むらいさちの、旅フォトエッセイ さち☆たび

vol.6 長野県|小人の森に迷い込む旅(前編)

最も長生きした人間とは、最も年を経た人間のことではない。最も人生を楽しんだ人間のことである。

ルソー 哲学者

改めて、さち☆たび のルールを紹介しましょう。

1)旅の資金は4万円、あとは国内海外どこに行ってもよし。余ったお金は貯蓄(編集部にて)。1年後、連載が続いており、貯蓄がたまっていたら特別編としてハワイ旅行をする!(笑)

2)カメラや技術の話はしない(写真でゆっくり楽しんでね♪)。

3)人の好意には甘える(笑)、差し入れ・現地案内大歓迎です♪(むらいさちのFacebookページなどでリアルな旅の様子をリポートします。作品はここにてお見せします)

以上3つ。

まあ、B型おとめ座の むらいさち なので、マイペースにゆるっと進めさせていただきます。

旅先では感じた気持ちを、カメラを通じて表現していければと思います。

苔の旅

皆さんこんにちは! 写真家のむらいさち です。

今回は長野県佐久穂町の、白駒池に行ってきました!

撮影日は6月下旬。そう梅雨真っ盛り。どこに行こうか、かなり迷いました……。

空けていたスケジュールの日、日本では沖縄以外は雨予報……。

こうなったら、その雨を利用するしかないと思いました。紫陽花はありきたりだし、雨でも絵になるのは……苔しかない! 苔と言えば白駒池!

と、撮影前日思い立ち、雨の中撮影に向かいました!

白駒池は、北八ヶ岳の標高2100m付近にある天然湖。その周囲は、原生林に囲まれ、きれいな苔が辺り一面を覆っています。

実は、僕は苔が大好きで、昔はよく苔を撮りに京都などに通っていました。

さて、今回もノープランながらスタートしたさち☆たび、どうなるのでしょうか?

さち☆たび前編 1日目スタート!

家から車で約4時間、くねくね道を走りたどり着いた白駒池。標高が2,000mながら車でアクセスできるので、とても便利なんです。30度近かった都心と比べここは17度。涼しいを越えて寒かったです……。

ここが白駒池への入り口。池へ15分ほどの道のりですが、森の中に一歩足を踏み入れると、世界が一変します。

標高2,000mは雲の中。森はより一層幻想的な姿を僕に見せてくれました。
大きな森もとても美しいですが、足元には小人達が住んでいそうな、小さな森も存在しています。

雨に濡れた苔やキノコは潤いを増し、その色はさらに美しさを増していました。

最初は苔に目がいくのですが、途中でキノコの存在に気づき、そのかわいらしさに一目惚れ、ますます撮影にのめりこんでいく僕でした。

標高は2,100m。こんな大きな森で、数mmの苔やキノコに一喜一憂している自分がなんだか可笑しく、思わず苦笑い。

お天気の影響か、人にはほとんど会わず、ファインダーを覗いていると、まさに小人の森に迷い込んだ気分に。時間が経つにつれ、霧も深くなり、森はますます幻想的な世界を見せてくれました。

普通に歩くと15分ほどの白駒池に、数時間かけてやっと到着。もちろん池は霧の中……。そこまで深い思いがあって来たわけではなかったのですが、すっかり苔の世界に魅了され、夢中で数時間撮影に没頭していました。
久々に苔熱が復活した瞬間、やっぱり写真は楽しい!

この時ですでに夕方、まずは池を一周しましょう。

歩いていると、自分が映画やアニメの世界に飛び込んだような気分になっていきました。写真でもそんな風に表現できればと気を使いながら。
小さいですが、野花も咲いており、かわいい姿を見せてくれました(名前は分かりませんが……)。

そして、今回の何よりのヒットは、キノコ。今までそこまで興味がある被写体では無かったのですが、小人の森で出会ったキノコたちが可愛すぎて……。すっかりその世界に魅了されてしまいました。

この撮影が終わった時点で18時を越えていました。徐々に暗くなる森もまた素敵。

が、それ以上に一人だと怖いので(汗)、今日はここまで。今回は前編・後編と分けています。明日は、お天気は回復してくるとの予報に変わっており、森はどんな表情を見せてくれるのか? どうぞお楽しみに!

そして、僕は車中泊して、明日に備えました(この夜5度近くまで気温が下がり、寒くてほとんど寝れなかったですが……)。

後編へと続く……。

今回の相棒

OLYMPUS OM-D E-M1、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
(2015/7/13)
むらいさち
沖縄でのダイビングインストラクターを経て写真の世界へ。広告写真家の助手後、ダイビングやリゾート雑誌を出版している出版社のカメラマンとして、日本を始め世界の海へ訪れる。その後独立。現在は広告や雑誌の撮影を中心に活動。海だけに限らず世界のありとあらゆる場所で「しあわせのとき」をテーマに撮影を続けており、一年の多くを取材先で過ごしている。著書は写真集「きせきのしま」(小学館)、「LinoLIno」「ALOHEART」(LifeDesignBooks)。共著「光と色の写真の教科書」(技術評論社)、「カメラ*好き1&2」(マイコミブック)。トラベルマガジン「LUKETH」参加。今年2月に写真家川野恭子(きょん♪)と共に、フォトライフマガジン「TORIPPLE」を創刊。muraisachi.com