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「RICOH THETA × IoTデベロッパーズコンテスト」の優秀作品が発表
最優秀賞は、遠隔会議を助ける「聖徳玉子」
2016年11月8日 11:00
株式会社リコーは11月7日、東京都江東区青海の日本科学未来館で「RICOH THETA × IoTデベロッパーズコンテスト」の表彰式を開催した。
同社の360度カメラ「RICOH THETA」と連動するアプリケーションやガジェットを募ったコンテスト。2015年の「RICOH THETAデベロッパーズコンテスト」に続き2度目の開催。参加者にはベータ版のクラウドAPIやTHETA筐体の3Dデータを提供した。
今回は33の国と地域から347のエントリーがあり、最終的に54作品が集まった。"VR元年"として360度カメラへの期待が高まる中、クラウド連携や、小型コンピューターが埋め込まれたTHETA向けガジェットなど、いわゆる"IoT時代"らしい作品が目立ったという。
リコー代表取締役会長の近藤史朗氏は、「"IoTの目"としてTHETAが果たす役割は広がると確信している」と話し、このコンテストを第一歩に、ソーシャルイノベーション、オープンイノベーションの流れが加速することに期待する。
日本科学未来館の館長である毛利衛氏は、「THETAが登場した時、いつかこれで動画を撮りたいと思った。今はそれも実現した。こうした要望が次々と叶うカメラ」と評価。「日本科学未来館も建物が古くなってきたと思っていたが、THETAを通して見ると、まだカッコいいところが見えてくる」とも述べた。日本科学未来館はオープンしてから15年を迎え、リコーとのパートナーシップも10年になるという。
前回に引き続き審査員長をつとめる、東京大学大学院情報学環教授の坂村健氏は、同コンテストがIoT対応になりパワーアップしたとコメント。昨年に引き続き、THETAがオープンAPIである点を取り上げ「こういった開発はオープンでないと面白さが半減」、「たくさんの人を参加させないとイノベーションは起きない」と力説した。
また同コンテストが、ニューヨークからパリまで最初に無着陸で飛んだ者に賞金を出す「オルティーグ賞」(1919年設立、1927年にリンドバーグが賞金獲得)にはじまる、賞金提示により技術進歩を促進する「Xプライズ」の発想に近く、日本においてはリコーが先行していると評価した。
表彰作品
優秀賞
・「360 stream to AR app for imagebased lighting and real-time reflections」grigtod
・「360EyeToEar」StrawberrySaurs
・「THETA EYE」THETA EYE
80周年記念賞
・「Veaver Theta S Mobility Streamer」Team Veaver(from IOK Company)
・「VANISH360」ViRD
・「Sun Light Estimator」馬場雅志
・「Next Number VR360」muteua
・「水中全天球ライブ配信システム i-Ball(アイ・ボール)」谷川&山縣
講評
日本科学未来館 科学コミュニケーション専門主任 小沢淳氏は、「人類の進化に寄与できるか」をポイントに審査。うさぎの耳のような360EyeToEarは健常者でもソナーになり、未来の人類の姿はこうなのかもしれない、と考えたという。
加えて、「まだ見たことのない世界」という切り口では「THETA EYE」の完成度が高く、工事現場やライブ鑑賞、スポーツ観戦、宇宙や辺境の地を見るのにも使えそうと述べた。口腔内を見る「MOUTHETA」には、身近なところに見たことのない世界があるんだな、と衝撃を受けたと述べた。
NAKED Inc.代表の村松亮太郎氏は、「今回は、旧来のカメラにない可能性が広がると感じられた」と印象を述べた。村松氏はアプリやガジェットが「どういった体験になるか」という視点で審査したが、フレームで切り取る従来のカメラとな異なる"THETAの持つ可能性"が自分も含めて見えてきた感じがするとコメント。今後さらに飛躍の段階に入ると、クリエイティブやアートの観点からも面白いものが出てくるのではと期待を語った。
ドワンゴ 人事部 部長の清水俊博氏は、前職であるエンジニアの視点から審査。MOUTHETAは家族の健康を考え、360EyeToEarは障害を持つ人のためなど、「高度な技術力を持った作品も多かったが、それ以上に愛を感じた」と話す。THETAという製品そのものへの愛も強く感じ、審査していて楽しかったと述べた。