マーライオンパークから昼間にマーライオンとオフィスビル群を撮影した。昼間の風景はコントラストが高くクッキリと撮影することができた。18-270mm F3.5-6.3 Di II VC PZD / EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/250秒 / F11 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 18mm |
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先日、梅雨の日本を抜け出してシンガポールに旅立った。滞在は現地に2泊、機内2泊の2泊5日の弾丸旅行だ。飛行機は23時50分に羽田空港を発つJAL035便を利用し、一路シンガポールへ。
飛行時間は約7時間なので、翌日の朝6時過ぎにはシンガポールに到着。今回は、カメラグランプリ2011レンズ賞を受賞したタムロンの15倍の高倍率ズームレンズ「18-270mm F3.5-6.3 Di II VC PZD」(B008)をキヤノン「EOS 7D」に付けっぱなしにして気軽に旅を楽しんできた。広角から超望遠までをカバーできるので、これ1本で様々なシーンに対応できるのが利点だ。
18-270mm F3.5-6.3 Di II VC PZDは、「カメラグランプリ 2011 レンズ賞」を受賞したモデル。キヤノン用、ニコン用、ソニー用を用意している |
高倍率ズームの良さは、なんといっても機動力。ダブルズームレンズなどでもコンパクトな物は多いが、結局レンズ交換をしなくてはならないのでその点は面倒。しかし、高倍率ズームレンズならば、交換の必要がなく交換レンズを持ち歩く必要も無いので、極端な話、カメラバッグすら必要ない。重量も450gと軽量で、EOS 7Dに装着してもバランスがよく非常に取り回しがよかった。
空港から市内のホテルまでは、リムジンバスで約30分。値段も9シンガポール・ドル(約600円)とリーズナブルだ。シンガポールのホテルは、意外と高いので比較的手頃なチャイナタウン周辺のホテルを選んだ。朝7時でもチェックインすることができてラッキーだった。早速、ホテルに荷物を置いてシンガポール動物園に向かうことにした。
地下鉄とバスを使って約50分で動物園に到着。天気はあいにくの雨だったが、動物園のチケットを買っている間に止んでいた。早速、園内を散策。シンガポール動物園は広く普通に歩いても2〜3時間は掛かるので、機材の軽量化による機動力は重要だ。さらに気温は33度。蒸し暑いのでかなり辛い。
■優秀な手ブレ補正機構
園内では珍しい猿やホワイトタイガーなど約400種類の動物がいて、柵などがあまりなく動物の自然な姿を見ることができる。写真を撮りやすいポイントだろう。動物を撮影するにはやはり望遠域が重要になるが、このレンズは35mm判換算で約432mm相当(EOS 7Dの場合、以下同)という画角を得ることができるので、ほとんどの動物を大きく写すことが可能だ。
シンガポール動物園にいた大きな鳥を撮影。望遠端で撮影しても、高感度と手ブレ補正機構「VC」のおかげでクッキリとシャープに撮影することができた。18-270mm F3.5-6.3 Di II VC PZD / EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/160秒 / F7 / -0.3EV / ISO640 / 絞り優先AE / WB:くもり / 270mm |
カンガルーをローアングルで撮影。ライブビューを使って撮影しても、ストレス無くAFでピント合わせを行なえた。開放から少し絞ることで劇的にシャープになる。18-270mm F3.5-6.3 Di II VC PZD / EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/160秒 / F7 / +0.3EV / ISO640 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 270mm |
ホワイトタイガーが水浴びをしている姿を撮影。絞り開放でも髭などの細かい部分までしっかり解像している。18-270mm F3.5-6.3 Di II VC PZD / EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/1000秒 / F6.3 / -0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 270mm |
