シグマDP1x【第3回】

“機能拡張”ファームウェアを試す

Reported by 本誌:武石修


 22日に「DP1x」の新ファームウェアが公開された。今回は単なるバグフィックスではなく「機能拡張ファームウェア」といえるもので、さまざまな強化がみてとれる。

DP1x

 今回のアップデート内容(Ver.1.02)は以下の8項目となっている。

  • RAW+JPEGモードを搭載した
  • キャプチャー優先モードを搭載した
  • AF速度の高速化を図った
  • フォーカスフレームに関する機能を強化した
  • AF合焦時の拡大表示機能を追加した
  • 液晶モニターに表示する画像の品質を向上した
  • フォーカスモードの切り換え順序を変更し、DP2xと統一した
  • ある条件下でノイズが発生する不具合を修正した
アップデートでVer.1.02.0.004になったアップデート後に再起動すると、砂時計マークがしばらく表示されるので自動で電源が切れるまでそのまま待つ。その後もう一度電源を入れると撮影可能になる

 では、アップデートの内容を詳細に見ていきたい。

RAW+JPEGモードの搭載

 これは待ち望んでいた人も多かった改善点ではないだろうか。デジタル一眼レフカメラでは「SD14」以降はRAW+JPEGで撮影できたが、DPシリーズはこれまでどちらか一方しか記録できなかった。

 X3ダイレクトイメージセンサーの実力を発揮するためにはRAW撮影が必須ではあるが、パソコンでの確認用などでJPEGも記録しておきたいというニーズもあったことと思う。筆者も他メーカーのカメラで撮影する場合は、RAW+JPEGで記録しておき、作品にしたいカットはRAWを現像し記録用のカットはJPEGをそのまま利用している。

 RAW+JPEGに設定した場合、同時記録のJPEGは画像サイズ「HI」、画質「FINE」のみとなる。確認用ということであれば、人によっては小さな画像サイズも選択できるとさらに使い勝手が高まると思う。

クイックセットメニューに「RAW+JPEG」が現れるRAW+JPEG設定時はISO800までとなる
メニュー画面からもRAW+JPEGを設定可能同時記録のJPEGはHI固定。画質もFINEとなる

 なおRAW+JPEGにした場合、感度設定がISO800までとなる他、カラーモードの白黒とセピアが選択できなくなる。ISO1600とISO3200はRAW記録のみの場合だけ設定可能だ。

 RAW+JPEGで記録した画像を削除すると、RAWとJPEG両方が削除されるので注意したい。

キャプチャー優先モード

 このモードはDP2xが初めて搭載した機能だ。1コマ撮影では、撮影後すぐに画像処理がスタートするために次の撮影まで若干の時間が掛っていた。これは1秒半くらいの時間なのだが、シャッターチャンスが重要なスナップ撮影などでは困る場合もあった。

ドライブモード選択で「CP」がキャプチャー優先モード

 キャプチャー優先モードでは、バッファメモリーが一杯になるか指定した時間まで画像処理を行なわないようになり、およそ1秒を切るくらいで次の撮影が行なえるようになった。

 キャプチャー優先モードの仕様はDP2xと同じのようだ。画像処理を開始するまでの時間は5秒、10秒、30秒、60秒から選択できる。処理開始までのカウントダウンが液晶モニターの右下に表示されるのでわかりやすい。さらに、シャッターボタンの半押しで処理までの時間をリセットできるし、半押しを続けていればタイマーは進まないのでシャッターチャンスを待つ際には嬉しい仕組みになっている。

タイマーは撮影設定から変更できる処理開始までの時間は4通りで、10秒がデフォルトだ

 連続撮影をした場合、RAW+JPEGおよびRAW記録では3コマ撮影したところでバッファがフルになり処理が始まった。JPEGのFINEでは4枚まで撮影できた。JPEGで記録している場合は、再度撮影可能になるまでの時間がRAWの時よりもかなり早くなる。なお容量が最も小さくなるJPEGのBASICで画質をLOWに設定した場合でも、一度に連続撮影できるのは4枚までのようだ。

