ジョンソン祥子さんに教わる!
「犬の撮り方教室 by SIGMA」に行ってきました

アメリカ人男性との国際結婚を機に渡米し、ミシガン州でご主人、息子の一茶くん、柴犬のマルちゃんと共に暮らすジョンソン祥子さん。美しいミシガン州の四季のなか、兄弟のように仲よく育った一茶くんと柴犬マルちゃんの日々を写真と文章で綴った、人気ブログ「Maru in Michigan」は、絶大な人気を誇ります。

ジョンソン祥子さんによる「犬とこどものための写真教室 by SIGMA」が、7月27日と28日に犬の撮り方教室とこどもの撮り方教室に分けられ開催されました。

今回は犬の撮り方教室の様子をレポートします。

ジョンソン祥子のファンや犬好きの方が参加されました。今回の「犬とこどものための写真教室 by SIGMA」の人気はとても高く、募集をかけたらすぐ定員がいっぱいになってしまったそうです。

ジョンソン祥子さんとモデルを務めた柴犬のココちゃんと貯蔵くん。ジョンソン祥子さんは、2008年から写真と文章で綴ったブログ「Maru in Michigan」を公開。2013年にブログを元にした写真集『ことばはいらない 〜Maru in Michigan〜』を刊行し、異例のヒットを記録。同シリーズに『ぼくのともだち 〜Maru in Michigan〜』『いつもとなりに 〜Maru in Michigan〜』があります。

犬の撮り方教室が開催された「Andy Cafe」。室内ドッグラン、ドッグカフェ、ドッグサロン、ドッグホテルが併設されています。

「Maru in Michigan」で公開されているジョンソン祥子さんが一眼レフで撮影した写真は、すべてSIGMAのレンズでほぼSIGMA 17-50mm F2.8 EX DC OS HSMで撮影しています。そのことがきっかけで、今回のイベントの開催が決まったそうです。

最初にジョンソン祥子さんが登場し、みなさんにご挨拶。

「本日はお暑いなか、ご参加いただきありがとうございました。今日はマルはミシガンでお留守番ですが、かわいいココちゃんと貯蔵くんがモデルさんになってくれます。みなさんが撮る時間もありますので、お一人お一人とお話しながらマルと一茶の世界の撮り方がお伝えできればと思います」

その後、ジョンソン祥子さんが参加者の方に、ペットを飼っている方、普段使っているカメラの種類、撮影で気をつけていることなどを逆質問。参加者の半分弱の方が犬を飼い、猫を飼っている方も数名いました。

アットホームな雰囲気になったところでプリントが配られ、講義形式でジョンソン祥子さんが撮影するときに意識している3つのポイントを教えていただきました。

「自分が飼っている犬とよそのワンちゃんを撮るのは全くの別物です。今日のように初対面のワンちゃんを撮るときは、まず10分くらいはふれ合って慣れてもらい、その子の性格や癖を見つけてあげることが大切です。飼い主さんに教えてもらうのもいいと思います。写真はコミュニケーションです。その子の性格を知った上で私は3つのポイントを意識して撮影しています」

配られたプリントの裏には、かわいい一茶くんとマルちゃんの写真が♪ この写真をもらえただけで嬉しくなっちゃいますよね。撮影:ジョンソン祥子さん。レンズ:SIGMA 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM(F5.6、ISO3200、露出補正値+1EV)。

ジョンソン祥子さんが愛用しているSIGMA 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM。ズーム全域でF2.8で広角17mmをカバーする明るい標準ズームレンズ。コンパクトなサイズと手ぶれ補正が付いているので、手持ちで撮影を楽しみたい人にオススメです。

ジョンソン祥子さんが写真を撮るときに意識する3つのポイント

1)「光」に気を配ろう
私は光を一番大切にしています。撮影するときは自然光を選び、部屋の電気は消します。それで暗くてぶれて撮れないならその日はもう写真は撮りません。それだけ光には気を使っています。

私が好きな光は、ベッドルームの夕方3時〜5時の光。ちょうど部屋に西日が射し込んできて光がとてもきれいなんです。その時間に撮影することがとても多いです。陽が傾きすぎて直射日光が入るときは、カーテンを引いて光を和らげます。一茶とマルをベッドの上に置くとシーツがレフ板代わりになり、すごくやわらかい光で撮れるんです。

自分の家の光を観察し、お気に入りの光を見つけられるときれいな写真が撮りやすくなりますよ。

撮影会の後、1階のカフェでプロジェクターでジョンソン祥子さんの作品を見せていただきながら、撮影の復習をしました。この写真は西日が直接入り、陰影が強くなってしまった写真の例。
カーテンを引いて光を和らげた写真。「Maru in Michigan」ワールドの光です。