F値は望遠端で開放F6.3と、少し暗めに感じるユーザーもいるかもしれない。だが最近のデジタル一眼レフカメラは高感度性能に優れている機種が多く、ISO800以上を常用することもできほとんど問題ない。それに加え、本レンズは手ブレ補正機構「VC」を搭載することで最大でシャッタースピード換算約4段分の手ブレ補正効果を得られるのが便利だ。VCの効果は大きく、望遠端で動物を撮影している時もファインダー画面が動物に張り付いているかのように止まっており、フレーミングやピント合わせが楽だった。
旅先では夜以外三脚を持ち歩かないことが多いので、優秀な手ブレ補正は非常にありがたい。AFに関しても、新AF駆動方式「PZD」(Piezo Drive)を採用していることにより、ピント合わせにストレスはなかった。園内は少し暗めの場所もあったが、高感度をうまく組み合わせることで、被写体ブレを防ぎしっかりと撮影できた。
また、本レンズの最大撮影倍率は1:3.8(35mm判カメラ換算で1:2.4相当)と近接撮影にも強い。最短撮影距離と望遠端を組み合わせることで、小さな虫や花などを大きく写すことができるのが良い。おかげで、動物園にいた綺麗な蝶も大きく撮影することができた。
■新コーティングで逆光にも強い
動物園の後は、リトルインディアに向かうことにした。歩いていると、お店の壁に綺麗なガネーシャが奉ってあったので撮影。また、リトルインディアにはマリーゴールドなどで作られている花飾りがたくさん売っていたので、このレンズの得意なマクロを使って撮った。
続いて、カトン(Katong)にある綺麗なショップハウスを見にタクシーで移動。タクシーは初乗り2.8シンガポール・ドル(約200円)と非常にリーズナブルだ。この辺りの地区は歴史的建造物保存地区に指定されているそうだ。
カトン地区を散策した後は、暑さに負けて一度ホテルに戻り休むことに。夜まで休んだところで、三脚を持ってリバーサイドのマーライオンパークへ移動。2010年4月にオープンしたマリーナベイサンズの綺麗な夜景も撮影できるスポットだ。
また、マンダリンオリエンタル側の夜景も美しい。夜景撮影のスポットが限られている場所では、画角の調整幅のある高倍率レンズは非常に助かる。ライブビューを見ながらイメージ通りの画角にできるのが便利だ。レンズのコーティングに「新BBARマルチコーティング」を施してあるため、街灯や橋やビルを照らす強い点光源などがあってもほとんどゴーストやフレアは確認できなかった。
2010年の4月にオープンしたマリーナベイサンズをマーライオンパークから狙った。満月がホテルの真上に出ておりドラマチックだ。観光用のボートの軌跡も綺麗だ。18-270mm F3.5-6.3 Di II VC PZD / EOS 7D / 5,184×3,456 / 30秒 / F13 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:白色蛍光灯 / 25mm |
マーライオンパークからマンダリンオリエンタルホテル側のホテル群を撮影した。ホテルの窓枠やホテル名もしっかりと解像している。18-270mm F3.5-6.3 Di II VC PZD / EOS 7D / 5,184×3,456 / 30秒 / F10 / +1EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:白色蛍光灯 / 23mm |
ライトアップされている橋を下から撮影した。橋を照らしている照明は非常に強いが、気になるゴーストやフレアは確認できない。レンズコーディングの優秀さが伺える。18-270mm F3.5-6.3 Di II VC PZD / EOS 7D / 5,184×3,456 / 8秒 / F10 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 18mm |
■食事もマクロでしっかり撮影
2日目の朝はもう一度マーライオンパークへ移動し、青空と高層ビル群を撮影。広角端が35mm判換算で28mm相当の画角のためビル群全体を撮影することができた。解像力、コントラストともに高くヌケが非常に良い印象。マーライオンパークからは川沿いを歩いてスナップした。街は非常に綺麗で緑が多く、散歩していて気持ちいい。昼くらいまでクラークキーを散策して、チャイナタウンにあるマクスウェル・フードセンターで昼食にした。
ここは基本的に安めのB級グルメが揃っている。筆者のお目当ては、行列のできるチキンライス屋さんだ。5分ほど並んでシンガポール名物のチキンライスをゲット。値段は肉多めで3.5シンガポール・ドル(240円)とお手頃。味もシンプルでとてもおいしかった。昼食後は、Maxwell Food Centre付近のお洒落なカフェでケーキを食べて休んだり、チャイナタウンをまわって過ごした。
