写真展

インベ カヲリ★写真展「やっぱ月帰るわ、私。」

(大阪ニコンサロン)

「近々、終わらせる予定なのでその前に写真を撮ってもらえませんか?」

と言われて、作者はカメラを持って会いに行った。すでに身辺整理された部屋には、処分予定の服や家具が積んである。

写真を撮るより先に、まず相手の話を聞く。最近起こったこと、今考えていること、昔の話。「へー、すごいね! 面白いね!」素直に相槌を打っていると、相手もどんどんノってくる。用意されたロープや練炭や製造中止になった入浴剤。「これ、どうやって使うの?」などと聞きながら、世間的とは違う、その子の持っている「普通」に視点を合わす。

顔を撮る。衣装を着せて、動きの指示を出し、もっと怒りにみちた目を!と要求したりする。表情を作ったからといって、それが演技であるとは思わない。彼女たちの心象風景は、作者にいったん取り込まれ再構築された世界だ。

「幸せになったら、カヲリちゃんは撮ってくれなくなるんでしょ?」

と、ある日、誰かに言われた。そんなことはない。

社会へ適用するために擬態した姿を撮りたいわけではないから、自分の言葉で語ってくれる人に興味を持つだけだ。ふり幅のある情緒や、表現したいという自己愛は、女性の色気であると思う。人間とは、その人の持つエネルギーのことだから、顔や体を超えた先にある魂を写したいと作者は考えている。カラー約45点。

(写真展情報より)

  • 大阪ニコンサロン
  • ・住所:大阪府大阪市北区梅田2-2-2ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13階
  • ・会期:2014年3月13日木曜日~2014年3月19日水曜日
  • ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • ・休館:会期中無休

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