写真展告知

一色龍太郎作品展:沖縄 - 旅の記憶 -

(ソニーイメージングギャラリー)4月15日~4月28日

団体旅行やよそ行きの格好をしていく旅より、ラフな格好で一人か少人数で行く方が自分には向いている、というか好きだった。活動範囲は広くなかったが、高校の頃からそんな旅をしていた。

沖縄が本土復帰を果たした1972年の翌春、船で初めて沖縄に行った。そのときに那覇市内の平和通り商店街を歩いた。道脇で木箱の上に板を敷いた簡単な販売台に、イカやアイゴの稚魚の塩漬をコーヒーの空き瓶に詰めた商品などを並べ、数人の女性たちが、より合うようにして売っていた。頭の後ろで髪を結った小柄な老婆がお客を相手に手こずる勘定を、隣で商う婦人がそろばんで計算をして、何度か助けてあげている姿に、心が奪われた。戦時中、沖縄は日本で唯一地上戦が繰りひろげられ、激しい戦闘の末、家は焼失し多くの犠牲者を出した。戦後の占領下、皆で生きていくために芽生えていった助け合いの文化かもしれない。

5年後の7月、海の透明度では世界的に有名だった沖縄の座間味島に行く機会を得た。コバルトブルー、エメラルドブルーと呼ぶ海色の輝きや、桟橋から海中を覗くとデカイ魚が奥底を泳ぎ回る様子がハッキリ見える透明度の高さにも驚嘆した。美しく煌めく自然や風土に魅せられて、何度も訪れては古くからある市場や裏通り、離島などを歩き、様々な風土や光景、情景を写し続けた。

思い返してみると、初めて訪れたときから半世紀近くが経っていた。撮り溜めた古い写真一枚一枚を見つめていると、脳裏の片隅で眠る、かすかな記憶に辿り着いた。記憶はゆっくり目を覚ましはじめ、遠い日のすっかり忘れていた出来事が懐かしく甦っていった。

写真展情報

会場

Sony Imaging Gallery
東京都中央区銀座5-8-1 銀座プレイス6階

開催期間

2022年4月15日(金)~4月28日(木)

開催時間

11時00分~18時00分

定休日

なし(銀座プレイス休館日を除く)

作者プロフィール

1951年、愛媛県西条市に生まれ、松山商科大学で探検部に所属し山や海、洞穴探検など、アウトドアに浸る。写真業に従事しながらプライベートで「人と自然」をテーマに石鎚山系山間と沖縄を撮っている。

【写真展】
2010年 太陽の沖縄 東京 ペンタックスギャラリー
2014年 太陽の沖縄 愛媛・西条 ひうちギャラリー
2016年 石鎚山に抱かれて 東京 リコーイメージングスクエア新宿
2018年 四国 石鎚山里物語 東京 リコーイメージングスクエア新宿
2018年 四国 石鎚山里物語 大阪 リコーイメージングスクエア大阪
2019年 モノクロの昭和 愛媛・今治 河野美術館
2019年 沖縄 愛媛・今治 あさくら古墳美術館

【受 賞】
1979年 公益社団法人 日本広告写真家協会展(APA展) 奨励賞
1991年 公益社団法人 日本写真家協会展(JPS展) 優秀賞
2011年 一般社団法人 二科会写真部 会員努力賞
2019年 公益社団法人 日本広告写真家協会展(APA展) 奨励賞
2021年 愛媛出版文化賞 奨励賞など

【写真集】
1998年 とっておき撮影地ガイド グラフィック社(共著)
2015年 銀納義民350周年写真集(私家版)
2020年 石鎚山に抱かれて (アトラス出版)

【所 属】
日本写真作家協会・二科会写真部・全日本剣道連盟(錬士7段) 各会員