2)「アングル」が写真を決める!
基本は一茶やマルの目線のアングルに合わせて撮影しています。私の写真はふたりがベッドの上にいる写真が多いのですが、ベッドの上に乗せるとちょうどふたりの目線と同じくらいの高さになるんです。ベッド以外で撮影するときは、私が寝ころんだり四つんばいになりながら撮影しているので、周りから見たらすごく変な人だと思います(笑)。よい写真を撮るためなら、恥ずかしがってはいられませんね。

またアングルを変えると、背景が変わります。後ほど背景の大切さをお伝えしますが、背景に邪魔なものが写り込んでしまうときは自分が動いて写らない位置から撮影します。上から撮れば床を背景にできますし、下から撮れば空などが背景にきます。できるだけシンプルな背景になるアングルを探し撮影しています。

マルちゃんを上からのアングルで撮り、背景をシンプルな床にして撮影した例。

3)「背景」って意外と大切
私はストーリーが感じられる写真を意識して撮影していて、背景はストーリーの一部なので実は主題の一茶とマルと同じくらい意識して撮影しています。できるだけ、ふたりのストーリーに邪魔なものは入らないように。ブログに見せていないだけで「Maru in Michigan」も、写真に写っていない所は生活感のある洗濯物とか日用品が置いてあったりするんですよ(笑)。余計な情報が入ると、自分の伝えたいことが伝わりません。主題を邪魔しない背景を選び、よい背景でない場所は光と同じで撮らないですね。

ジョンソン祥子さんから3つのポイントを教わり、ココちゃんと貯蔵くんの性格を飼い主さんから教えてもらい、いよいよ撮影タイムの始まりです。

ジョンソン祥子さんは参加者をまわり、より細かい撮影の質問について答えていました。

――ワンちゃんの目線はどうやってもらいますか?

「マルはおやつです。おやつ片手にカメラを持って、こっちに気を向けるため名前を呼びかけ、マルから視線をもらうのにかなり必死に撮影しています。人には見せられません(笑)」

「自分の家の飼い犬なら、動きを予測して撮影します。だいたい犬の動きは3パターンくらい(笑)。あくびをする写真を撮りたいなら、ごはんの後は眠たくなるのが分かっているのでカメラをセッティングしてからごはんをあげます。お気に入りのぬいぐるみをくわえている写真を撮りたいときは、くわえやすいシチュエーションを作って待ちます」

――詳しいカメラの設定を教えてください。

「私は一眼レフとスマホと両方で撮影しています。一眼レフは、絞り優先モードでできるだけ小さなF値で撮影しています。あと、写真は自分気持ちを伝える手段なので、自分が明るい気持ちになったことを伝えたいので露出補正を使って明るめに撮影しています。私の撮りたいイメージを作る上で、写真の明るさを変えることは必須ですね。ホワイトバランスはオートです」

「スマホはいつも持ち歩けるカメラなので、はっ!とした瞬間に撮れるのがいいですね。一眼レフを用意する間にシャッターチャンスを逃がしてしまうときもあります。1枚1枚じっくりこだわって自分の気持ちを込めて撮った一眼レフの写真と、“撮りたい”と思った瞬間にスマホでしか撮れない写真は質が違うと思います。どちらのよさも理解して使い分けています」

「レンズはSIGMAの17-50mm F2.8 EX DC OS HSMを使っています。単焦点レンズは大きなボケが魅力ですが、“もっと引きたい”“もっと寄りたい”というときに写真の世界が広げにくく、咄嗟のシャッターチャンスになかなか対応するのが難しいんです。なので私はこのレンズをずっと愛用していて、今使っているレンズは3本目です」

――なかなか思ったようなきれいな写真が撮れません。

「イメージがないとどう撮ればいいか分からないので難しいです。被写体のストーリーを考えてあげると、頭の中にイメージが湧きやすくなり、そのイメージに合わせて“もっとぼかそう”“明るくしよう”とか撮り方が分かってくると思います。あと、みなさん1枚できれいな写真を撮ろうとしすぎだと思います。デジタルは何枚も撮れるので、自分が納得するまでたくさん撮り続けていいと思います。大切に撮ったたくさんの写真の中からベストな1枚を選べばいいのです」

「あと写真は必ず撮影後に加工しています。余計なものが写り込んでいたらトリミングしたり、暗かったら自分がイメージする明るさに変えたり。自分が伝えたいことを伝えるために、写真の見せ方にもすごく気を使っています。よくブログに何十枚も写真を載せる人がいますが、写真が多すぎると見る人も疲れてしまい印象に残りづらくなりますよね。私は1つの記事に多くて5枚、だいたい3〜4枚で完結するようにしています」

