写真展告知
相原正明写真展:Katachi ~In&Out~
2025年11月10日 09:29

写真家の相原正明氏による写真展「Katachi ~In&Out~」が、MONO GRAPHY Camera & Artにて11月13日(木)から開催される。
同展では、日本とオーストラリアの日常にあるものを「Katachi」というテーマで捉えた作品を展示する。展示点数はモノクロ作品約20点。
11月14日(金)と11月16日(日)には、MONO GRAPHY Camera & Artのオーナーであるコムロミホ氏を司会に迎えたギャラリートークを開催予定。
撮影のコンセプトや裏話、モノクロ+標準レンズの大切さなどが語られるという。
また、クラウドファンディングも行われた写真家30周年記念写真集「KATACHI」の販売も行われる。
今回は原点回帰と未来への指針の写真展。
高校生の時、初めて一眼レフを買った。カメラはNikon F2、レンズはニッコール50mm。モノクロフィルムを装填して蒸気機関車を撮っていた。これが僕の写真家人生の始まり。それから約40年、カメラはデジタルになり、モノクロからカラーへ。鉄道から地球のポートレートへ。気がつくと地球と宇宙に撮らせていただいていた。考えられない真っ赤な朝焼け夕焼け。空いっぱいの天の川。奇岩など絶景。でも自分が撮るという領域が狭まってきた。
2004年、オーストラリアでの個展の為に、元オーストラリア王立美術館のキュレーター Patricia Sabine氏にプレゼンテーションをする機会を得た。その時に1,000人の写真家のうち999人が通りすぎてしまうが、1人だけその被写体の力を感じて撮る写真家が大切。そしてオーストラリアのランドスケープだけでは世界では通用しない。常に今、撮っているものとそれ以外、例えばオーストラリアと日本、風景と人物のInとOutをくり返さなければ作品は生まれない。そしてモノクロームでしっかり作品を撮ること。それをしなさいと命じられた。
その後どういう世界観で撮るか? 迷っていた。だが1本のレンズが課題の解決への扉を開けてくれた。Carl Zeiss Otus 55mm。切れ切れの描写力は写真家に「お前はどこを狙い、何を表現したいのか?」といてくるレンズだった。すべての無駄なものをそぎ落とし自分が見ているものを、奇をてらわない画角、機材のエフェクトに頼らない視点で撮ることにした。そしてもちろん被写体のフォルムを訴えるために、余分なものとして色さえも排除した。1995年、オーストラリアで一緒に撮影させていただいたアメリカの写真家Emmet Gowin氏から「君は色の魔術師だね」とほめていただいたが、その自分の世界観の大きな柱「色」を封印した。
日本とオーストラリアの日常にある木や石あるいは建築、蒸気機関車、オートバイなど、その機能美をKatachiというコンセプトで撮影を始めた。だが心の奥底で「もっと何かあるのではないか? 見過ごしている日常の中に被写体が潜んでいるのでは?」その疑問は常に付きまとった。だが答えは非日常の世界が引き出してくれた。パンデミックによる非常事態宣言。オーストラリアにロケに行けないどころか、日常の外出も不可能。でも写真は毎日撮りたい。でも何を撮る? ある日の午後、台所でカレーを作ろうと、ジャガイモを手に取った。偶然にもジャガイモに西日が射した。そこに見えたのはJAXAのハヤブサが着陸した「小惑星」。早速スタジオでジャガイモを小惑星風に撮影した。それこそKatachiワールドの扉が開いた。利休ではないが茶室の中の宇宙。我が家の台所に「宇宙」があった。野菜という一番日常の物。それを突き詰めてコロナ禍に完成させたのが今回の作品群。日常と非日常、自然物と人工物、オーストラリアと日本。すべてがIn&Out。その対比の世界がKatachi。
ぜひ皆様、相原の宇宙にお越しください。
作家コメント

会場
MONO GRAPHY Camera & Art
開催期間
2025年11月13日(木)~11月30日(日)
開催時間
木曜日・金曜日・土曜日:12時00分~19時00分
日曜日:12時00分~17時00分
休廊
月曜日・火曜日・水曜日
ギャラリートーク
11月14日(金)
- 開催時間:19時30分~21時00分
- 参加費:550円
- 人数:10名
11月16日(日)
- 開催時間:17時30分~19時00分
- 参加費:550円
- 人数:10名
作者プロフィール
1958年東京都出身。日本大学法学部新聞学科卒業。学生時代より北海道、東北のローカル線、ドキュメンタリー、動物、スポーツなどを撮影する。
卒業後、広告代理店に勤務。1988年、8年間の代理店勤務ののち退社。
オートバイによるオーストラリア単独撮影ツーリングに向かい、彼の地にて大陸とネイチャーフォトの虜になる。
撮影ではホテル等は使わず、必ず撮影場所でキャンプして大陸と一体に成ることを、心掛けている。
日本人としてはじめてオーストラリアでの大型写真展をオーストラリア最大の写真ギャラリーウィルダネスギャラリーで開催して以来、世界各地で写真展開催。
現在オーストラリア タスマニア州政府フレンズ・オブ・タスマニア(親善大使)の称号を持つ。
2008年には、世界のフォトグラファー17人を集めた「アドビフォトアドベンチャー」に日本代表として参加した。
アサヒペンタックス登録プロ作家、ニコンプロフェッショナルサービス会員。
2008年中日新聞広告賞 体感するオーストラリア(オーストラリア政府観光局)にて受賞。