トピック

鉄道写真の一瞬をモノにする“次世代カード”──CFexpress Type Bは4.0でさらに高速化

高速連写時のレスポンスとデータ転送で圧倒的な優位性

プログレードデジタル CFexpress 4.0 Type B GOLD 512GBカード

現代の高画素で高速連写性能に優れたカメラに対応しうるカードとして存在感を示すCFexpressは、さらなる高速化に加えて価格もこなれてきている。今一番“おいしい”カードの最新事情と実力を見てみよう。

これから買うならCFexpress 4.0一択

これまでのカメラのメモリーカードは、形状が小さく転送速度も速いSDが世の中に広く普及してきた。しかし、5,000万画素が珍しくないほどカメラが高画素化することに加えて連写速度も速くなっており、より高速な転送速度が求められている。

それをかなえるカードとして最近ではCFexpressがトレンドとなりつつある。以前は価格が高かったが、最近ではSDと同等、もしくは安価な製品が出始めており、ずいぶん身近な存在になってきた。そのCFexpressも2.0から4.0へと進化を重ね、さらなる高速化を果たしている。

最大の特徴は、何といっても圧倒的な転送速度の速さ。例えば、プログレードデジタルのCFexpress 4.0 Type B GOLDカードの場合、読出速度は最大3,400MB/秒で書込速度は最大3,000MB/秒と、同等のSDXC UHS-II V60 GOLDに比べて10数倍の速さを実現している。

ただ、2024年2月現在ではCFexpress 4.0に対応しているカメラは発売されていないため、撮影時はCFexpress 2.0としての動作となるが互換性は担保されている。近いうちに4.0対応機が発売されることも予想され、今後ますます期待が高まるカードである。

SDよりCFexpressの方が安いこともある

CFexpressとSDの読出速度と書込速度の差は歴然。512GBであればCFexpress 2.0と4.0の価格差は数千円程度で、SDより安い。これから買うなら4.0一択だろう

CFexpress Type B対応カメラならOK

CFexpress Type Bカードが使えるカメラであれば互換性があり、そのまま4.0カードを使用できる。ただし、性能は2.0カード相当となる。

Thunderbolt 4で最大パフォーマンスに

CFexpress 4.0の高速転送性能をフルに生かすには、対応カードリーダーとともにThunderbolt 4対応のUSB Type-C搭載のPCが必要。

CFexpressカードをより快適に使うための作法

カメラの電源を切ってから抜く

カメラからカードを取り出す際は、カメラの電源をオフにしておこう。カードへのデータ書き込みは終了処理をもって完了となるが、カメラの電源をオフにすることでその処理が確実に行われる。

物理フォーマットを行う

カードの初期化には簡易フォーマットと物理フォーマットの2種類があり、後者はカードに残るメモリーを完全に消去して本来の性能を引き出せる。カメラ内で物理フォーマットができる機種もある。

信頼できるカードリーダーを使う

カードリーダーは内蔵するコントローラーでデータ転送を制御する重要な役割を担うため、品質の良いものを使いたい。カードの相性を考慮すると、同じメーカーのリーダーを選んでおくのがおすすめだ。

カードの差しっ放しはNG

カードに記録されたデータをPCに転送する作業が完了したら、速やかにカードリーダーから取り出すくせをつけよう。差しっ放しにしておくとカードが熱くなり、電気をむだに消費してしまうこともある。

【TEST 01】高速連写はCFexpressの方が長く撮影できる

今回はプログレードデジタル CFexpress 4.0 Type B GOLD 512GBと同SDXC UHS-II V60 GOLD 512GBを使用して、新幹線のテスト撮影を行った。

まず驚いたのは、CFexpressの連続撮影時間である。条件によって異なるが、バッファがいっぱいになってシャッターが切れなくなるまで、およそ6~7秒も撮影できた。そのため多少早めにシャッターボタンを押し始めても、ベストな位置で新幹線を撮影できている。一方のSDは4秒程度の連続撮影時間だったため、新幹線をアップで引きつける前にシャッターが切れなくなってしまった。

ただし、最も大きな違いを感じたのはバッファフルになったあと、次に撮影できるまでの待ち時間である。CFexpressはほんの数秒で回復したが、SDは20秒程度を要していたので、次の撮影開始までかなりストレスを感じてしまった。高速連写をするならCFexpressが断然、快適かつシャッターチャンスに強いと言える。鉄道写真撮影では特に失敗できない貴重なシーンで、心強い味方になってくれるだろう。

上の写真はEOS R3の電子シャッターで高速連写を行い、20枚ごとに1枚をピックアップしたもの。CFexpressの方が長く撮影できる分、新幹線をより引きつけて撮影できている
EOS R3/EF600mm F4L IS III USM+EXTENDER EF2×III/1,200mm/マニュアル露出(F8、1/1,250秒)/ISO 400/WB:日陰

【TEST 02】約20GBのデータをわずか9秒程度でコピーできる

CFexpress 4.0の高速転送性能は、カードからPCへのコピーに関してはすでにその恩恵に預かれる。その体感速度を検証してみよう。

EOS R3で物理フォーマットを行った3種類のメモリーカードにRAW+JPEG(L)の500カット(1,000ファイル/約19.9GB)をコピー。CFexpress 4.0カードはUSB 4.0カードリーダーを、CFexpress 2.0カードはUSB 4.0とUSB 3.2 Gen2の2種類、SDXC UHS-IIカードはUSB 3.2 Gen2カードリーダーを使用した。PCはThunderbolt 4のUSB Type-C端子を搭載するMacBook Pro 2022年モデルを使用。カードからSSDにデータをコピーし、その転送時間を3回ずつ計測して平均値を求めた。

その結果は歴然で、20GBほどのデータをSDXC UHS-IIカードで1分21秒かかるデータ転送が、CFexpress 4.0なら9秒強で完了できた。CFexpress 4.0は高画素化と高速連写性能の向上が著しい現代のカメラにも対応できる、次世代を見据えたメモリーカードと言えよう。

プログレードデジタル純正のカードリーダーを介して、メモリーカードのデータをPCのSSDにコピー。転送時間を3回計測してその平均値を求めた(写真はイメージ)
CFexpress 4.0の高速転送性能を最大化
プログレードデジタル USB4シングルスロットカードリーダー(実勢価格:16,000円前後)
最新のCFexpress 4.0に対応し、最大40Gbps(5GB/秒)の転送速度を誇る。USB-IF認証USB4ケーブルが付属する。

メモリーカードからPCへのデータ転送時間の比較

※1USB4シングルスロットカードリーダーを使用
※2 USB 3.2 Gen2ダブルスロットカードリーダーを使用

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山崎友也