国内ではエツミが取扱うPhottixブランドのライブビューリモートコントローラー(E-6321、2万2,050円)は、その名の通り、ライブビュー画面を表示しながらレリーズができるアクセサリーだ。
デジタルカメラのAV出力とリモコン端子を本機に接続することで、液晶モニターに表示される内容の参照と、本機からのレリーズコントロールが可能になる。使用には、カメラの機種に応じて別売の専用ケーブル(2m、各3,150円)が必要。当然、ライブビュー非対応の機種ではレリーズ操作のみの対応となる。液晶モニターのサイズは2.5型。ワイヤレスでの操作はできない。
また、内蔵バッテリーを備えることで、外出先での使用も可能。バッテリーの持続時間は実測で約8時間。
ライブビューリモートコントローラー |
本機でできることは、通常撮影(単写)、2秒間の遅延撮影、5連続撮影(5連写)、バルブ撮影。中央のシャッターボタンを半押しすると、半押しAFを作動させることもできる。測距点の移動や露出設定などの変更はできない。簡潔に言えば、カメラから最大2m離れた地点から液晶モニターの表示を確認できるリモートスイッチだ。ちなみに、本機から液晶モニターの表示を拡大・縮小することはできない。
想定される利用シーンとしては、固定式液晶モニター搭載のカメラでハイ/ローアングル撮影を行なうときや、自分撮りをするとき、物撮りで被写体の位置を変えながら構図を確認したいとき、多灯撮影でスレーブストロボの位置を調整しながらテスト撮影したいとき、撮影時にカメラに近寄れない場合(野生動物の撮影など)といったところが挙げられるだろうか。
やや特殊な用途ばかりを挙げてしまったが、日々、固定式液晶モニターのデジカメを使っていると、手持ち・三脚使用時にかかわらず、液晶モニターを確認できないことにストレスを感じるシーンは多い。
例えば、カメラを頭上に持ち上げ、人垣の向こうにある被写体を撮影するときや、地面すれすれから見上げるような形で撮影するときなどは、ファインダーをのぞくことはおろか、ライブビューも利用できないことから、勘に頼って構図を作るしかなくなってしまう。そんなときに「可動式液晶モニターが付いていれば」と感じる。そうした用途で活躍しそうなアクセサリーだ。
操作ボタンは4つ。上段の大きなボタンがシャッターボタン、下段左から遅延撮影ボタン、連続撮影ボタン、バルブ撮影ボタン | 本体下部の端子部。左から電源スイッチ、リモートジャック、ACアダプタージャック |
操作ボタンの下にはスピーカーを備える | 別売のリモートケーブルと電源コードを接続したところ |
ブライトネス調整ダイヤル | 専用の充電式バッテリー |
ニコン用接続ケーブル「NI-1」のコネクター。左からカメラ用リモートジャック、10ピンコネクター、ライブビューリモートコントローラー用リモートジャック | ニコンD300に接続したところ |
実際に使ってみると、本体がやや大きめなのが気になった。サイズは136×65.5×25.5mm。このうち厚みが25.5mmあるため、親指を本体中央のシャッターボタンにかけたまま、ほかの指を後ろから回そうとすると、指をひっかける側面が少し遠く感じる。しっかり掴むというよりは、側面に人差し指を添えて軽く持つ感じの方が使いやすかった。
レリーズに関しては、特に遅延もなく、4つのボタンはそれぞれ単機能なので、快適に使えた。ニコンD300で試用した限りでは、設定で半押しAFを無効にしていても、ライブビュー時は強制的に半押しAFが動作した。
遅延撮影ボタンと連続撮影ボタンは、本体の設定とは関係なく動作する。思わぬシャッターチャンスに遭遇した際、反射的にボタンを押せばいいので、三脚使用時などに便利だろう。なお、いずれもシャッタースピードはカメラの設定に準ずるが、シャッタースピードをバルブに設定した場合は、一律1/10秒となる。
バルブ撮影ボタンは、一度押すとシャッターを開き、もう一度押すとシャッターを閉じる。シャッターを開いている間は、1秒毎に電子音を鳴らしてカウントする。
レリーズの動作は使用するカメラに準ずる。そのため、カメラがシャッターボタン全押しでライブビューに移行する仕様の場合は、連写撮影ボタンのレリーズ操作がライブビュー切り替えの動作を含むことから、意図した通りの動作にならない場合がある。今回レビューに使用したD300も該当する。こればかりは仕様なのでいかんともしがたい。
厚みがあるので、掴むようには持ちづらい | 軽く指を添えるようにして持つと、ボタンが押しやすい位置に親指を置ける |
シャッターボタンを半押しすると、パイロットランプが緑色に点灯する | カメラの液晶モニターに表示される内容をそのまま表示する |
厚みは25.5mmとやや厚め |
ライブビューリモートコントローラーを使うメリットは、手元で構図を確認できるという点につきる。可動式液晶モニター搭載機でなければ、諦めるしかなかった視界を得られるのが大きな利点だ。
ただし、手持ちで使用する場合は、右手でカメラを持ち、左手で本機を持つという運用になる。本機が必要な状況は、ハイアングルやローアングルなど、極端な体勢を強いられるケースが予想されることから、両手でカメラを持つよりも手ブレしやすいリスクを承知しておいた方がいいだろう。
個人的には、せっかく液晶モニターがついているのだから、合焦後にピント位置を拡大表示して微調整できるなど、ある程度の操作ができたらよかったとも思う。しかし、それではボタンの数も増えてしまっただろうし、使う端子も増えてしまう。あくまでもリモートスイッチとしての取り回しを重視したということなのだろう。
本機を使用するにあたっては、得られるメリットとデメリットをよく理解しておく必要がある。ライブビューでの使用が前提となることから、基本的には三脚と併用する使い方の方がデメリットは少ないように思う。レリーズの確実性という点で、有線式というのも安心だ。リモートスイッチとしては価格がやや高めなのと、サイズが大きめなのが気になるが、その点を許容できるならば、大変便利に活用できるアイテムだろう。
2011/2/2 00:00