オリンパス・ペンE-P1でフォーサーズレンズを使う
今回は、フォーサーズ用レンズをマイクロフォーサーズのオリンパス・ペンE-P1で使用してみる企画です。まずお断りしたいのは、多くの作例でオリンパスのフォーサーズマウントアダプター「MMF-1」が入手困難となっており、代わりにパナソニックのDMW-MA1を使用したことです。ところが、撮影の最終日近くになってMMF-1が入手できたため、一部はMMF-1に撮影した作例も混じっている。MMF-1とDMW-MA1との比較ですが、使用した数本のレンズについては、特に差があるとは思えませんでした。
フォーサーズレンズをマイクロフォーサーズマウントに取り付けるためのマウントアダプター「MMF-1」 | オリンパス・ペンE-P1 |
さて、E-P1は「すべてのフォーサーズレンズでコントラスト検出式AFが可能」と言うことですので、まずは手持ちのフォーサーズ用レンズをすべてを装着してみました。
●AF動作を試してみたレンズ・オリンパス
- ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye
- ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6
- ZUIKO DIGITAL 11-22mm F2.8-3.5
- ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4 SWD
- ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6
- ZUIKO DIGITAL 14-45mm F3.5-5.6
- ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5
- ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II
- ZUIKO DIGITAL 17.5-45mm F3.5-5.6(一部流通のみで入手できる製品)
- ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8
- ZUIKO DIGITAL 35mm F3.5 Macro
- ZUIKO DIGITAL 40-150mm F4-5.6
- ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6
- ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro
- ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5
- ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD
- ZUIKO DIGITAL ED 70-300mm F4-5.6
- ZUIKO DIGITAL ED 150mm F2
- 30mm F1.4 EX DC HSM
- LEICA D VARIO-ELMARIT 14-50mm F2.8-3.5 ASPH. MEGA O.I.S.
- LEICA D VARIO-ELMAR 14-50mm F3.8-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.
- LEICA D SUMMILUX 25mm F1.4 ASPH.
試してみるとどのレンズもすべてAFが動作して、撮影可能です。ハイスピードイメージャAF非対応で、ファームウェアアップデートでも対応できないといっていた旧ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 でもAFが動作するので、それだったらE-30やE-620でもファームウェア次第で使えるのではないかと思ってしまいますが、AFスピードはハイスピードイメージャAFに対応した新レンズの方が高速でした。
また150mmF2はピント合わせにカメラが苦労していました。このレンズの求める精度に、なかなかAFが追いつかないというところでしょうか。印象的なのはパナソニックの2本のズームで、AFの動作音が静かでスピードも速く感じられます。
広角から標準のレンズなら、一般的にスナップと言われるような、旅行や友人・家族写真などをもっときれいに写したい。そんなニーズにはぴったりで、マイクロフォーサーズレンズの不足をフォーサーズ用レンズで補うことも実用的な選択肢です。フォーサーズ用でも9-18mmや25mmなど十分に軽量ですから、マイクロフォーサーズの軽量フットワークの妨げにはなりません。
しかし望遠やマクロになると、ピント合わせに時間がかかったり、ピンぼけのまま合焦表示して撮影してしまったりと言うことも発生しました。これはE-P1の問題というよりも、現在のコントラスト検出式AFの限界と言うべきでしょう。他社においても、あるいはコンパクトデジカメにおいても発生することです。ただしコンパクトデジカメは被写界深度の深さでカバーできるので、その点は有利といえます。逆に言えば、不利な割にはE-P1のAFはがんばっている印象です。
■作例
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。
●ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye
現在のところ、フォーサーズおよびマイクロフォーサーズ用レンズの中で唯一の魚眼レンズ。対角線方向に180°の画角を有する対角線魚眼レンズ。レンズ先端から2cm先まで近づける超近接撮影能力をもちます。防塵防滴。魚眼レンズとしては周辺まで描写が行き届いており、撮りやすい魚眼レンズであると感じました。
