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Vlogを始めるとき使ってほしいメモリーカードとは?1TBに強化された「SanDisk Extreme PRO SD UHS-II」で解説!

「SanDisk Extreme PRO SD UHS-II」に追加された新製品。容量が強化された

昨今は動画で日常を記録する「Vlog」が流行している。Vlogとは日々の生活や旅行などを映えるように撮影したもので、YouTubeでも数多く公開されている。高画質で収録して編集にこだわった作品も多く、このところVlogに特化したカメラも各社から相次いで登場している。

すでにVlogを始めている人や「そろそろVlogに挑戦したい」という人も多いと思うが、ぜひ知っておいてほしいのがメモリーカードについてだ。動画撮影ではメモリーカードの書き込みスピードが遅いと録画が停止することもあり、高速で大容量の信頼できるメモリーカードを使うことが大前提となっている。

SanDisk Extreme PROに新ラインナップが登場

そんな折り、ウエスタンデジタルのSDメモリーカード「SanDisk Extreme PRO SD UHS-II」に新ラインナップが追加された。

このシリーズは従来「ビデオスピードクラス90(V90)」だったところに「ビデオスピードクラス60(V60)」を追加して、容量をアップ。これまで無かった容量512GBと1TBが追加された。併せて価格も下がり、かなり求めやすくなっている。

新たに追加された512GB版と1TB版 ※サンプルカードのため、実際の製品とデザインが異なる場合があります
既存の「Extreme PRO SD UHS-II」(V90)との違い

容量
新製品:64GB/128GB/256GB/512GB/1TB ※512GB/1TBは今夏以降販売開始予定
既存製品:32GB/64GB/128GB/256GB

対応スピードクラス
新製品:ビデオスピードクラス60、UHSスピードクラス3、CLASS10
既存製品:ビデオスピードクラス90、UHSスピードクラス3、CLASS10

最大転送速度
新製品:読み出し280MB/秒、書き込み150MB/秒(64/128GBは100MB/秒)
既存製品:読み出し300MB/秒、書き込み260MB/秒

「SanDisk」といえば、メモリーカードのブランドとしてはカメラ愛好家の間ではトップクラスの知名度があり、かねてよりプロ御用達のイメージをお持ちの方も多いと思う。少々高級品のイメージがあるが、今回価格が下がったことでかなり買いやすくなったのもオススメポイントだ。

これからの動画撮影には「V60」がオススメ

先にも述べたように動画撮影では書込速度が大切だ。この目安になるのが「ビデオスピードクラス」で、最低保証速度を表している。V6/V10/V30/V60/V90の5種類があり、V90なら最低書込速度が90MB/sという具合に数字がスピードを表している。

SDメモリーカードを選ぶ際には「V60」といったビデオスピードクラスにも注目したい

このうち、現在主に流通しているのはV30/V60/V90の3種類だ。大まかな対応フォーマットとしては、SDアソシエーションによるとV30がフルHD~4K、V60が4K~8K、V90が8Kとなっている。実際には解像度のほかにフレームレートや記録形式によって必要な速度は変わるので、使いたいカメラがどのスピードを必要とするのかを確認しておくことが重要だ。

今回使ったソニー「α7 III」の場合、最高画質となるXAVC S 4K/30p/100MBではV30以上のカードで記録可能だ。実際、「SanDisk Extreme PRO SD UHS-II」(1TB)を入れて最高画質で録画してみたが、カメラの制限である30分まで止まることなく撮影できた。

今回テストに試用したソニー「α7 III」

ただし、最新のソニー「VLOGCAM ZV-E1」のように同じ4Kでもフレームレートが増えるハイスピード撮影(スロー&クイックモーション撮影モード)ではV60が必要となる。4Kの高い画質による滑らかなスローモーションはVlogとも相性が良く、こうした使い方も視野に入れるとV60のSDメモリーカードを選ぶのが無難と言えそうだ。

ちなみにV90だが、こちらは8K記録や4K記録でもイントラ記録をしない限り、動画ではオーバースペックと言えそうだ。イントラ記録とはソニーであればXAVC S-I 4Kなど、圧縮率を下げて画質を優先したモードのこと。ただ、これは容量がかなり大きくなってしまいVlogレベルでは扱いづらい。敢えて選ぶ必要性は低いモードといえる。

