D700 / SP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD / 4,256×2,832 / 1/40秒 / F4.2 / -0.7EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 116mm |
D700に装着した「SP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD」 |
タムロンの「SP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD」(Model A005)は待望のレンズだ。35mmフルサイズ対応のズームレンズで、マウントはキヤノン、ソニー、ニコン用を用意。ニコン用は26日に発売する(キヤノン用とソニー用も順次発売の予定)。今回の撮影にはニコン「D700」を使用した。
このレンズは同社の創立60周年を記念して作られた「プレミアム望遠ズームレンズ」で、高画質で高性能を期待できる製品だ。まず、外観から見てみよう。サイズは、ニコン純正の「AF-S VR Zoom-Nikkor 70-300mm F4.5-5.6 G IF ED」と比べても重量、大きさともにほとんど同等の印象。鏡筒の作りもしっかりしており、がたつきなども無い。また、レンズを伸ばしても重心の移動はほとんど無く安定した撮影が可能だと感じた。
レンズは、12群17枚で構成されており、従来の「LD」(Low Dispersion=異常低分散)レンズ1枚に加え、蛍石に近い低分散性のある高級特殊硝材「XLD」(Extra Low Dispersion)レンズを採用している。それにより、軸上色収差や倍率色収差を良好に補正し、シャープでコントラストの高い画質を実現しているという。さらに、新開発のBBARコーティングを採用しておりゴーストやフレアに強くなっているのだという。最短撮影距離はズーム域全域で1.5mのため最大撮影倍率は望遠端で1:4と、昆虫などを大きく撮るには少しつらい印象。
このレンズは同社初の超音波モーター「USD」(Ultrasonic Silent Drive)を採用しており非常に静かで高速なピント合わせが可能になっている。実際に使用してみると、非常に静かで室内で使用してもほとんど音が気にならない印象。野外で撮影している場合は、まったくAF作動音は聞こえない。AF速度も速く、思い通りの場所に瞬時にピント合わせが可能だった。
また、着陸前の近づいてくる飛行機をコンティニュアスAFで撮影した時も1度も外すことなくピントを合わせてくれて非常に助かった。フルタイムマニュアルに対応しており、ピントをAFで合わせた後にフォーカススイッチを変更することなく、MFで位置の微調整が可能なのでピント位置の難しい花や昆虫などの近接撮影などには最適だ。MF時もフォーカスリングに適度なトルクがありピント合わせがやりやすかった。
このレンズは手ブレ補正機構「VC」により、公称でシャッター速度換算で約4段分の補正が可能となっている。望遠端で撮影している時も手ブレはまったく気になることなく、被写体がファインダー内にくっついているような印象を受けるほど強力に補正されていた。そのおかげで、今回は、1度も三脚を使うことなく撮影できた。実際に室内で静物を使って手ブレ補正の効果を試したが、筆者の場合広角側で1/8秒、望遠端で1/15秒でブレずに撮影することができた。
画質に関しては、高コントラストでクリアな抜けの良い印象。絞り開放でも芯のあるソフトな描写に加え美しいボケを楽しむことができる。開放から1段ほど絞ればさらにシャープな描写を堪能できそうだ。周辺減光に関しては、開放付近では若干目立つ場合があるが、F8くらいまで絞ればかなり改善される。
70-300mmという画角は、標準ズームレンズでは撮影できない広い画角をカバーしており、電車、飛行機などの乗り物から鳥や動物の撮影にも最適だ。これからのシーズンは運動会などでも重宝する画角なので、使い道の多いレンズであることは言うまでもないだろう。このレンズは非常に高画質で高性能なレンズだが、価格も純正品に比べればお買い得感があり、今まで純正レンズを買おうか悩んでいたユーザーには最適な1本といえるだろう。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、別ウィンドウで800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
D700 / SP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD / 4,256×2,832 / 1/1,000秒 / F7 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 300mm |
2010/8/25 00:00