トピック

時にはフィルターを"自作”してみる/角型フィルターを使って不思議な効果の写真を

安念余志子氏によるセミナー「桜の写真をランクアップ!プロ写真家が伝授するフィルターテクニック」より

安念余志子氏がセミナーで披露した自作ビネッター

インプレスが3月16日(土)に開催したセミナーイベント「インプレス桜フォト祭り2024」では、フィルターメーカーのH&Yがセミナーおよびブースを展開していた。

ブースでは角型システムKシリーズのGND(グラデーションND)フィルターをはじめ、フィルターホルダー、可変式ステップリング「REVORING」のほか書籍の割引販売も実施。3月から新しく取扱いを始めたSMDVブランドとコラボしたソフトボックス「Speedbox-Flip G」も展示していた。

また、会場ではH&Y製品を用いた写真作品を展示した「H&Yフィルターで描く 極上の風景写真展」を実施していた。CPLフィルター、GNDフィルターなどの実使用例を見ることができた。

この写真展は全国のソニーストアを巡回しており、直近では3月30日(土)~4月18日(木)までソニーストア名古屋で開催予定となっている。

各種製品を割引販売。人気を博していた
KシリーズのGNDフィルター
H&Yが3月から取扱いを始めた「Speedbox-Flip G Softbox」。SMDVブランドとのダブルネームにより低価格での提供を実現
H&Yフィルターを用いた作品が並ぶ写真展
2月21日(木)発売「Cinematic CPLフィルター」の監修に携わった関一也氏も作品展示で参加

イベント内で行われた風景写真家・安念余志子氏のセミナーでは、「桜の写真をランクアップ!プロ写真家が伝授するフィルターテクニック」と題して、フィルター効果の比較や作例の紹介、桜撮影のテクニックを紹介していた。

例えばフィルター使用/非使用の写真を提示し、それぞれの効果を解説。White Promist、CPL、NDなどを使った作例を紹介した。

「NDフィルターを使うときは、撮ろうと思っている場所のどこに動きがあるかをよく観察してみましょう。画面の中で動いているところと止まっているところが混在していると、面白い写真になります。使いどころが少しむずかしいのですが、センターGNDを使うと、画面の中で帯状に明るさを落とせるので、狙いがはっきりしている場合はとても便利です」

セミナーの様子
安念氏は富士フイルムのラージフォーマットデジタルカメラ「GFX」シリーズを愛用。レンズにはKシリーズフィルターのホルダーを装着している
White Promist使用時。コントラストを抑えた柔らかい表現になっている(撮影:安念余志子氏)
フィルター未使用(撮影:安念余志子氏)
CPLフィルター+ND64の例。メインとなる枝を浮かび上がらせつつ、背景の花筏を流している(撮影:安念余志子氏)
PLフィルターのみ(撮影:安念余志子氏)
センターGNDを使って夕日と稜線部分の明るさだけを落とした例(撮影:安念余志子氏)

また、エアクッション(いわゆるプチプチ)を使った「自作ビネッター」も紹介。これを重ねて画面周辺に強いソフト効果をかけた作例を出し、セミナー会場を驚かせた。

自作ビネッターは角型フィルターシステムの「クイックリリース・マグネティックフィルターフレーム」に、エアクッションの中央を丸く切り抜いて貼り付けた簡易なものだ。

「フレームにプチプチを貼り付けることでビネット効果が得られます。同じものを複数重ねることで効果を強めることもできますよ。手作りでこういった一工夫ができるのもフィルターの面白いところです」

フレームにエアクッションなどを貼り付けた自作ビネッターを披露
取り出す時などにわかりやすいよう、ケースにラベルをつけている
White Promistと自作ビネッターを適用した例。画面周辺に強いソフト効果がかかっている(撮影:安念余志子氏)
White Promistのみ使用(撮影:安念余志子氏)

このほか、フィルターを使ったポートレートの作例を紹介。ここでは「Blackmist」や「White Promist」を使用している。

Black Mistを使った作例(撮影:安念余志子氏)
White Promist(1/4)と自作ビネッターを用いたポートレート(撮影:安念余志子氏)

桜の撮影テクニックとしては「桜そのものよりも、背景がどのような色になるかに気を配る」ことがポイントだと話し、青空を背景に、桜吹雪が舞い上がる写真を紹介した。この作品では、PLフィルターを用いることで空の青さと花の色を強調している。

PLフィルターで青空を花の色を強調(撮影:安念余志子)

「時にはいつもと違った視点も面白い」という。地面に寝転がって曇り空を白1色の背景として使ってみる、水たまりの水面に写った桜に目を向けてみるなどの例を挙げた。

このほか「春の四重奏」として知られる富山県舟川の例を挙げ、開花予想の情報を取る重要性にも言及している。

曇天でも諦めずに、視点を変えることでも撮れる作品があるという(撮影:安念余志子)
桜のシーズン、人通りが多い場所でもできることがある。水たまりに写った河津桜(撮影:安念余志子)
撮影地の情報集めをしっかり行なうことで「空振り」を防ぐ(撮影:安念余志子)
セミナー後、K&Yブースにフィルターの説明を聞く参加者がつめかけた
関根慎一