ココちゃん。ミグノンで保護された柴犬のおばあちゃんワンコ(推定14歳)。年を取ったからというだけの理由で、元飼い主が保健所に持ってきたそうです。ココという名前は「頑固な性格で、“ここ”と決めたら動かないから」とのこと。

貯蔵くん。ミグノンで保護された柴犬のおじちゃんワンコ(推定9歳)。野良生活をしているところを保健所に収容。愛嬌がよいため、約1年間保健所に貯蔵されていたことから保健所の職員に「貯蔵(ちょぞう)先輩」と呼ばれかわいがられていたそうです。

まずはジョンソン祥子さんがココちゃんで、普段マルちゃんを撮影している様子を見せてくれました。会場は自然光が入り撮影にピッタリ。白い壁が背景になる位置から撮影しています。カメラは、EOS 600D。EOS Kiss X5の欧州名称です。

希望者にはSIGMAの交換レンズの貸出も行われました。ココちゃん、貯蔵くんは飼い主さんが近くにいるので安心して、かわいい笑顔を見せてくれました。

撮影が終わると1階のカフェに移動して、プロジェクターでジョンソン祥子さんの作品を見ながら普段どのように撮っているか撮影裏話を教えていただきました。みなさん熱心にメモを取りながら聞いていました。

参加者の方に感想を伺いました。

「お話がとても面白く、大好きな一茶くんとマルちゃんの世界をより身近に感じられて楽しいひとときでした。祥子さんのブログは大好きで、いつも癒されています。お会いできて本当に嬉しかったです」

「よく自分の家の犬を撮っているのですが、なかなか祥子さんのように素敵に撮れなくて。普段ブログでは知ることができないこともていねいに教えていただき、すごく勉強になりました。今度の撮影に活かしてかわいい写真を撮れたらと思います」

参加者の作品も何名か発表し、ジョンソン祥子さんに講評してもらいました。参加者の作品は特別サイトで見ることができます。

最後にジョンソン祥子さんから挨拶がありました。

「本日はご参加いただき、本当にありがとうございました。今回のイベントは、チケット代を一部運営費を除いて、動物保護団体ミグノンに寄付されます。写真を通じて、ワンちゃんを助けることのお役立てできる機会をいただけたことは感謝しています。人は自分が持っているものがあれば、人に伝え役立ててもらわなければと思っています。これからもカメラを通じて、みなさんとつながり、お役立てできることがあれば嬉しいです」

その後、著書の販売とサイン会が行われました。サイン会には長蛇の列。ファンの方は嬉しそうにジョンソン祥子さんと握手をしてことばを交わすのが印象的でした。

ジョンソン祥子さんは、やさしい雰囲気でブログの素敵な写真や文章そのままの方でした。「大切な家族のかけがえのない、愛おしい時間を写真に綴じこめておきたい”ということがイベントのお話ですごく伝わってきました。

私も「Maru in Michigan」のファンだったので、一茶くんとマルちゃんの世界の裏話を聞けてとても楽しかったです。ペットも飼っているので、今回教わったポイントを参考に素敵な写真にチャレンジしてみたいと思いました。

撮影会後、1階のカフェでジョンソン祥子さんの作品を見ながら、より詳しいレクチャーを受けました。

ジョンソン祥子さんが撮影した貯蔵くん。「最初は目線ありの笑顔写真を狙っていたのですが、写真を通じてたくさんの方とつながれたことが嬉しかったので、予定を変更して、貯蔵くんとたくさんの方が集まった素敵な空間を意識して撮りました」と、ジョンソン祥子さん。

イベント終了後にジョンソン祥子さんの写真集の販売も。右から『ことばはいらない』『ぼくのともだち』『いつもとなりに』。累計10万部を突破した人気シリーズです。

サインタイムでは長い列ができました。

私も「Maru in Michigan」は、ファンだったのでサインをいただいちゃいました。一茶くんとマルちゃんのかわいいイラスト入りです。ジョンソン祥子さん、ありがとうございました!

(2015/9/4)
加藤マキ子(ツナ☆カメラ)
1981年生まれ。写真編集者。カメラ書籍を手掛ける編集プロダクションで女性向けのカメラ雑誌や書籍を多数手掛ける。その後、実用書系編集プロダクションを経て、2013年に独立。『光と色の写真の教科書 〜ふんわりフォトもこっくりフォトも思いのまま〜』『まりこ先生が教える やさしい写真の教室』などの企画・編集を担当。ときに、撮影や執筆も手掛けることも。仕事が好きで、マグロのように止まらず常に全力疾走中!