写真展

秋月岩魚写真展「旅へ」~刻まれた時間~

(オリンパスギャラリー東京)

写真を始めたのは10代の終わり頃で、シャッターを切ると時間が止まると教えられた。その意味は年をとってからも10代、20代、30代の自分と会えるということで、旅をすればその国や場所で過ごした時間や視覚と再会することができるという訳である。最初に写真展を開いたのは28才のときで渓流釣りをテーマにしたもので、その当時釣りの写真展は珍しく少し話題になった。それがきっかけで作家の開高健さんの家に出入りするようになるのだが、ある時二人で食事をしていると、開高さんが「君は何が撮りたいんや」と聞いてきたので、咄嗟に旅がしたいと答えたのを覚えている。その後開高さんの企画で伝説の湖を巡るという仕事で8ヶ国を訪ねたが、当初はこんなに海外を旅することになるとは思わなかった。もちろん仕事中心の写真を撮るのだが、写真家という人種はファインダーから眼を離している時も何かを視ている訳で、ある風景に反応してしまう。汚れたガラス、ガラスの反射、屈折、雨にぬれた窓、あるいは舗道、鏡に写った情景等々に強く惹かれるようになった。視る人によってはよく分からないと思われるかもしれないが、私的な映像とはこんなものなのではないだろうか。もし共感を覚えてくれる方がいれば嬉しいのだが、今回の作品はそんな私の旅のポートフォリオである。

(写真展情報より)

  • オリンパスギャラリー東京
  • ・住所:東京都千代田区神田小川町1-3-1 NBF小川町ビル1F
  • ・会期:2014年1月30日木曜日~2014年2月5日水曜日
  • ・時間:10時~18時(最終日15時まで)
  • ・休館:日曜日・祝日

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