魚眼レンズは画角が広いだけにうっかり足下が写り込んでしまうことがあるが、E-P1の液晶モニターなら体から離して撮影できるため、そのようなミスを犯しにくい。相性の良い組み合わせだと思います。
●ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6
DSA(デュアル・スーパー非球面)レンズやED(特殊低分散)非球面レンズを採用し、2
75gの小型・軽量なボディを実現した超広角ズームレンズ。マイクロフォーサーズの調光各ズームレンズといえば、パナソニックのLUMIX G VARIO 7-14mm F4 ASPH.という選択肢もありますが、フォーサーズとの共用を考えると、価格が安く軽量なこのレンズを使うのも手でしょう。この手の超広角レンズなら、コントラスト検出式AFでも問題ありません。
レンズは小さいが、超広角用の花形フードが付属するため、収納時にはそれなりに場所をとることには覚悟。しかし描写力の向上とともにレンズ保護の役割を果たすフードは、邪魔と思わずぜひ装着して撮影したいものです。
●ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6
ハイスピードイメージャAF対応の標準ズーム。近接時のボケもきれいで、F3.5-5.6の標準ズームレンズとしては立派な性能を持っています。ただほとんど同じスペックの標準ズームがマイクロフォーサーズにあるため、わざわざこちらを選ぶ意味というのはあまりなさそう。E-P1の方はパンケーキレンズセットで購入し、標準ズームは所有のこのレンズでまかなう、ということなら有りでしょう。
●ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8
お持ちの方も多いのではないでしょうか。最大の魅力であるパンケーキ風味が、マウントアダプターを
介することで長くなり、ぼてっとした印象になってしまうのは残念ですが、使用感としては悪くありません。0.2mと近接撮影もこなし、花や犬猫などの撮影にも向いています。こういうレンズを1本だけつけて出かけるのも大いに有りでしょう。
それでも、マイクロフォーサーズ専用におしゃれな25mmパンケーキレンズを出してほしいところです。
E-P1 / ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 約6.0MB / 4,032×3,024 / 1/125秒 / F4 / 0EV / ISO200 / WB:曇天 / 25mm | E-P1 / ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 約4.4MB / 4,032×3,024 / 1/400秒 / F7.1 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 25mm |
E-P1 / ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 約5.5MB / 4,032×3,024 / 1/640秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:曇天 / 25mm | E-P1 / ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 約5.3MB / 4,032×3,024 / 1/640秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO200 / WB:曇天 / 25mm |
E-P1 / ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 約4.4MB / 4,032×3,024 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:曇天 / 25mm | E-P1 / ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 約4.1MB / 3,024×4,032 / 1/400秒 / F6.3 / 0EV / ISO200 / WB:曇天 / 25mm |
●ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro
マイクロフォーサーズはもちろん、フォーサーズ用レンズの中でも弱いのがこのあたり。ポートレート向きの中望遠クラスでかつ明るい単焦点レンズがなく、さすがに重量級のZUIKO DIGITAL ED 35-100mm F2をE-P1につけるのはミスマッチなので、50mm F2を活用したいと思う方も多いはずです。
良い描写だが、明るく、ハイスピードイメージャAF非対応のため、ピント合わせの最後のところで合焦するまでに手間取る印象です。ポートレートなどに使うならそれでも良いかもしれませんが、花のマクロ撮影などではどうしてもピントが合わないケースもでてきます。花のマクロ撮影ではなく、コインや時計などAFが背景に抜けないマクロ撮影なら問題ありません。
●ZUIKO DIGITAL 40-150mm F4-5.6
E-330やE-500時代のダブルズームのうち、望遠側を担っていたレンズ。現在のZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6より大きく重く、近接撮影能力にも劣るが、多少とも明るいのでボケはきれいです。
このところ全く出番がなかったのであえて持ち出してみました。
描写は良いものの、AFはやはりハイスピードイメージャAFに対応する現行40-150mmに劣ります。時間もかかるし、撮ってみたらピンぼけだったというケースも多くありました。マウントアダプターを使えばこうした死蔵レンズも使えると言うことで気分的にはホットしますが、やはり実用性は現行レンズに劣るのは致し方ないところでしょう。
2009/8/24 00:00