交換レンズ実写ギャラリー
コシナNOKTON 42.5mm F0.95
Reported by澤村徹(2013/7/26 12:12)
背景を大きくボカすなら、イメージセンサーの面積が大きいほど有利だ。この点において、イメージセンサーがAPS-Cより小さいマイクロフォーサーズ機は、ボケ量を稼ぎづらいカメラと言わざるを得ない。そうしたマイクロフォーサーズ機で、手っ取り早くボケ量を稼ぐ方法がある。フォクトレンダーの「NOKTON」(ノクトン)シリーズのような大口径レンズを使えばよいのだ。
マイクロフォーサーズ用のノクトンシリーズは、開放F0.95の大口径レンズラインナップだ。すでに25mmと17.5mmが発売済みで、今回取り上げるノクトン42.5mm F0.95が新たに加わった。35mm判換算85mm相当の中望遠MFレンズである。
描写面から見ていくと、中望遠かつ大口径ということで、マイクロフォーサーズ機できわめて大きなボケを堪能できる。筆者は「NOKTON 25mm F0.95」を私物として所有しているが、近接開放以外はあまりボケが稼げないというストレスがあった。その点、ノクトン42.5mm F0.95は中遠距離でも気持ちよく背景をボカすことができ、大口径でボケ量を稼ぐという目的を十分に満たしてくれる。
ボケ味はなめらかでざわつきが少なく、合焦した被写体がキリッと際立つ。大口径F0.95ということで開放近辺はさすがに滲みが目立つが、F2を境にシャープな描き方に豹変する。開放のドリーミーな描写とF2以降の端正な描き方、この使い分けが楽しいレンズだ。加えて、本レンズは最短撮影距離0.23mまで寄ることができる。これは中望遠相当のレンズとしてはかなり寄れる部類だ。最短開放では相当シビアなピント合わせとなるが、このレンズでしか表現できないイメージを作り出してくれる。
操作面を見ていこう。本レンズは電子接点のないMFレンズで、ボディとの連携は一切ない。絞り優先AEの実絞りで撮るのが基本スタイルとなるだろう。Exifデータに絞り値が反映されないため、画像管理の面で不便という点は否めないところだ。
コシナはMFレンズを作り慣れているだけあって、リング関係の造形はさすがだ。ピントリング、絞りリングともに、適度なトルク感があって実に心地良い。絞りクリック切換え機構を搭載しており、絞りリングの上にあるリングを押し込みながら回転すると、絞りを無段階で調整できるようになる。ムービー撮影時に絞りのクリック音を拾う心配がなく、また微妙な絞り調整で被写界深度の厳密な制御が可能だ。ムービー方面での利用を視野に入れた点が、トレンドを感じさせる。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。