コダックの防塵・防水のコンパクトデジタルカメラ「EASYSHARE SPORT C123」が5月に発売されました。執筆時の大手量販店での販売価格は9,980円でした。カラーラインナップはレッドとホワイトの2種類です。
スペックとしては、水中3mまでの撮影が可能で、砂などが入りにくい防塵仕様が特徴。防水規格、防塵規格とも国際水準の最高ランクに準拠しています。
有効画素数は1,200万画素で、撮像素子は1/2.3型CCDセンサーを使用。レンズは焦点距離35mm相当(35mm判換算)の固定焦点タイプでフォーカスも固定です。内蔵メモリーは32MBあり、記録メディアはSDHC/SDメモリーカード対応。手ブレ補正機能も搭載しています。
スペックでの特徴は、電源が単3電池を使用している点にあります。旅行先などで移動中にバッテリー切れを起こしてしまったら、もうそこで撮影終了になってしまいます。その点、手に入れやすい単3電池なら、バッテリー切れが起こっても安心ですね。
■コロンとした愛らしいデザイン
手に取ったとたんに「か~わいい~」と言いたくなるコロンとした丸みを帯びたデザインには、文句の付けようもありません。配色もおもちゃのような色味で、水辺のアクセサリーとしては目立ち具合もピッタリ。
また、日本国内販売のみのスペシャルキットにはオレンジ色のフローティングストラップが付いていて、これがまたキュート!
役割としては、カメラ本体は水に浮かないので浮き輪代わりにストラップとしてカメラに付ける紛失防止アイテムなのですが、細いストラップと違って手首に巻いても痛くないし、人に当たってもフワフワした素材なので問題ないしで、このストラップとセットだからこのカメラに惚れたんだ! と言いたくなるくらい、本機にピッタリのストラップでした。
オレンジ色のフローティングストラップが付属 | 手首にフロートを巻けばどんなにはしゃいでも紛失の心配はなし! |
■バッテリーカバーは二重構造
操作性ですが、大きなふくらみのグリップはとても持ちやすく、水中でもシャッターは押しやすかったのですが、このシャッター、半押しの加減がまったくわかりませんでした。
シャッターボタン半押しでAEロックができるとあるのですが、どんなにゆっくり押してもパシャっと1枚撮れるだけ。そんなに押し込みが深いシャッターボタンでもないのでわかり難いのかもしれないですが、ここに関してはかなり改善の余地あり! ですね。
シャッター以外のボタンはラバー製 | 電源は単3電池×2本。バッテリー室のカバーは二重になっている |
また、電源ボタンが上部の一番左にあるのも不思議でした。これだとせっかくほぼすべての作業が右手だけで行なえているのに、電源のON/OFFだけ左手を使うことになってしまいます。ボタン類は全体的に硬めですが、防水なのを考えると納得の範囲です。
レンズ面は冷たい水の中に長時間入れておくと白く濁ってしまうことがありますが、常温で数秒放置すればすぐに元に戻りました。
防水コンパクトデジタルカメラで一番不安なバッテリーカバーの部分ですが、安心の二重構造になっています。しかも、外カバーはロックボタンを押しながらカバーをスライドして開け、さらに内カバーをスライドして開けてやっとバッテリーとメディアに辿り着く方式なので、子供に渡してもそう簡単には開かない構造になっています。
■適当に撮っても手ブレしない!
