写真展

写真展「後世に残すベスト・オブ・モノクローム」

(リコーイメージングスクエア銀座)

©Edward Weston

時代を超えて多くの人々を感動させてきた名作の数々。ギャラリーA.W.Pでは20世紀を代表する8人の巨匠による選りすぐりのモノクロームの名作を約30点展示・販売いたします。自然の壮大さをゾーンシステムにより階調豊かに表現したアンセル・アダムス。リアリズムとフォルムの美を追求したエドワード・ウェストン。自然と人との調和を表現したウィン・バロック。街中にあふれる美しい瞬間を捉えたイジス。また天才的なアマチュア写真家と呼ばれ、写真の理論や法則にしばられない、のびやかな作品を数多く残したジャック=アンリ・ラルティーグ。ファッション業界を牽引し多くのポートレイト作品を残したジャンルー・シーフ等。貴重なオリジナルプリントを目の当りにでき、購入も可能な数少ない機会です。モノクロームの醍醐味をぜひご堪能ください。

(写真展情報より)

会場・スケジュールなど

  • ・会場:リコーイメージングスクエア銀座
  • ・住所:東京都中央区銀座5-7-2三愛ドリームセンター8階 A.W.Pギャラリーゾーン
  • ・会期:2015年9月30日水曜日~2015年11月8日日曜日
  • ・時間:11時~19時(最終日16時まで)
  • ・休館:火曜日
  • ・入場:510円・年間パスポート3,600円・ペンタックスリコーファミリークラブ会員は無料(年間パスポート発行手数料324円が必要)※いずれも税込

作者プロフィール

Ansel Adams(アンセル・アダムス 1902-1984)
アメリカ合衆国生まれ。ヨセミテ渓谷の自然に感銘を受け、最初の写真を撮る。これを契機に写真を習い始めるとともに、米国に本部を置く自然保護団体シエラ・クラブに入会。 1932年 エドワード・ウェストン、イモージェン・カニンガムらとともにグループ「f/64」を結成。また1941年には露出をコントロールして写真の階調を美しく再現する技法「ゾーンシステム」を開発。メトロポリタン美術館で一大回顧展が開催された。また 環境保護活動により、「大統領自由勲章」を受章。

Edward Weston(エドワード・ウェストン1886-1958)
アメリカ合衆国生まれ。父親からもらったカメラで写真撮影を始め、写真館を開き生計を立てる。1922年ピクトリアリズムから、自然光を巧みに生かした正確でシャープなストレートフォトへと転換し、肖像、静物、ヌード、風景を撮る。メキシコでの活動の後、ヌード、玉葱の断面、貝殻といった自然の事物の形態をクローズアップで撮影、その造形美を追求した。1932年にアンセル・アダムス、イモージン・カニンガムらと共にグループ『f/64』を結成。撮影対象の究極のリアリズムとフォルムの美を追求した作品は現代写真に多大な影響を与えた。

Wynn Bullock(ウィン・バロック 1902-1975)
アメリカ合衆国生まれ。大学で音楽を学び、プロのテノール歌手としてブロードウェイで4年間活躍。その後留学したパリで、印象派絵画やモホリ・ナジ、マン・レイなどの写真に触れ、視覚芸術に興味を抱くようになる。この頃、カメラを購入し写真を撮り始める。1930年アメリカに帰国。これを機に本格的に写真表現に傾倒していき、写真を学ぶため36歳にしてロサンジェルス・アート・センターに入学。絵画の影響を受けていたこともあり、ストレートな写真よりもソラリゼーションなどの実験的技法に没頭。卒業後は、商業写真で生計を立てる。1948年エドワード・ウェストンと出会い、彼の強い影響を受けそれまでの実験的な作品をやめ、森や海などの自然や、その自然の中に幼い少女や女性のヌードを配した写真を多く撮影する。代表作、「森の中の子供」「そこに光あれ」など。

