標準ズームレンズ「E 18-55mm F3.5-5.6 OSS」を装着したNEX-5 |
とにかく超コンパクトなレンズ交換式デジカメ「NEX-5」。しかもAPS-Cサイズ相当の撮像素子を搭載しながら、非常にコンパクトなサイズを実現しているのが魅力だ。実際に持ち歩いてみると、やはり軽くて小さいカメラは快適で楽しい。
ボディがこれだけ小型軽量なのは、「コンパクトデジカメユーザーのステップアップとして、気軽に使ってもらうため」というコンセプトがあるからとのこと。ソニーではそうしたターゲット層に合わせUIにも工夫を加えた、というので、今回はそのUIをじっくり見てみよう。
■状況に応じてソフトキーの機能が変化
NEX-5の操作系は、ソフトキー1、ソフトキー2、4方向ボタンを兼ねたコントロールホイールとその中央ボタンとシンプル。4方向ボタンには画面表示のDISP、ストロボ、露出補正、ドライブモードの各機能が割り当てられている。さらに上部にはどのモードでも動画撮影ができる動画ボタン、再生ボタン、電源スイッチ、シャッターボタンが配置されている。
背面と上面。液晶モニターが大きいため、ボタン数は限られている。ソフトキー1、2、コントロールホイールが特徴的 |
ほかのデジタル一眼レフカメラに比べて、ボタン数が極端に少ないわけではないが、そのUIは独特だ。特に変わっているのが「背景ぼかしコントロール」。iAUTOモード設定時に中央ボタンに割り当てられる機能で、ボタンを押してコントロールホイールを回すと、背景のボケを変化させられる。つまり、コントロールホイールで絞りを変化させるようになっている。
iAUTO時のUI。ホイール中央ボタンが「背景ぼかし」になっている | ボタンを押して、ホイールを回すと絞りが操作できる |
iAUTOは、カメラがシーンを自動判別して最適な設定で撮影できる機能だが、一般的にこうした撮影モードではユーザーが設定できる機能は少なく、実際にNEX-5でもホワイトバランスやISO感度などの細かい設定はできない。
そうした中で背景ぼかしコントロールを使うと、カメラの絞りを操作できるようになるため、大型の撮像素子を生かしたボケを楽しむことができるようになっているのは面白い部分だ。なお、オリンパス・ペンライトE-PL1の「ライブガイド」にも近い機能が搭載されており、E-PL1では十字ボタンでの操作になる。
背景ぼかしコントロールの操作から、撮影モードを変更してAモードで絞りを変更する。機能としては同じ操作になる |
ボタン数が限られている点とUIを初心者向けにしたせいか、撮影時の設定はすべてソフトキー1のメニューを押して表示される画面から選択する。選択できる項目は撮影モード/カメラ/画像サイズ/明るさ・色合い/再生/セットアップの6種類。グラフィカルで高解像度のアイコンなので見栄えがよく、いわゆる一眼レフカメラのような突き放した印象はない。
グラフィカルなメニュー画面 |
撮影モードは、一般的なデジタル一眼レフカメラだとダイヤルで用意されていることが多い撮影モードの変更ができる。iAUTO以外のモードでは中央ボタンを押すとモード切替画面になるので、実質的にはiAUTOの時しか使わないといってもいい。画像サイズには解像度に加え、縦横比3:2と16:9の切り替え、パノラマ撮影時の画像サイズ、動画の記録方式とサイズ(MP4選択時のみ)が選べる。それほど頻繁に使う機能ではないと思うのだが、独立した項目が与えられている。
撮影モードを押したときのモード変更画面 | 画像サイズの画面。さらにカーソルを下に動かすと、動画の記録方式変更ができる |
カメラと明るさ・色合いには、撮影時の設定が含まれている。カメラにはドライブモード、ストロボモード、フォーカス切り替え、顔検出、スマイルシャッターなどの項目が、明るさ・色合いには露出補正やISO感度、ホワイトバランスといった撮影時の詳細設定が含まれている。
明るさ・色合いの画面 | ISO感度を押すと、ISO感度変更画面になる。ホワイトバランスなどの撮影設定は画面を見ながら変更できる |
ここからは少々苦言になる。コントロールホイールの上下左右に割り当てられているドライブ/ストロボ/露出補正の各モードが、それぞれトップに出てくるという点はどうにも疑問を感じる。そもそもストロボが外付けのNEX-5で、一等地にストロボ切り替えを置くのはもったいないようにも感じる。
