“商品写真の撮り方 完全ガイド”より

その2「水槽の魚」の撮り方

この連載は、MdN刊「商品写真の撮り方 完全ガイド プロがやさしく教えるブツ撮りの手引き」(著者:鈴木知子)から抜粋しています。5回にわたり様々な商品写真の撮り方を紹介しますので、どうぞお楽しみに!

商品写真の撮り方 完全ガイド プロがやさしく教えるブツ撮りの手引き(MdN刊。A5判224ページ。税別2,200円)

水槽の中で泳ぐ魚を撮る場合、水槽への映り込みとシャッタースピードの設定に気をつけましょう。水槽のライトは光量がそれほどありません。絞りとISO感度の設定で魚がぶれないように撮影します。

○良い撮影例…泳いでいる魚を撮影する場合は、一度構図を決めておき、そこへ泳いでくるのを待って撮影するようにします。タイミングよくシャッターを切りましょう。Canon EF24-105mm f/4L IS USM / シャッター速度優先オート / F4 / 1/200 秒 / ISO1600 / -0.3EV / マニュアル
×イマイチな例…水槽に映り込みができてしまいました。部屋を真っ暗にして、水槽のライトだけで撮れるのならば、映り込みの問題は解消されます
水槽の上に設置してあるライトだけで撮影しています。

Step 1 映り込みを解消するには

水槽に映り込みがあると、魚が見えづらくなり、きれいに写すことができません。まずはカメラをセッティングしたら、水槽に何が映り込んでいるかを確認しましょう。映り込んでいる対象がライトならば、可能であれば消しておきます。また映り込まない角度を探すようにします。

水槽には撮影者の姿が映り込んでしまうこともあります。そのような場合は、水槽とカメラの間に黒い布を垂らすようにしましょう。布を2枚上下に設置して、その間からレンズを出して撮影します。

ここでは円形の水槽を使って撮影をしました。平らな面の水槽以上に映り込みが気になりますが、このような水槽ならば、周りのライトを切っておけば、映り込みはなくなります
「忍者レフ」という、丸レフの中央にレンズが入れられる穴があいたアイテムもあります。水槽の撮影に限らず、窓越しの被写体を撮影するときなど、ガラス越しの撮影に活躍します

Step 2 角度によって写り方が変わる

水槽のガラスやアクリルは、水槽が大きくなればなるほど厚みが出てきます。斜めに角度をつけて撮影をすると、ぼやけて見えるので気をつけましょう。

水槽が大きいときは、魚がなかなか近くに寄ってきません。カメラを三脚に取り付け、動かないようにじっと待っていると近づいてきます。アップでの撮影は、タイミングを逃すと、魚のいない写真になってしまいます。肉眼で魚の動きを見ながら、シャッターチャンスを逃さないようにしましょう。

水槽の正面から撮影をしています。動きの少ない魚だったこともあり、クリアに撮影ができました
水槽の斜め側から撮影しています。魚にピントを合わせましたが、ボケボケに写ってしまいました。水槽の厚みによって、見え方が変わります

Step 3 速いシャッタースピードで、ブレをなくす

光量が足りないときにストロボを使うと、ストロボの光が水槽に反射してしまいます。斜めに撮れば映り込みは避けられますが、光に魚が驚いてしまうことがあります。ストロボが内蔵されている機種では、発光禁止に設定しておきましょう。

泳いでいる魚をぶらさずに撮るためには、速いシャッタースピードに設定する必要があります。絞りを開放値にして、シャッタースピードがまだ遅いようならば、ISO感度を上げるようにしましょう。ぶらさずに撮る目安は1/100秒以上です。

シャッタースピードを1/40秒にしたところ、泳いでいる魚がぶれてしまいました。動きの速さによって変わりますが、1/100秒以上に設定しましょう

POINT…水族館ではレンズをぴったりつける

水族館で撮影をする時は、ガラス面にレンズをぴったりつけて撮影してみましょう。小さな水槽では、魚までの距離が近くなってしまうので、ピントが合わせづらくなります。水族館のような大きな水槽ならば、この方法で映り込みは防げます。

ガラス面にレンズの先をぴったりとつけて撮影しています。その際にはレンズフードは外しておきます

鈴木知子