで税別21万円前後の見込み。

装着レンズはLEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.(以下同)。

発売済みの「LUMIX GH5」は、動画向けのフラッグシップ機と位置付ける。同社のミラーレスカメラはG9とGH5のダブルフラッグシップで展開していく。

パナソニック株式会社 イメージングネットワーク事業部の山根洋介氏は、「当社ミラーレスカメラ10年の集大成。プロフォトグラファーに向けたフラッグシップ機」と紹介した。

なお、製品情報ページなどでの訴求名称は「LUMIX G9 PRO」の一方、名称「G9」や品番「DC-G9」には「PRO」は含まれていない。この表記についての質問に対して山根氏は、「(メディアなどでは)PROを付けてお願いしたい。プロにも使って欲しいという意味でPROと付けさせていただいた」と説明した。ちなみに、このPROの名称は欧米では使用しておらず、国内向けの表記となっている。

パナソニック株式会社 イメージングネットワーク事業部の山根洋介氏
パナソニックは、世界で初めてミラーレスカメラ(LUMIX G1)を2008年に発売。来年で10周年となる。

G9については新たに絵作りの思想を持ち、カメラが変わっても絵作りの共通性があるようになるという。今後登場するモデルも同じ絵作り思想に基づいたものになるとしている。

この絵作り思想は、例えば生き物の写真であれば、生命が動き出すような感動を表現できる「生命感」がある絵作りだとした。

山根氏によると、GH5はワールドワイドで好評だが、動画ユーザーが多かったという。一方静止画のユーザーからは「動画製作向けの専門機能を削って価格を下げて欲しい」との要望が多かったと明らかにした。実際に価格もGH5より安価に設定したとのこと。

また、デザインも機能的になるよう徹底的にこだわったとした。モードダイヤルに設けた赤いラインは「フォトグラファーの撮影に対するパッション」を表現したものという。

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画像処理エンジンの「ヴィーナスエンジン」はGH5と同じものを採用している。

手ブレ補正機構は、対応レンズと組み合わせた際に最大6.5段分を謳う。実焦点距離140mmという望遠域までこの性能が発揮されるという。

センサーシフトの機能を使って高解像度記録を実現する「80Mハイレゾモード」も新搭載。

AFは引き続き「空間認識AF」を採用。合焦速度は世界最速を実現したとする。

連写は電子シャッター使用のAF追従時で約20コマ/秒に引き上げた。この際、RAW記録が可能。

高速連写を試せるように、会場にはラジコンカーが用意された。

これまでの顔認識が対応できない、横向きや後ろ向きの人物を検出してピントを合わせられる「人体認識」機能を搭載した。数万枚の写真によるディープラーニングでアルゴリズムを開発した。AIを活用した機能だが、パナソニックでは「こうしたカメラにおいて人体の検出にAIを使用したと謳っているのは初めて」だとしている。

人体認識のデモ。後ろ向きの人形に検出枠が出ている。人体検出は顔認識のモードにおいて、顔が認識できない場合に自動で機能する仕組み。

今回ファインダー倍率を引き上げており、「覗くと感動するレベル」(同社)という。

ミラーレスカメラでは珍しい、いわゆる「表示パネル」を設けているのも特徴。一眼レフカメラのように状態を把握できる。

ステータスLCD。表示スタイルや設置場所など一眼レフカメラを思わせるものとなっている。

USB充電とUSB給電に対応するのもポイント。USB充電の時間は3時間40分~3時間50分。USB給電での撮影中は、バッテリーの充電はできない。

フロント、トップ、リアの外装はマグネシウム合金製。

ボディは「漆黒」となるように塗装もこだわったという。

バッテリーグリップ「DMW-BGG9」も用意する。

赤い刺繍が印象的なショルダーストラップ「DMW-SSTG9」も新アクセサリーだ。

ノーティカム製のG9用水中ハウジング「NA G9」が参考展示されていた。耐圧水深100mに対応する。

手持ちができる「ヨンニッパ」も

交換レンズの新製品「LEICA DG ELMARIT 200mm/F2.8/POWER O.I.S.」も発表された。12月14日に発売する。希望小売価格は税別42万円。

いわゆる“ヨンニッパ”相当となる大口径超望遠レンズで、LEICAの基準をクリアした製品。同社では「ヨンニッパが手持ちで撮れる」と訴求した。同社製交換レンズで最高の描写性能としている。

フィルター径は77mmとなっている。

公開されたMTF曲線は、いずれのラインも高い位置にある。また、テレコンバーターを使用しても、MTFの低下が少ないとしている。

35mm一眼レフカメラの400mm F2.8レンズに対して、大幅に小型、軽量になっている。

レンズのフォーカスボタンには、フォーカス位置の記録のほか、ファンクションボタンとしての機能割り当てもできる。

1.4倍のテレコンバーターはレンズに同梱する。また、2倍のテレコンバーターはオプションとして用意する。

1.4倍のテレコンバーター(左)と2倍のテレコンバーター(右)。

今回提示されたプレミアムレンズのロードマップ。かねて開発中の50-200mm F2.8-4の望遠ズームレンズは「鋭意開発中」だとした。

本誌:武石修