大容量カードで旅の記録も1枚に

一方、容量についても考慮しておきたい。「ZV-E1」の場合だが、XAVC S 4Kの60pを最高ビットレートの200Mモードで記録すると、128GBのカードで1時間10分撮れる。ビットレートを下げれば記録時間は増えるが、編集時(特にカラーグレーディング)における破綻を少なくするためにできるだけ高いビットレートで撮影しておきたいところだ。

このフォーマットだと512GBカードなら4時間40分、1TBカードなら9時間20分と数泊する旅行でも余裕のある撮影時間を確保できる。当然一緒に写真も撮ると思うので、その分も合わせると今回の容量アップは福音だ。

加えて、小容量のカードをたくさん使うよりも大容量のカード1枚にした方が、PCへの転送時にカードの差し替えが無いのでその場を離れていても一気に転送ができるといった利点もある。

タフネス性能も充実

「SanDisk Extreme PRO SD UHS-II」の新ラインナップの詳細だが、最大読み出し速度280MB/s、最大書き込み速度150MB/s(64/128GBは100MB/s)で、スチルの連写でも書込が速い。読み出しもSDメモリーカードの中では最速に近いところなのでPCへの転送も短時間で済む。なおUHSスピードクラスは最上位の「U3」となっている。

カードの耐久性も抜かりはない。防水(IPX7)、耐温度(-25~85°C)、耐衝撃(5mからの落下試験対応)、耐X線と日常記録から海外旅行まで安心して使える。また、安心という点では無期限保証なのも製品への自信の表れとも言え心強い。

パッケージにもタフネス性能の表示が並ぶ

誤って削除した画像を復元可能というデータ復旧ソフト「レスキュープロ デラックス」の1年間利用特典がついているのも嬉しいところだ。

ベンチマークテストでは好結果に

静止画の記録速度も気になるところと思うので、どれくらいの書込ができるのかも試してみた。

本シリーズはUHS-II規格なので端子は2列になっている

「α7 III」で「RAW(圧縮)+JPEG(エクストラファイン)」を選び、約10コマ/秒の「Hi+」に設定。30秒間連写し、全ての書込終了後に記録できた枚数を確認した。容量1TBのカードを使用したところ、約130枚記録できた。バッファがフルになって速度が落ちるのは開始後約8秒のところだった。

また、RAW(圧縮)のみだとバッファがフルになるまでの時間は約8秒で、30秒間で113枚が記録できた。同様にJPEG(エクストラファイン)のみの場合は、バッファフルまで約17秒、同じく30秒間で172枚の記録が可能だった。

2,400万画素機ではあるがRAWでも8秒間、JPEGで17秒間も10コマ/秒の連写ができるので、静止画撮影でも不足の無いスピードはあると思う。この実力だと、ここぞというシーンでも安心して連写ができる。

続いてPCでのベンチマークテストを行った。こちらも1TBのカードで、「サンディスク イメージメイト プロ USB-Cマルチカードリーダー/ライター」を使用した。OSはWindows 10、接続はUSB 3.1 Gen 1となっている。

計測に使用した「サンディスク イメージメイト プロ USB-Cマルチカードリーダー/ライター」(SDDR-A631-JNGNN)

CrystalDiskMarkでの結果を見ると、読み出しはUHS-IIの転送速度の上限である約300MB/秒に近い数値となっていてPCへのファイル転送も高速に行える。

CrystalDiskMarkでの計測結果

動画記録を前提とした書込速度は、Blackmagic Disk Speed Testdeでのベンチーマークが近い数値を出しているとみられるが、きっちり100MB/s以上出ているので、製品仕様のV60を大幅に上まわるスピードを実現しているといえるだろう。

Blackmagic Disk Speed Testでの計測結果

まとめ

SanDiskブランドの中でも「Extreme PRO」といえば高性能カードの代名詞。憧れていても価格面で購入に踏み切れない人もいたと思うが、今回の新シリーズでかなり買いやすくなったのは事実。だから、今まで以上の大容量カードを選ぶというのも良さそうだ。

V90に加えて追加されたV60は、信頼性などのスペックも含めまさにExtreme PROのもの。ベンチマークテストの結果も良く、Vlog用にまずはオススメできるカードということはできる。また動画だけでなく、静止画でも存分に性能を発揮するので動画と写真を併用するユーザーにも向く。V90も継続して販売されているが、これからの1枚として新しい「SanDisk Extreme PRO SD UHS-II」を検討してみてはいかがだろうか。

制作協力:ウエスタンデジタル

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。