ニコンD7000【第4回】

SDダブルスロットに思うこと

Reported by 吉森信哉


 D7000発表された時に、ちょっと驚いた機能がSDメモリーカードダブルスロットの搭載であった(SDXCメモリーカードにも対応)。

 まあ、フルサイズのフラッグシップモデル「D3」シリーズもCFダブルスロットだし、DXフォーマット(APS-Cサイズ)のフラッグシップモデル「D300S」もCFとSDメモリーカードのダブルスロットである。だから、ダブルスロット採用が特に珍しい訳じゃないんだけどね、ニコンの場合は。……でも、機能や性能だけでなく、サイズや重さもある程度は考慮されるミドルクラスとしては珍しいんじゃないかな? そう、オリンパスのフォーサーズ機や、ソニーのαシリーズ(一眼レフカメラの方)のような、xDピクチャーカードやメモリースティックデュオ系のメディアの場合を除けば。ちなみに、1スロットで2種類の記録メディアが使用できるのは(つまり、搭載スロット数は1つ)、「ダブルスロット」とは呼ばずに「デュアルスロット」と呼んでますな、ボクの場合は。本当のところはどうなんでしょう。

 D7000のダブルスロットだけど、記録メディアの組み合わせは違えど、機能的にはD3シリーズやD300Sのダブルスロットと同じようなもの。画像記録モードを「順次記録」に設定すると、スロット1(主スロット)から優先的に記録し、そちらの空き容量がなくなったら、自動的にスロット2(副スロット)に記録されるようになる。いま、D7000のダブルスロットの機能は、D3シリーズやD300Sと同じ……ではなく「同じようなもの」と述べた。というのも、D300Sの場合は「CFスロットとSDスロットのどちらを優先的に使うか」が、撮影メニューの「主スロットの選択」で設定できるのだ。まあ、これは記録メディアの違いによる配慮だろうね。人によって、手持ちの記録メディアの比率(CFとSDメモリーカードの割合)も違うからね。

 さて、D7000のダブルスロットを実際に使用してみると、スロット1からスロット2に切り替わる瞬間を意識する(気がつく)ことはあまりない。上面表示パネルやファインダー内下表示の「記録可能コマ数」が急に増える以外はね。そう、両方のスロットにカードを入れていても、表示される記録可能コマ数は「使用中のスロットの残量のみ」なのである。

画素数が15メガ超だと、16GBのカードを使用することが多い。でも、いちばん多く持ってるSDHCメモリーカードは8GBなんだよなぁ。ダブルスロットなら「2枚の8GBが、16GBの感覚で使える!」って知り合いに話したら「プロのくせにケチくさい」って言われました(苦笑)両方のスロットを使用する際には、カード交換時の初期化に対する注意を怠らないようにしたい。ニコン機の場合、フォーマット前にカード内の状態(保存データ量)が表示されないので、誤って使用中の方をフォーマットしてしまった……という最悪の事態が頭をよぎるのだ。キヤノンのEOSなどは表示されるんだけどねぇ〜

 切り替えの操作は不要で、撮影中に意識することもなくシームレスな感覚で、スロット1からスロット2に切り替わるのは便利。……なんだけど、その後に「ちょっと困るなぁ」と感じる部分もある。満杯になったスロット1のSDメモリーカードは、どこかのタイミングで新しい(未撮影)のSDメモリーカードに交換する必要がある。でも、それをやると優先的(強制的)にスロット1に記録されるようになるんだよね。そう、直前までスロット2に記録されていて、容量が十分に残っていても。まあ、そういう挙動になっても、カードごとの順番が崩れるだけで、画像データをパソコンに取り込んでしまえば問題はない。……でも、何だか嫌だな、気分的には(笑)。じゃあ、スロット2のカードをスロット1に移し換えて、新しいカードを2に挿入するか? う〜ん、それも面倒だよなぁ……。

 ということで、ボクの場合は、スロット1からスロット2に切り替わって、両方を撮りきった時点で、両方のカードを交換するようにしている(シャッターチャンスが断続的に訪れる状況を除いて)。それでも、カードを交換する手間は、1スロットのカメラの半分になる訳だし、新しいカードと間違えて撮影中のカード(スロット)をフォーマットしてしまう致命的なミスも防げるからね。



吉森信哉
(よしもりしんや)1962年広島県庄原市出身。東京写真専門学校を卒業後、フリー。1990年からカメラ誌を中心に撮影&執筆を開始。得意ジャンルは花や旅。1970年代はカラーネガ、1980年代はモノクロ、1990年代はリバーサル、そして2000年代はデジタル。…と、ほぼ10年周期で記録媒体が変化。でも、これから先はデジタル一直線!? 自他とも認める“無類のコンデジ好き”

2011/4/26 00:00