特別企画
ストロボをリモート・コントロールできる露出計
セコニック「ライトマスタープロ L-478DR-EL」
Reported by 桃井一至(2016/3/15 07:00)
写真がおもしろくなってくると、「光」が重要なのに気づくはず。 順光、逆光をはじめとする様々な条件の光があるが、光をしっかり把握するためには露出計が必要だ。
カメラに内蔵されている「反射光式」露出計は、露出補正の操作など比較的容易に扱える反面、主要被写体の反射率や背景の明るさの違いなどから、構図変更のたびに指示値が変わり、結果として仕上がりが安定しないことがある。
そんなときは「入射光式」の露出計の出番。入射光式は、個々の方向の光を測り、それらに応じた露出を決定することで、その場の明るさが変わらないかぎり、構図やフレーミングに露出が左右されない特長を持つ。
入射光式露出計の詳細については、上田晃司さんのレポート「セコニックのタッチパネル露出計「ライトマスタープロ L-478D」徹底活用」をご覧いただきたいのだが、このレポートに登場するL-478Dをベースに、新機能を搭載したしたセコニック「ライトマスタープロ L-478DR-EL」が発売された。
L-478DR-ELは、タッチパネル採用の多機能な露出計であるL-478Dに電波式リモート機能を加え、スタジオ用ストロボで定評のあるスイス・エリンクローム社の、リモートコントロール機能(ELスカイポート)対応ストロボを遠隔より光量調整できるのが特長だ。
これにより、被写体から離れた位置にあるストロボ本体へ足を運ばなくても、すべて手元の露出計で光量コントロールが可能になる。スタジオ用ストロボは多くの場合、メインライト1台だけで使うよりも、背景を照射や立体感を増すためにサブライトと併用する多灯ライティングが一般的。そのため、従来は1灯ずつ個別に電源を切るなどして個々の露出を測定し、最後に総合的な露出決定をしなければならなかった。特に人物頭上のトップライトや離れた背景に設置した場合、ストロボ本体にて光量調整を行わねばならず、時間や手間、脚立などが必要になり、撮影進行の大きな妨げになっていた。
L-478DR-ELでは、最大4グループのストロボをコントロール。画面操作だけで、グループごとの光量調整と全体の光量調整が可能だ。
またスタジオ用ストロボにはモデリングライトと呼ばれる電球が内蔵されており、そのライトで肉眼では確認できないストロボ光の代わりにライトの照射角度のシミュレーションやピント合わせの補助光として利用するが、そのモデリングライトの光量調節もL-478DR-ELからコントロールできる。
参考までに人物撮影の一例として、バストアップのライティングを交えて紹介しよう。使用したのはエリンクローム「D-LITE RX4 TO GO」(希望小売価格11万円/税別)と同「ELC Pro HD 500」(希望小売価格13万円/税別)の3灯(一部、スタンド類除く)。
人物下からのソフトライトボックスを装着したD-LITE RXをメインライトに、後頭部からサブライトとしてソフトライトボックスで挟みこむように照射している。メインライトは主に顔の正面や首元を照らし、サブライトは体の輪郭や服や髪の毛の質感描写が主な役割だ。
ソフトライトボックスは箱状の面光源で、光があまり拡散しない構造のため、光源に近い人物はカバーできるが、背景の白壁までは光が届かない。そこで背景専用に、二個目のサブライトとして、ELC Pro HD 500を壁の脇から背景を照らすように配置した。
悩みどころは3灯の露出バランスだが、ISO100、1/125秒をもとに、メインはF5.6+1/3、トップライトはF8+1/3、背景をF5.6+1/3に揃えている。実際には、部屋の広さや壁面や天井の色(反射率)、人物の肌、髪の色など、さまざまな要素で微調整を加えるので、そのへんはノウハウが必要だ。
いったん決定した露出も、ストロボの比率を固定したまま、光量の増減にも対応するなど、熟練者のワークフローを知り尽くしたセコニックならでのつくりも心憎い。
本来はストロボに何度も往復して測定するか、アシスタントが居なければスムースに行かない撮影でも、L-478DR-ELがあれば、飛躍的に効率アップするはず。L-478DR-EL&エリンクロームで、快適な撮影をぜひ楽しんでみてもらいたい。
モデル:前濱瞳
協力:株式会社セコニック