アクティブ系のコンパクトデジタルカメラで悲しい失敗が手ブレですが、本機の手ブレ補正機能(デジタル処理)は、この価格なのに意外にも(ごめんなさい!)高性能でした。
水辺や水中で止まって撮ることは容易ではないので、この手ブレ補正をしっかりと押さえているというのは、とても重要なことですね。
ちなみに、最短撮影距離は1.3mなのですが実際に撮影した感覚ではもっと遠く、2~3m先の被写体の方がクリアーに写ると思いました。
グリップには滑り止めのラバーを装備 |
■日本でも実装して欲しい「シェアボタン」
肝心の画質ですが、最近の最新テクノロジー満載の数万円のコンパクトデジタルカメラにはやはり及びませんが、ブログやTwitterなどで写真をアップするには十分な画質です。
実際、本機には「シェアボタン」と言うものが搭載されていて、TwitterやYouTube、FacebookなどのSNSへの画像のアップロードが簡単に行えるようになっています。
ただ、この「シェアボタン」に対応するサービス「Kodak Gallery」が、残念なことに日本国内では実施されていないので使用することができないのです。この機能があれば本機の魅力が数段アップするのに……残念! 今後に期待です。
■楽しく遊ぶのが正解
水中での撮影は専用の水中撮影モード(静止画用、動画用)があるのですが、浅い水辺などでは通常撮影のオートモードの方が明るい色合いの画像が撮れます。
と言うのは、水中撮影モード時はホワイトバランスが変動して少し彩度を落とした色合いで撮影されるので、確かに見た目に近い色合いの画像にはなるのですが、ちょっと暗い色味になってしまうのです。もっと夏っぽくて鮮やかな水色を表現したいときは、陸上と同じオートモードで撮影してみましょう。
レンズは35mm判換算で35mm相当の単焦点レンズ |
また、陸上での撮影も、夜や逆光などの悪条件での撮影でなければ良好な画が得られます。ならば、悪条件での撮影はどうすればいいのか……? 本機の場合は逆の発想で思いっきり遊んでしまえばいいのです!
逆光時のホワイトバランスの狂いや、夜撮影でノイジーになってしまうときは、トイカメラで撮っている感覚であり得ない構図、ピント外し、ノーファインダーなどで遊んでしまいましょう。
見た目の色を出そうと頑張るのは他のカメラに任せて、本機では割り切ったアート感覚で楽しく写真を撮るのが正解だと思います。
撮影画面の一例 | メニュー画面の一例 |
■まとめ
1万円以下の防水コンパクトデジタルカメラということで機能的に苦しい点は多々あるのですが、普通に写真を撮る分には問題はありませんし、フォーカスが固定なのでレンズ付きフィルムの撮り方に近い、なんだか懐かしいモデルだと思いました。
また、トイカメラ感覚で面白い写真も撮れるのはかなり新鮮で、写真は見たままを写すだけが楽しみ方じゃないんだと、改めて考えさせられた気がします。
私が導き出したこのカメラの正しい使い方は“あれこれ考えないで遊ぶ!”に、決定したいと思います。
■実写サンプル
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置の画像は、非破壊で回転させています。
・歪曲収差
多少樽型の収差がありますが、気になるほどではありません。さすが35mm単焦点レンズという感じですね。EASYSHARE SPORT C123 / 約2.3MB / 4,000×3,000 / 1/60秒 / F4.5 / 0EV / ISO80/ プログラムAE / WB:オート / 6.3mm |
・感度
ISO400からノイズが見え始め、ISO800から画像の劣化が顕著になります。ISO80からISO200までの違いはたいしてありませんが、できるだけISO80での撮影をお勧めします。ただ、水中ではカメラ任せの水中モードかISOオートがいいでしょう。
・水中
陸上で水中モードで撮影してみました。頭の上にシャワーを降らせる遊具の色が変化してトイカメラで撮ったようになりました。水中モード:ON / EASYSHARE SPORT C123 / 約2.3MB / 4,000×3,000 / 1/1,401秒 / F4.5 / -0.6EV / ISO80/ プログラムAE / WB:オート / 6.3mm |
・作例
置き忘れられた浮き輪……じゃなくて、ちゃんと持って帰りましたよ(笑)。カラーモード:セピア / EASYSHARE SPORT C123 / 約2.2MB / 4,000×3,000 / 1/250秒 / F4.5 / 0EV / ISO80/ プログラムAE / WB:オート / 6.3mm |
全体に色味が淡くなるベーシックカラーだと、ボケが決まらなかった寂しい芸人のようになってしまいました。カラーモード:ベーシックカラー / EASYSHARE SPORT C123 / 約2.4MB / 4,000×3,000 / 1/25秒 / F4.5 / 0EV / ISO160/ プログラムAE / WB:オート / 6.3mm |
・動画
- 動画作例のサムネイルをクリックすると、未編集の撮影動画をダウンロードします。
- 再生についてのお問い合わせは受けかねます。ご了承ください。
水中モード:OFF / Motion JPEG(AVI) / 640×480ピクセル / 30fps / 18MB |
2011/8/11 13:23