コントロールホイールのストロボを押すと、この警告画面になる。ストロボを装着していない場合は機能しないボタンということになる |
逆にISO感度やホワイトバランス、オートフォーカスエリアの切り替えなど、ちょっと詳しくなると使いたくなる機能は奥にあって選択しづらい。ISO感度を変えながら撮影したい場合でも、一度撮影してまたメニューを押して、明るさ・色合いを選び、ISO感度に合わせて中央ボタンを押し、ダイヤルを回して任意のISO感度を選ぶ、という手順になり、手間がかかる。個人的には、「カメラ」と「明るさ・色合い」は隣り合って、あまり頻繁に使わない「画像サイズ」と位置を変えて欲しかった。
メニューから「フォーカス切り替え」を設定し、さらに明るさ・色合いからISO感度を選び、さらにまた別の感度に変更する、という操作 |
全体的に、カメラの設定をいろいろ変えて撮影するというよりも、オートで撮影して一眼レフカメラ並みの画質を楽しむカメラというのは分かる。コンパクトデジカメのステップアップユーザーに対して、コンパクトデジカメでできる以上のことは極力隠して「難しそう」という印象を払拭する、という思想も分かる。それ以上のことがしたいなら上位機種に、ということでもあるのだろう。ただ、それにしてもこのUIは冗長だ。
個人的には、「上級者モード」も追加して欲しいと思う。いちいちカメラや明るさ・色合いなどのページを行きつ戻りつするよりは、タブ表示にして、左右ボタンでタブ移動、ダイヤル回転で項目移動にしたほうが早い。
ソフトキー1、2については「状況に応じて機能が変化する」とはいうものの、特にソフトキー2は再生時に「削除」になる以外は、「撮影アドバイス」になるか無効になるか、一部の撮影設定時のオプション切り替えになるかくらいしか変化しない。基本的には、「撮影アドバイス/削除ボタン」と言っても過言ではないし、ソフトキー1も「メニュー/戻るボタン」だ。
撮影時のソフトキー1と2は常に「メニュー」と「撮影アドバイス」になっている | 撮影アドバイスは、状況に応じて表示される項目が代わり、しかも豊富に用意されている。初心者には便利な機能だ |
これも、上級者モードを用意して撮影アドバイスではなく、他社によくある撮影設定をポップアップする画面になってもいい。いちいちメニュー画面を表示するのではなく、ダイレクトにユーザーに選ばせた方が、カメラの機能に慣れた人には使いやすいと思う。直感的で分かりやすいが冗長なUIというのは、タッチパネル式のスマートフォンあたりではいいが、趣味性の強いカメラには向いていないというのが率直な感想だ。
DISPボタンを押して画面表示を詳細にすると、左側に現在設定されている項目が並ぶ。この各機能にダイレクトにアクセスして設定変更できれば便利そうだ |
ソフトウェア的にボタンの機能を切り替えられるのだから、UIをがらりと変えてしまってもいい。その方が、カメラに慣れたらより高度な機能を使い、必要ならさらに快適に撮影できる上位機種にステップアップする、という導線も作りやすいのではないだろうか。また、上級者のサブカメラとしても、もっと満足できる製品になるはずだ。
念のために指摘しておくと、NEXシリーズの開発ポリシーとしてはいわゆるデジタル一眼レフカメラのように、素早く設定を切り替えて工夫しながら撮影する、という用途は想定していない(はずだ)。そのこと自体が悪いわけではないし、その意味では機能を隠しつつ絞りによるボケの効果を使いやすく配慮しているように、UIとして納得できる部分はある。
ただ、やはりコンパクトで持ち歩きやすく、一眼レフと同様の画質が実現できるカメラなので、つい上位機種向けの操作性も期待してしまう。ソニーにとっては初のレンズ交換式ミラーレスカメラであり、一眼レフを知らないステップアップユーザー向けのカメラとして実験的な位置づけにあると思うので、ステップアップユーザーのさらなるステップアップを見越した開発に期待したい。
個人的にはファームウェアのアップデートなりでソフトキーに機能を追加するような工夫を入れてもらいたい気もするが、小さいから持ち運びが便利だし、可動式液晶やデザインは持ちやすく撮りやすいので、たくさん撮影したくなる。結局、体が操作を覚えるまで使い込めば、多少の面倒はカバーできるので、そこまで使い込んでいきたい。そう思わせる魅力がNEX-5には詰め込まれているのだ。
■実写サンプル
2010/6/11 00:00