写真展告知

木原千裕写真展:いくつかある光の

(コミュケーションギャラリーふげん社)3月6日まで

写真家・木原千裕さんの写真展「いくつかある光の」がコミュニケーションギャラリーふげん社(東京・目黒)で開催されている。期間は3月6日まで。

木原千裕は、1985年福岡県に生まれ、同志社大学社会学部教育文化学科卒業後、独学で写真を学び、写真家として活動しています。木原は、2021年に開催された第一回「ふげん社写真賞」の172名の応募者からグランプリに選ばれました。

本展では、グランプリ受賞作「いくつかある光の」から38点のプリントが展示されます。本作は、たった四度だけ会った東北の海沿いの街に暮らす人を被写体にしたシリーズです。木原は、2017年冬から2019年春にかけて、自身が住まう福岡からその人が生活する石巻へ計4回、撮影のために赴きました。赤の他人でもなく、友達とも言えない曖昧な関係で撮影された写真は、二人の生活圏をつなぐ飛行機や空港などの風景から始まり、その小さな街にそびえる煙突、季節によって表情を変える小高い山、いちご農場を舞台に、被写体の表情が瑞々しく切り取られています。

家族や恋人、友達という特別な関係ではない他者をテーマにした本作は、人生における無数の出会いと別れの連続の中で、一瞬自身と交わった存在を肯定し、あるがままを受け入れることができるのか、という試みでもあります。

木原には、セクシャルマイノリティを理由に恋人との関係を相手の親族から反対された過去があり、その出来事を基調にした作品「circuit」で、2021年に第23回写真「1_WALL」グランプリを受賞しました。「circuit」と「いくつかある光の」に写るものは、恋人と、特別ではない他者と対照的ですが、その二作は相互補完的に絡み合っています。

木原は、パンデミックによって人と人との分断がさらに進む現在において、どこかで生きる誰かの人生を想像することこそが、豊かな世界、未来の希望へと繋がっていくと考えました。自身を否定された経験を経てもなお、他者を肯定し、愛を携えて歩むことを選んだ木原の作品は、どこかで誰かのひとすじの光=希望となるのではないでしょうか。

写真展情報

会場

コミュニケーションギャラリーふげん社
東京都目黒区下目黒5-3-12

開催期間

2022年2月11日(金)~3月6日(日)

開催時間

火~金:12時00分~19時00分
土・日:12時00分~18時00分

定休日

月曜日、祝日

ギャラリートーク

日時:3月5日(土)14時00分~
場所:コミュニケーションギャラリーふげん社
登壇者:木原千裕さん、飯沢耕太郎さん(写真評論家)、町口覚さん(造本家)
参加費:1,000円※事前にWebサイトでチケットを購入

展示作品(一部)