夕方からはボートキーへ向かって、マジックアワーの夜景を撮影。マーライオンパークとは逆の風景になるが、川と高層ビル群を撮影できるのでまとまりの良い風景が狙える。夜景撮影後は、ボートキーのレストラン街でこれまた名物のチリクラブを食すことにした。観光地ということもあり、少し高めだったが奮発した。お値段はチリクラブ、ご飯、コーラで56シンガポール・ドル(約3,900円)。早速、調理されたカニが出てきたので、記念写真を撮った。手ブレ補正と純正クリップオンストロボ「320EX」の組み合わせで綺麗に撮ることができた。
ボートキーからマジックアワーの夜景を撮影した。F10くらいまで絞ることで、レンズ周辺までしっかりと解像させることができる。18-270mm F3.5-6.3 Di II VC PZD / EOS 7D / 5,184×3,456 / 15秒 / F10 / +0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:4,000K / 18mm |
シンガポール名物のチリクラブ。少し暗めのレストランだったので、高感度に設定し320EXを天井バウンスさせた。カニのディテールもしっかりと描写できた。18-270mm F3.5-6.3 Di II VC PZD / EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/60秒 / F5.6 / 0EV / ISO1600 / マニュアル / WB:4,400K / 42mm |
■意外と大きなボケが楽しめる
最終日は、朝からクラークキーを散歩して、お昼には鮮やかな鳥を見にバードパークへ向かう。天気は曇りだったため雨を心配していたが、どうにか持ちこたえてくれた。バードパークには鳥の他に鮮やかな花もある。望遠側を使えば、背景がボケにくいといわれている高倍率ズームでも難なく綺麗なボケを堪能できる。前ボケ、後ボケともにとても美しい。
バードパークの花壇に咲いていた花を撮影。前ボケと後ボケを活かして被写体の花を強調した。ボケは柔らかく美しい。18-270mm F3.5-6.3 Di II VC PZD / EOS 7D / 3,456×5,184 / 1/320秒 / F7 / +0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 246mm |
バードパークには約600種類の鳥がいるらしく、全部見るのは大変だ。今回のお目当ては、Lory Loftと呼ばれる鮮やかなインコのいる巨大なケージ。餌をあげることができ、インコに近づいて撮影できるのでオススメだ。餌は3シンガポール・ドルと高めだったが購入した。ただ、餌を持っていると撮影できないので、近くの子供に餌を渡して近寄ってきた鳥を撮ることができた。動く鳥は撮影し辛いが、AFがしっかりとピントを合わせてくれるのでシャープに撮影できた。絞り開放付近のボケは柔らかく非常に美しいので、被写体が浮き立つ印象だ。
バードパークの色鮮やかなインコ。高倍率ズームはボケにくいと思われがちだが、望遠側で撮影すればここまでボケる。丸ボケも確認できる。18-270mm F3.5-6.3 Di II VC PZD / EOS 7D / 5,184×3,456 / 1/320秒 / F6.3 / -0.3EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 219mm |
バードパークを堪能した後は、リトルインディアに行ってお土産を購入。さらにシンガポール動物園を散策後、早めに空港へ向かって夜9時過ぎの便で東京へ戻った。
18-270mm F3.5-6.3 Di II VC PZDを使ってさまざまな被写体を撮影したわけだが、旅に高倍率ズームは最適なレンズだと改めて感じた。望遠端ではそこそこの長さにはなるが、軽量なためほとんどバランスが変わらず撮りやすい。持ち歩いている際も、レンズのズームロックスイッチのおかげでレンズが勝手に伸びることも無い。またレンズを付けっぱなしにできるので、センサーへのゴミなどの付着がほとんどないのも非常に助かった。
同梱の花形フードを装着したところ。クラス最大の15倍ズームでありながら、フィルター径は62mmに抑えている | 望遠端にしたところ。同焦点距離の前モデルから小型・軽量化を図っており、一層使いやすくなった |
高倍率ズームレンズとしては、開放からシャープ。コントラストも高く、クッキリとした描写を楽しめる。発色も非常に良い印象だ。実勢価格は6万円台後半と少し高めに感じるかも知れないが、広角から超望遠までをカバーし、強力な手ブレ補正や軽量・コンパクト設計で機動力が高いということを考えると、非常にコストパフォーマンスの良いレンズといえそうだ。
今回は短い滞在だったが、久々のシンガポールを満喫できた。またいつか来た時は、インドネシアやマレーシアにも行って見たいと思う素敵な旅になった。
2011/6/22 12:07