トピック

多彩なアングルでの撮影を可能にするフレキシブル三脚

K&F CONCEPT「T254A7-BH-28L」

T254A7-BH-28L
実勢価格:1万3,000円(税込)
●SPECIFICATION
全伸長:2,300mm
最低高:605mm
収納高:540mm
段数:4段
最大脚径:25mm
耐荷重:10kg
質量:2,022g

最近は手ブレ補正効果や高感度の画質改善により手持ちで撮影できるシーンが増えてきた。だが確実性を求めるのであれば、いまだ三脚にアドバンテージがある。

三脚を使った撮影はアングルやポジションに制約が出ることが多いが、K&F CONCEPTのT254A7はセンターポールが垂直方向に120°、水平方向に360°の調整が可能なので自由な位置にカメラを固定できる。脚もそれぞれ大きく開くので三脚そのものの設置の自由度はかなり高い。

三脚で一番ネックなのは持ち運ぶときのサイズ感だが、折りたたむと54cmとコンパクトにまとまる一方で全伸長230cmまで伸ばせるのでハイアングル撮影にも対応できるのがうれしい。

三脚を実際に使用し、安定性も高く、今回はOM-1のハイレゾショットやライブNDを使用したスローシャッターをメインに撮影を行った。特にハイレゾショットは少しのブレも許されないシビアな撮影となるため、三脚の性能がクオリティーに直結する。

ネイチャーシーンでは平らな足場が少ないので三脚の設置が大変だが、T254A7の自由度の高さのおかげでまったく苦にならなかった。風景撮影では三脚は基本だが、T254A7を使うことでよりアクティブに攻めることができ、新しい写真表現に挑戦できる。

※本企画は『デジタルカメラマガジン2024年2月号』より転載・加筆したものです。

ここに注目!

1.センターポールを抜いて真俯瞰に傾けられる

センターポールを上に伸ばしていくと三脚から抜けて横に倒すことができる。垂直方向に120°、水平方向に360°回転する。センターポールによる前後移動は被写体に近寄れるためマクロ撮影で有効だ。

2.最大高さ230cmでハイレベル撮影も楽に行える

通常のトラベル三脚では全伸長が140〜160cmの高さが最大であることが多い。T254A7は最大で230cmまで伸びるのでフェンス越しのハイレベル撮影も簡単だ。

3.収納時は54cmになり重量も約2kgで持ち運びも容易

全伸長230cmまで伸びるにもかかわらず折りたたむことで54cmまでコンパクトになる。カメラバッグのサイドポケットにも収まるサイズ。体力勝負の風景撮影でも気軽に持ち運べるサイズと重さだ。

4.三脚の脚は180°開脚でマクロや水平の撮影も可能

脚が大きく開くことで三脚の設置が難しい場所でも対応できる。脚を開くことで三脚の安定感も向上する。俯瞰撮影でも威力を発揮し、足元の被写体を撮影するのも容易だ。

5.脚を取り外して一脚にもできる

脚の1つが取り外し可能で、取り外した後は一脚として使用できる。三脚を使用できないシーンでの一脚の使用や登山や風景撮影の移動時にステッキとして使用するのも良いだろう。

自在に動くセンターポールでアングルの制限がなくハイレゾショットが撮れる

OMDS OM SYSTEM OM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO/31mm(62mm相当)/マニュアル露出(F4、1/160秒)/ISO 200/WB:5,300K

この写真では木々の細かなディテールを再現するためハイレゾショットを使って撮影を行ったが、理想の構図を狙うには木の隙間から撮影する必要があった。ちょうど良いポジションは手すりの奥側となるので通常の三脚では設置が難しい。

T254A7はセンターポールを垂直方向に120°回転して伸ばせるため、理想の位置にカメラを設置できる。T254A7は三脚の開閉幅も広く、足場が狭くても工夫することでさまざまな場所で三脚を使用できるので便利だ。

脚の1つを120°に開脚、センターポールを手すりに乗せてカメラを固定

センターポールを伸ばして渓流と落ち葉を真俯瞰から狙う

OMDS OM SYSTEM OM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO/150mm(300mm相当)/マニュアル露出(F8、10秒)/ISO 200/WB:4,000K

橋から撮影したが、通常の三脚では真俯瞰での撮影が不可能なシチュエーション。橋の上からセンターポールを伸ばして紅葉の真上にカメラをセット。カメラのライブND機能を使ってシャッター速度を10秒に設定。不安定な状況にもかかわらず35mm判換算300mm相当でのスローシャッターでもまったくブレのない写真を撮影できた。渓流と落葉した紅葉の静と動の対比が表現できた。

センターポールを橋から伸ばして真俯瞰から川の流れを狙った

三脚の目盛を使ってパノラマ撮影を楽しめる

OMDS OM SYSTEM OM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO/12mm(24mm相当)/マニュアル露出(F5.6、1/20秒)/ISO 200/WB:5,300K/19枚を合成

T254A7の雲台には角度が数値で刻まれているのでパノラマ素材を等間隔で撮影できる。この数値に合わせて超広角レンズを使っても画角に入らないシーンをパノラマで撮影した。パノラマの精度を上げるには撮影間隔を細かく刻むことと、可能な限り等間隔での撮影が理想だ。複雑なシーンだがT254A7のパン機能のおかげで驚くほど正確なパノラマ画像が得られた。水準器で水平にパンができることを確認することが成功のコツだ。

カメラや雲台の水準器で水平を確認して雲台の目盛を使ってパンをしていく
木村琢磨

はち株式会社代表取締役。岡山県在住のフリーランスフォト&ビデオグラファー。広告写真スタジオに12年勤務したのち独立。主に広告写真(風景・料理・建築・ポートレートなど)を撮影。ライフワーク・作家活動として岡山の風景を撮影。12mのロング一脚Bi Rodやドローンを使った空撮も手がける。