ママたちの間で話題! 赤ちゃんの寝姿をアートする「ねぞうアート」

撮り方セミナーに参加してきました

今、ママたちの間で大ブームになっている「ねぞうアート」の生みの親ともいえる漫画家の小出真朱さんの写真展が、5月3日から16日までFUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)で開催されました。今回は、その期間中に開催されたねぞうアートの撮り方セミナーをレポートしたいと思います。

「ねぞうアート」のブームの火付け役となった漫画家の小出真朱さん

ねぞうアートとは、赤ちゃんの寝相を身近な小物を使ってデコレーションしたおもしろ写真のことで、愛らしい赤ちゃんの寝姿とそれを活かして作られた世界観が話題となっています。コンテストが開催されたり、専用のSNSサイトが開かれたりもしています。

今回の写真展のもととなった「ねぞうアートの本」(ぶんか社)の著者・小出さんがねぞうアートを始めたきっかけは、携帯電話の写メールでした。バーテンダーという仕事柄、帰宅が遅いパパに、小出さんは毎晩、写メールで子供の様子を報告していました。いつも同じような寝姿の写メールに、何か楽しい工夫ができないか? と考えていた時、友人が、海外アーティストが赤ちゃんの寝姿をデコレーションした、アート写真の紹介記事を教えてくれたそうです。

「かわいくて美しくて楽しい、愛情あふれる写真でした。私には美しいアートは無理そうだけど、楽しさのエッセンスと子供への愛情は、ぜひマネさせていただきたい、と思いました」と、小出さんも愛娘の寝相を身近なものでデコレーション。ギャグ漫画家でもある小出さんは「寝相のポーズそのものが、ほかのしぐさに見えたら楽しいかも」と、大喜利的な発想で背景を作っていったそうです。

できあがった写真を、サプライズで突然パパへ写メールで送ったところ、大好評! その後、夫婦間で『イタズラ写真』と呼んで、定番の楽しみになったのだとか。そんななか迎えた、お子さんの1歳の誕生日。パパがお店のお客様向けに使用していたTwitter上に、1歳の記念報告にと『イタズラ写真』群をアップ。これが思わぬ大きな反響を呼ぶこととなり、現在の大ブームへとつながったそうです。

小出さんがねぞうアートを作る上で大切にしているのは「安眠のジャマをしない」「世界観はハッピーに」「赤ちゃんが寝返りを打ったら潔くあきらめる」の3つだそう。

今回開催された撮り方セミナーでは、小出真朱さんから直接ねぞうアートのコツを教わることができ、その場でご自分の赤ちゃんのねぞうアートの写真を撮れるということで、セミナー会場はカメラを手にしたママ・パパと元気いっぱいの赤ちゃんで大賑わいでした。

セミナーの受講時間は約1時間で、そのなかで2つのねぞうアートを小出真朱さんが作り、参加者のみなさんの赤ちゃんを寝かせて撮影するという流れでした。

まずは1点目のねぞうアート『ヨット』を制作。

小出さんの作品『ヨット』。(©小出真朱/ぶんか社) まるで全体重を掛けてがんばって操縦しているような動きのある作品。まずはこれを再現します。

小出さんはエアーマットの上にバスタオルを敷いた下地とも言えるキャンパスの上に、ねじったティッシュでカモメを、スカーフのシワを利用して風になびくヨットの帆を器用に描いていきます。

波の部分をタオルケットのシワで制作中。参加者のみなさんは制作の過程を写真やムービーで真剣に記録していました。

ねぞうアートは赤ちゃんの寝姿に合わせて作るもの。構図は力や風の向きなどを考えて、例えばこの『ヨット』では棒を斜めにして突っ張った感じを出したり、スカーフのなびく方向を考えたりすると動きが出て、よりおもしろい写真になるそうです。寝ている赤ちゃんはもちろん動かないので、それをいかに動きのある絵にデコレーションするかがポイントなのだとか。

2点目の作品は『でっかいごちそう』です。

小出さんの作品『でっかいごちそう』。(©小出真朱/ぶんか社) 大きなカキ氷が印象的な、夢のある夏らしい作品。

上の作品ではカキ氷の氷の部分をレースのブラウスで作っていますが、今回はどこの家庭にもあるような半透明のポリ袋を材料として使っています。この作品のような大きな食べ物は、一人でも大人数で作っても楽しめるそうなので、休日にパパと一緒に作ったり、ママ友とのランチ会を子供のお昼寝の時間に合わせてみんなで作っても楽しそうですね。

『でっかいごちそう』の背景はピンクのシーツでかわいらしい! どんな小物をどういう意図で使うかを丁寧に解説してもらえるので、とてもわかりやすいセミナーでした
ねぞうアートに使用するのはバスタオルやスプーン、靴下、ビニール袋など一般の家庭にあるありふれたものばかり。それらを並べて創意工夫するのが、また楽しくもあるのです!

2つの作品が仕上がったところで撮影会です! みなさん、作品のなかにそっと赤ちゃんを参加させて、我が子の愛らしい傑作を持参したカメラに納めようと大盛り上がりでした。

開催日が土曜日ということもあってパパも一緒に参加されたご家族も多く、ご夫婦でデコレーション役と撮影役を分担して協力体制で撮影に取り組まれていました。

セミナーが土曜日の開催だったのでパパの姿も多く見られました。こちらのご家族はママがデコレーション役、パパがカメラマン役として愛らしい写真をいっぱい撮られていました
ママが脚立に乗ってカメラを構えてスタンバイ、パパは赤ちゃんにスプーンを持たせようと大奮闘! 協力して撮れた写真はきっと大切な想い出になるでしょう
こちらのご家族はお姉ちゃんが弟君の目線をカメラに向けようと声をかけたり踊ったりと大活躍していました!

このイベントの主役はなんといっても赤ちゃんですが、ベッドの上に寝かされても泣き出す赤ちゃんは意外なほど少なく、本当にすやすやと寝だしちゃう赤ちゃんもいたくらいです(笑)。

セミナーが始まると赤ちゃんがぐずらないか不安だった参加者のみなさんも、撮影会ではすっかり緊張がほぐれて、赤ちゃんに話しかけながらシャッターを切りまくっていました。

制作の過程が想像できなくてねぞうアートにチャレンジしたいと思いながら躊躇していた方も、実際に小出さんが家庭にある小物を使って制作する姿を見て納得。自宅でも撮ってみたいとお友達とお話をしながら会場を後にする、ママさん達の楽しげな姿が印象的でした。

今回の写真展のもととなった「ねぞうアートの本 寝ている間にHAPPY赤ちゃん写真」(ぶんか社)は、小出さんが制作したねぞうアートが90作品も収録されています。それにまつわる逸話や作り方のコツなども紹介されており、読み物としても楽しい本になっています。

また、3月に発売された『こんなにかんたん! ねぞうアートの本』(ぶんか社)は“大の字”、“うつぶせ”“横向き”など、ねぞうスタイル別のアートの作り方が載っているので、ねぞうアート初心者さんにオススメです! 今回のセミナーに参加できなかったママ&パパも、この本を参考に愛らしい傑作を作ってみてはいかがでしょうか。

(2013/5/24)
(みさき なな)東京都出身。知り合いの写真家の作品撮りにモデルとして関わったことがきっかけで写真に興味が沸き独学で写真の勉強をし、作品を持ち込んだ出版社に編集として入社。2010年独立。現在はカメラ雑誌の編集やWebでのカメラレビュー、写真講座の講師として活動中。「Pentax+」でも記事を連載。 Twitter:@cosaruruブログ:http://misakinana.com