ニコンAF-S NIKKOR 24-85mm F3.5-4.5 G ED VR
D800 / 12.3MB / 7,360×4,912 / 1/125秒 / F4.5 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 70mm |
ニコンFXフォーマット対応の標準ズームとして、軽量コンパクトに仕上がったレンズだ。同社のレンズライナップで近いスペックのものとしてはAi AF Zoom Nikkor 24-85mm F2.8-4 Dが存在する。また、絞りリングを持たないGレンズとしては、AF-S Zoom Nikkor 24-85mm F3.5-4.5 G (IF)がラインナップされていた。今回の新製品は、このGレンズ版24-85mmの後継製品といえるだろう。
メーカー希望小売価格は税込み7万6,650円。本テキスト執筆時における大手量販店の販売価格は6万5,000円前後となる。
D800に装着。価格は7万6,650円 |
冒頭にも書いたが、FXフォーマット対応の標準ズームとしてはコンパクトにまとまったレンズである。手もとに届いた際に、筆者の所有するAF-S NIKKOR 24-120mm F4 G ED VRとくらべてみたが、大きさの違いは歴然。もちろんテレ端の焦点距離や開放値の違いはあるものの、そのことを差し引いてもなおコンパクトに思える。今回、D800との組み合わせで試用したが、AF-S NIKKOR 24-120mm F4 G ED VRより物理的な負荷は当然少なく、軽快に撮影が楽しめた。
ちなみに、本レンズは焦点距離に応じて開放絞り値は変動するものの、ワイド端に限ってみればAF-S NIKKOR 24-120mm F4 G ED VRより1/3段明るい。これも本レンズの立派なアドバンテージといえる部分だろう。
鏡筒は、先端側にズームリング、マウント側にフォーカスリングを配置する。ズームリングはフォーカスリングにくらべ格段に幅が広く、その位置も含め操作しやすい。レンズの性格として、フォーカスよりもズーム操作に重きを置くものであるといえる。
一方、フォーカスリングは細身であるとともに、その位置から合焦後のピント位置微調整のときなどやや使いづらい。慣れの問題もあるとは思うが、ズームリングの位置にフォーカスリングがあったらと思うユーザーもいることだろう。
鏡筒のデザインは、これまでのGタイプズームレンズのテイストを汲むもので、際立った変化はない。
シャッタースピードに換算して約4段分の補正効果の得られる手ブレ補正機構VRの搭載は、このレンズの心強く感じられる部分だ。
描写は、クラスとして十分なシャープネスを誇る。画面周辺部の一部に若干の解像感の低下が見受けられるが、それ以外の部分に関しては絞り開放から良好な解像感である。
ただし、このところ登場したレンズのいくつかで見受けられるような“カリカリ”とした描写ではなく、ある意味節度あるものといえる。
色のにじみや周辺減光に関しては、カメラ側の補正機能の働きもあって、目立つような部分は見当たらない。焦点距離による描写の違いも、このクラスのレンズとしては少ないほうだろう。
ボケ味は、円形絞りの採用で、ズームレンズとしては柔らかく濁りも少なく感じられた。
本レンズの登場は、近い将来、FXフォーマットのカメラに何らかの動きがある前触れのように思われて仕方がない。
というのも、ユーザーのニーズを考えるとD800/D800Eとは異なる路線のフルサイズ、つまりハンドリングのよい画素数や高い高感度特性を持ち、価格的にも魅力あるフルサイズがそろそろライナップされてもよいように思えるからだ。現時点では、筆者の想像の域を脱しないが、本レンズのプライスタグやクラスを考えると、そのようなカメラの登場を予感させるに十分なものといえる。
もちろん、その高い描写特性は、高画素モデルのD800/D800Eの使用でも何ら不足なく楽しめるレンズである。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
D800 / 11.4MB / 7,360×4,912 / 1/500秒 / F5.6 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 85mm |
【2012年7月2日】「AF-S Zoom Nikkor 24-85mm F3.5-4.5 G (IF)」について言及し、「絞りリングを持たないGレンズとしてはこのクラス初となる」の箇所を修正しました。
2012/7/2 00:00