液晶モニターの右下にタイマーが表示される。下の3つのバーは撮影可能枚数を表す撮影を開始するとタイマーがカウントダウンを開始し、バーグラフが減る

 なお、タイマーのカウント中でも再生ボタンを押すとすぐに画像処理を開始できる。キャプチャー優先モードでは、インターバルタイマーやカスタムホワイトバランスの取り込みなど一部の機能が使えなくなるので、その場合は一旦1コマ撮影などに戻す必要がある。

AF速度の高速化

 アップデート前と比べてワンテンポ早くなった印象だ。新ファームウェアの通常AFは、従来のLIMITモードと同じくらいのスピードになったように感じる。十分体感できる速度アップなのが嬉しい。

フォーカスフレームの機能強化

 DPシリーズは従来からAFフレームは3×3の9点だったが、今回からフォーカスフレームを自在に移動できるようになった。三脚などを使用して特定の場所に合わせたい場合などは便利だろう。ただ、移動できる範囲はこれまでの9点のエリア内のみ。今後さらに移動エリアが広がると、さらに使いやすくなるだろう。

従来からのフォーカスフレームほぼ無段階に場所を自在に移動できるようになった。ただし、動けるエリアは中央の明るい部分だけと限定的だ

 また、ピンポイントのフォーカスフレームも追加された。シグマでは「狙ったポイントをより確実に測距できる」としている。これまで小さな被写体を撮ろうとすると、AFが背景にあってしまったようなシーンがまれにあったが、その回避策として期待できそうだ。

新設のピンポイントフォーカスフレームこちらも場所を細かく移動可能になった

 ただ、薄暗い場所では通常サイズのフォーカスフレームの方が合焦率が上がるようだ。ピンポイントフォーカスフレームにしていてAFが合いづらい場合は、通常サイズに戻すとよいだろう。

 というわけで、今後は基本的にピンポイントフォーカスフレームを常用していこうと思う。

AF合焦時の拡大表示機能を追加

 これもDP2xで採用されていた機能。シャッターボタンを半押しし、AFが合焦した状態で虫眼鏡アイコンのボタンを押すと画面が拡大するものだ。AFでもピントがきちんと合っているかを確認できるので、心強い機能と言えそうだ。ちなみに、拡大を元に戻すには、虫眼鏡の下のボタンを押せばよい。

 このとき、さきほどのピンポイントフォーカスフレームに設定しておくと、拡大率が約2倍になってより確実にピントを確認できるようになるので活用したい。

通常時通常のフォーカスフレームで拡大表示にしたところ
ピンポイントフォーカスフレームで拡大表示したところ。かなりの拡大率になる

 またDP1xには、MF時にOKボタンを押すと画面を拡大表示する機能がもともと入っていたが、これもピンポイントフォーカスフレームにしておくと拡大率が2倍になる。とりわけMF時の拡大率アップは使い勝手向上にかなり貢献するはずだ。

液晶モニターの画像品質向上

 大きく変化したという印象は受けなかったが、多少フォントのフチが滑らかになったのが確認できた。また、表示がやや明るくなったようにも見える。DP1xは、もともと液晶モニターが23万ドット(2.5型)と、今となっては寂しいスペックなのでこの部分で大きな向上は難しいのだろう。

アップデート前(左)とアップデート後(右)の液晶モニターを同一露出で別のカメラで撮影した。フォントのエッジが滑らかになっている

フォーカスモードの切り換え順序を変更

 これまで「通常AF→MF→LIMITモード」だったものが、「通常AF→LIMITモード→MF」に変更された。DP2xの操作と統一したとのことで、DP2xと併用しているユーザーには便利な変更だと思う。筆者はDP1xだけを使っているので特にメリットはないが、すぐに慣れるだろうから問題は無いと思う。

ノイズが発生する不具合を修正

 シグマによると「従来のファームウェアにバグがあり、まれに画像にまだらが発生する場合があった」とのこと。今回、内部のプログラムを修正したのだという。筆者が使っていた限りでは、今までそのような症状は確認できなかったが、今後はより安心して使うことができそうだ。

まとめ

 DP1xの発売(2010年9月30日)からほぼ10カ月が経ったわけだが、こうした機能拡張を提供してくれるのはユーザーにとって大変喜ばしいことだ。アップデートすると使う方としてもより愛着が沸くので、このようなアップデートには今後も期待したい。今回はAF機能が大幅に向上したので、これからは積極的にスナップや動きものなども撮影してみたいと思った。






本誌:武石修

2011/7/28 00:00