IZIS(イジス 本名 イズラエル・ビーダーマン 1911-1980)
リトアニア生まれ。学校で写真を学ぶうちにパリを目指すようになる。19歳のときにパリへ移り、そこで10年ほど結婚式の撮影に追われる日々を過ごす。第二次世界大戦が始まると、自らもレジスタンスとなり同胞たちの肖像を多く撮影した。終戦とともにパリを拠点に写真家としての活動をスタート。1949年のパリマッチ創刊と共にフリーランスの写真家として、以来20年間この雑誌に参加。あらゆる大衆の生活に目を向け、パリの輝きに満ち溢れた様子を独特の詩情でとらえた作品は、各方面からの人気が高い。

Ruth Bernhard(ルース・バーンハート1905-2006)
ベルリン生まれ。ドイツで歴史と美術を学んだ後、アメリカに移住。1935年に写真家エドワード・ウェストンとの出会いがきっかけとなり、写真の世界にのめり込むようになったと言われている。1953年頃よりサンフランシスコに移り、イモージン・カニンガム、ドロシア・ラング、マイナー・ホワイトそしてアンセル・アダムスなどの作家たちと交流が始まる。ヌード作品を中心に数多く制作しているが、中には1920年代に起こったバウハウスの影響が感じられる作風もあり、当時の美術運動の動向を知る上でも重要な作品となっている。日本を含む世界中で個展が開催され、二度来日。作品はMOMA、メトロポリタン美術館、フランス国立図書館等にコレクションされている。1986年にアメリカで出版された写真集The Eternal Bodyは同年のベスト写真集に選ばれた。

J-H-Lartigue(ジャック=アンリ・ラルティーグ1894-1986)
フランス生まれ。8歳の時に父親からカメラをプレゼントされたことがきっかけで写真を撮り始める。日常生活を撮影した写真日記をつけ始め、アルバムを制作し、それを生涯続けた。1963年にニューヨーク近代美術館 で初個展が開かれ、ライフ誌に特集が組まれる。ベルエポック時代のノスタルジーを伝える自由な表現がアメリカで高く評価された。その後、1966年に“家族のアルバム”が世界出版され知名度が上がり、1970年にリチャード・アベドンが写真集“世紀の日記(Diary of a century)”を編集して世界的に有名になった。1975年にパリ国立装飾美術館でフランス初の回顧展が開催、1979年には全生涯の写真をフランス政府に寄贈。1986年に92歳で亡くなるまでになんと16万枚以上の写真が撮影され、14,317ページにも及ぶ写真アルバムが制作されたといわれている。いずれもパーソナルな視点でとらえられたアート作品として、また当時の風俗や雰囲気を記録した貴重な名作として高く評価されている。

Jeanloup Sieff(ジャンルー・シーフ 1933-2000)
フランス生まれ。1955年フランス『エル』誌の写真リポーターとしてデビュー。若くして頭角を現し1959年ニエプス写真賞受賞。マグナム写真家集団に短期間所属し、ルポルタージュを得意としたが1960年代ニューヨークに滞在し『ハーパース・バザー』『ヴォーグ』『エスクアイア』『ノヴァ』など世界的なファッション雑誌でパリとニューヨークを往復しながら華やかに活躍した。70年代、80年代はヌードなどパーソナルな作品や広告、ポートレイトにジャンルを広げ、多くの名作を残した。フランス国家の名誉顕彰シュバリエ賞とパリ市芸術家顕彰を受ける。写真展は1986年パリ市立近代美術館の他に日本を含む各国で開催されており、高い評価を得ている。

Cecil Beaton(セシル・ビートン 1904-1980)
イギリス生まれ。11歳の時、祖母が彼にコダックのカメラを買ってくれたのが、写真を撮り始めたきっかけ。名門パブリックスクールであるハーロー校を卒業後、ケンブリッジ大学のセントジョンズ・カレッジで学ぶ。『ヴァニティ・フェア』や『ヴォーグ』などのファッション雑誌の写真家として活躍。その華麗な作品群は、それまでのファッション写真とは一線を画しており、20世紀前半のファッション写真界に大きな足跡を残した。

(本誌:河野知佳)