吉村永の「ホントに使える動画グッズを探せ!」

8品目:リグに組んだ撮影システムのケーブルを“見映えよく”まとめる

ケーブルフック「SPRIG」

一眼レフ、ミラーレスを問わず、最近のカメラにはもれなくと言っていいほど備わっているのが「動画撮影機能」。写真撮影については一家言あるけれども、動画についてはまだ未知の領域……、という読者も多いはず。
この連載では“スチルカメラ愛好家”に向けて、動画畑出身のカメラマン 吉村永がレンズ交換式デジタルカメラで動画を撮る際に便利なグッズを見つけて紹介していく。時にプロ向けの高価な機材から、馴染みのないメーカーの製品まで積極的に試して紹介できたらと思う。

今回紹介するのは、リグを組んだ動画用カメラの配線を整理できるケーブルマネジメントツール。アメリカの製品だ。日本国内では銀一株式会社が取り扱っている。

SPRIG

役立ち度:★★★★★
コスパ:★★★
マニアック度:★★★★

効率よく撮影システムを組む

動画用のカメラというと、リグを組んで様々なアクセサリーをつけたシステムで運用する、というイメージを持っている人も多いのではないだろうか。

実際、僕もカメラにはマイクや外部記録のSSDなどをリグを介して取り付けて運用しているのだが、どうしても外付け機器が増えると面倒になってくるのがケーブルの配線処理。だらりとさせているとレンズ前に落ちてきたり、三脚の雲台に絡まったり……。ジンバルに取り付けた時などは、邪魔にならないよう特にしっかりまとめる必要がある。

こんな時、これまではパーマセルなどのテープで処理することが多かったのだが、これをもっと効率よく、見映え良く解決できるのがこの「SPRIG」というわけ。

単純だけどツボを押えたグッズ

SPRIGはリグなどのネジ穴に差し込み、丸い部分にケーブルを挟んで整理する単純な仕掛けの製品だ。

これだけ単純な製品だが、使ってみるとなかなかよく考えられた設計だと気がつく。SPRIGはゴムとプラスティックの中間くらいの硬さの樹脂でできており、ネジ穴に噛み合う設計になっている。ネジ穴に入れるときはねじ込まなくてもスッと差し込め、ちょっとやそっとでは外れない。そして回転させて好きな向きにケーブルを挟み込めるのだ。

関心するのはそのバリエーションで、1/4インチ細ネジ、3/8インチ太ネジ用の2サイズを展開。それぞれカラーが黒/赤/青/黄/緑/橙/桃/グローインザダークの8種類が用意されている。グローインザダークは読んで文字の通り、蓄光して暗い場所でぼうっと光るグレーっぽい色だ。1/4インチ用は直径9mmまで、3/8インチ用は直径13.5mmまでのケーブルを挟み込むことができる。

開発者がシネマトグラファーであるということもあり、単純だけれどもしっかりとツボを押さえたグッズに仕上がっている。機材が複雑になるに従い、ありがたみが出てくる製品だ。

吉村永

東京生まれ。高校生の頃から映像制作に目覚め、テレビ番組制作会社と雑誌編集を経て現在、動画と写真のフリーランスに。ミュージックビデオクリップの撮影から雑誌、新聞などの取材、芸能誌でのタレント、アーティストなどの撮影を中心とする人物写真メインのカメラマン。2017年~2020年カメラグランプリ外部選考委員。